京都駅至近のリアルパッチギコリアタウン!「トンク」こと東九条界隈を歩く 

京都市

伏見稲荷大社での初詣を済ませた大阪DEEP案内取材班は、そのまま伏見街道を北上して東福寺駅前に辿り着いた。ここが今回の京都取材の目的地の一つだ。JR東福寺駅から鴨川を越えて、京都最大のコリアタウン「東九条」を散策しながら、井筒監督の映画「パッチギ!」のロケ地を回ろうという計画だ。

初詣で混雑極まる鉄道を避けて伏見稲荷大社前から二駅分歩くとおよそ30分程度。JR奈良線と京阪本線の2つの鉄道路線が平行して走る。ここまで来ると京都駅は歩いて行けるくらい近い。

JRと京阪の線路に挟まれた狭い区画に住宅地がある。駅からは九条通の高架下を潜らなければ入れない、ちょっと怪しげな路地だ。

2つの線路の中州地帯に取り残されたように密集する民家群。伏見街道沿いに開けた古い町の一部であるが、幾分か下町臭が漂う。

線路に面する場所はひっきりなしに電車が通るので、騒音に敏感だと住みづらそうである。それでも人によっては高架下にバラックを建てて住み着くようなのも居るし、やはり住環境の良し悪しを決めるのは人それぞれの感覚に委ねられる。しかし京都のDEEPはまだまだこんなものでは終わらない。


伏見街道から九条通が鴨川を跨いで京都最大のコリアタウン・東九条へと続く道、車道が走る九条跨線橋の南側に平行して「東山橋」が架けられている。

東山橋から平行する「九条跨線橋」の横手を眺める事ができる。特徴的なアーチ橋であるが、昭和8年に建造されたものなのでかなり見た目にも老朽化が進んでいる事が分かる。この上にはかつて京都市電が走っていた事もあり、橋の上から見ると市電時代の名残りが今でも見られる。

この東山橋が映画「パッチギ!」のシーンで幾度となく出てきたのは映画を見ている人には分かるだろう。ある意味京都でも最もDEEPな歴史を刻む鴨川下流に架けられた橋。その向こうにある東九条は戦後バラック家屋が集積し、特に「ゼロ番地」と呼ばれる界隈では長年インフラ整備もされず汚水もし尿も垂れ流し、スラム状態が最後まで残っていたという魔境だった。

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一部では反日映画などと烙印を押されるなどその内容には賛否両論ある井筒監督の映画だが、個人的には凄くリアルに関西っぽいゲスなノリで振る舞う出演者のヤンキーっぷりが真に迫っていて、割と好きな映画なんですが、一方で東京に舞台を映し出演者がガラリと変わった二作目はイマイチでしたね…

現在それらのバラック家屋群は「パッチギ!」のワンシーンで見られる程度のものすら残っていない。綺麗に市営住宅に整備されてしまっている。何事もなかったかのように鴨川の水の流れは「北」の在日コリアン達の故郷を流れる臨津江の如く止めどなく続く。

そんな橋の下を見ると、のっけからトタン張りの構造物で占拠されている光景が見られる。この先がいわゆる「トンク」と呼ばれる東九条地域だ。

資材倉庫か何かに使われているのだろうか、まさに「リアルパッチギ」を地で行く京都駅至近距離の超DEEPタウン。

京都最大の在日コリアン集住地「トンク」こと東九条の存在を世に知らしめたのは井筒監督の映画「パッチギ!」であり、主人公である李一家が住まうバラック住宅が東九条にあったという設定なのだが、京都観光に訪れる人々も、京都市民ですら近寄らない魔境として、長らく京都駅前という場所にあるにも関わらず見捨てられたかのような街並みが未だに広がっている。

京都東九条は大阪の西成・生野区や神戸の長田区などと同じように戦前に朝鮮半島から多くの労働者が集まってきた土地で、現在も地区では町工場や建築業の存在が目立つ。戦後も高瀬川・鴨川沿いに不法に建てられたバラックが長らく残っていた。

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