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大阪から一番近い無人島…旧陸軍要塞と廃墟旅館の島「友ヶ島」上陸記 (全4ページ)

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和歌山市 加太

すると次に現れたのがこれ。砲台跡ではなく「海軍聴音所跡」と呼ばれる頑丈なコンクリート建造物だ。陸軍要塞の島に、何故かここだけ海軍の軍事設備が…建造されたのは太平洋戦争を目前とした昭和16(1941)年頃だというが、正式に発見されたのはつい最近の2002年だという。

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海軍聴音所跡は建物の風化がそれほど進んでいない為か、特に立入禁止の規制線が張られている事もなく中に入れてしまう。内装は丸ハゲ状態ながらも基礎部分はしっかり保たれている。

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廃墟にはありがちのDQNの落書きがこれでもかと見られる。元々軍事機密のベールに隠されていた施設だけにその存在が公になった時期も遅かったのかと思われるのだが、明らかに2002年以前の落書きまであるので、昔から人の出入りはあったものと思われる。

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この場所で敵艦襲来を察知するために部隊が昼夜に関わらず交替で見張りを続けていた事だろう、厨房や寝室っぽいものもあっておかしくないが、どこが何だか今となってはよく分からない。よく見ると脆くなった箇所もあるので何かの拍子に建物が崩壊しない保証はない。

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倉庫に使われていたらしい部屋には朽ち果てた木製の棚が放置されていた。ここだけ壁が真っ黒に煤けているのは、火事か何かでもあった跡だろうか。

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海軍聴音所の建物は島のかなり奥の方なので、ここまで来る物好きな観光客はなかなか居ないのだが、夏休みシーズンだったせいか、結構こんな場所にも先客が来ていて、廃墟探索には付き物の緊張感が抜ける。

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殆ど何が何だか判別不能な建物だが、唯一トイレの跡だけははっきりと分かった。地面に穴が空いているだけ。いたってシンプルな和式便所だ。

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その次に辿り着いたのが、友ヶ島における戦跡観光のハイライトだと言われている「第三砲台跡」ですね。野奈浦桟橋から海沿いではなく山道に入ると最短距離で着く上、5つある砲台跡のうち規模も大きく保存状態も良好な事から、観光ガイドの類には必ずここの写真が出ている。

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「棲息掩蔽部」と呼ばれる、周囲の地形より深く通路を繰り抜いて外敵から身を隠しながら倉庫や弾薬庫などのスペースが作られた区画。案内看板に「弾薬支庫」と記されたこの通路は友ヶ島の存在を知る者には一番有名な景色。みんなここぞとばかりに記念撮影している。

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掩蔽部に隣接する4連の砲座が置かれた区画があり、それぞれがトンネルで結ばれている。上から見るとこの通り。ここから階段を降りていくと…

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周囲を赤煉瓦の壁で覆われた砲座の跡が間近に見られる。円形の砲座の中は雨水が溜まって苔むした汚い池が出来ている。ボキャブラリーの足りない人はこういう風景を見て「うわぁ、ラピュタみたい…」とか言ってるんでしょうね。何でもジブリ映画で例えるのもどうかと。

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砲座の間のトンネルは光も当たらず、湿気で壁が濡れてひんやりと冷たい。このトンネルの一部は通気用を兼ねて隣の掩蔽部に接続されているので、懐中電灯を持ったカップルが束の間の洞窟探検に勤しんでおられた。キャッキャウフフ。夜もそんな感じで洞窟の中を行ったり来たりいちゃついてんのか。

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まあ有名な風景かも知れませんが実物を見るとこの圧倒的なディストピア感に「ラピュタみたいだ…」という人の気持ちが1ミリでも理解できた気になったかも知れない。この失われた要塞で最後にバルスの呪文を唱えたのは、戦勝国であるアメリカだ。

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結局こんな立派な要塞をこしらえても一度も実戦で使われず大いなる無駄に終わってしまったのも、横須賀の猿島を始めとした全国の軍事遺構にも共通して言える事である。愚かな戦争だったと言うしかないが、その当時の切迫した事情を平和な日本に生まれた我々の世代は知る由もない。

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そんな第三砲台跡を出た所にある「将校宿舎跡」。一般の隊員じゃなくて将校なので立派な作りになっているのが特徴だ。煉瓦積みの外壁に一部板張り、右手方向には外敵を狙う為の銃眼が付いている。

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純日本式間取りとなっていたという宿舎の部屋も柱の木材と土壁の一部を残してかなり崩壊が進んでいる。70年モノの日本家屋の廃墟であると考えれば、一般的な家屋よりも年数相応の崩壊具合が進んでいないように思える。しっかりと作られた証左でもあるのでは。

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旧陸軍要塞と廃墟旅館の島「友ヶ島」上陸記

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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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