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【都会の限界集落】人工島に取り残された団地と高齢者の街「南港ポートタウン」を見る

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大阪市住之江区に所在する「南港ポートタウン」という地域。高度経済成長期に人口が急増した大阪市が新住民の受け皿として戦後から埋め立てが進められたこの土地に大型団地が続々建てられ、昭和52(1977)年に街開きした全国的にも珍しい「人工島の大型ニュータウン」である。人口はピークを過ぎて久しいが、それでも2万1千人もの住民が生活している。

そんな南港ポートタウンが今どうなっているのか、ふと気になって現地を訪れてみたい衝動に駆られた。相変わらず交通手段は住之江公園から出ている新交通システム「ニュートラム」(南港ポートタウン線)が主力のままだが、現在はコスモスクエア駅経由で地下鉄中央線を経て来られるようになった。それでも梅田から片道30分は掛かる。遠い。

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南港(咲洲)と言えば大阪市の負の遺産があるあの人工島のことです

そもそもこの南港(咲洲)という地域、距離的にも遠いだけでなく運賃の面でも都市の発展から置き去りにされてきた痛い過去がある。大阪市が主導してきた90年代の大阪ベイエリア乱開発で出来た「OTSテクノポート線」という第三セクター方式で地下鉄中央線とニュートラムがそれぞれコスモスクエア駅まで延伸されたが別会社のため運賃は二重取り、梅田からトレードセンター前まで片道480円も掛かるというボッタクリ運賃で、1997年の開通以降通勤の足としても充分に活躍できず企業誘致を進めていた南港地域も既に進出していた企業が「不便過ぎる」と撤退するなど中途半端な状態が続いていた。

90年代に続々と大阪ワールドトレードセンタービル(WTCコスモタワー、現:大阪府咲洲庁舎)やATC(アジア太平洋トレードセンター)、なにわの海の時空館、ふれあい港館ワインミュージアムといった豪華なハコモノ群の数々が、膨大な建設費用を投じた末にこの埋立地に建てられた。OTS線が大阪市交通局に運営移管され運賃がお安くなったのは2005年のことだが、その当時でもハコモノの数々は空きテナントだらけで惨憺たる状況のまま改善されず、経営破綻が相次ぎ、大阪市の負の遺産として痛い過去を晒し未だにグダグダ状態が続いている。

南港ポートタウンの中心「ポートタウン東」駅前へ

そんな曰く付きまくりの人工島に、痛々しいバブル遺産の豪華ハコモノ群が建設されるずっと前から存在していた「南港ポートタウン」。その中心地となるニュートラムのポートタウン東駅で降りる。昭和56(1981)年にニュートラムが開通してから、駅前にショッピングセンターを抱える地域の中心的存在となっている。

人工島の上のニュータウン「南港ポートタウン」はその多くがUR都市機構または大阪市営、一部に民間分譲マンションといずれも高層住宅ばかりで成り立っており、このポートタウン東駅とポートタウン西駅、中ふ頭駅の三駅間に跨っている。他にも南港地域の外れにある南港口駅前に僅かに団地が立ち並んでいるが、概ね高度経済成長期のノリを匂わせる人工都市といった佇まいだ。

そんな南港ポートタウンの人口がピークを迎えていたのは約3万2千人が生活をしていた1990年のことである。当時は住之江公園経由でニュートラムにトロトロ乗るか2014年に廃止された弁天町バスターミナルから市バスに乗り港大橋を渡るかしなければ帰れない都会の離れ小島だったわけだが、OTS線開業以降、多少は利便性が確保されたはずなのに人口は減少の一途を辿っている。

既に街開きから40年以上が経過した南港ポートタウンの住民は、案の定というかやはり高齢者ばかりである。この街では高齢者率が30%を突破している。道行く人はおばあちゃんおじいちゃんばっかりです。

駅前の「南港ポートタウンショッピングセンター」が酷い

南港ポートタウンの住民が買い物する最大拠点となっているのがポートタウン東駅前に隣接するこちらの「南港ポートタウンショッピングセンター」である。南港ポートタウンが街開きしてから2年後の昭和54(1979)年から続いている。未だに当駅前では最古参かつ唯一の買い物スポットだ。

ショッピングセンターの中に足を踏み入れると…どうですか、この容赦のない前時代的過ぎる空間は。南港ポートタウン内にはここか、隣のポートタウン西駅前にあるスーパーナショナルくらいしかまともに買い物できる場所がない。

そしてここには今時なイオンモールやららぽーとのような若い世代にウケる気の利いた店がそもそも存在しない。ずっと昔のままだ。2万人以上が暮らす、海に囲まれた孤立地域の住民の日常生活を支えるショッピングセンターとしては些か物足りない気がしなくもない。

大阪企業であるスーパーイズミヤ系列の「デイリーカナート」が核テナントとして入っているが、他は垢抜けないババ服がメインの吹き抜けの広場で大売り出しされていたり完全に老人向けの店しかなくなっている。驚くべきことにこのショッピングセンターには唯一存在していた書店(野村呼文堂)まで閉店し、住民が本を買うにはATCオズモール内の書店まで行かなければならない。

他に買い物する場所もないのでそれなりにショッピングセンター内に買い物客の姿もあるにはあるのだが、暇そうに行くあてもないので遊びに来ているだけの爺さん婆さんも多い。典型的な「都会の限界集落」と呼べるに相応しい風景である。

案の定ここを運営するのは「大阪港振興株式会社」という元三セク会社で、2005年にとある民間企業がTOBを行い親会社となったため三セク運営ではなくなったが、そもそも「経営努力」という言葉とも無縁の会社だったに違いない。大阪市の怠慢行政に三セク問題は常に付きまとうのだ。

ショッピングセンター内で食事を取るにしてもこちらも旧態依然としておりトンカツ屋やたこ焼き屋、あとは惣菜屋がちらほらしか見かけられず、野菜中心とかオーガニックフードだとか意識の高い食事にありつくことは到底不可能なレベルである。

南港ポートタウンショッピングセンターには「カリヨンプラザ」という飲食店が多く入居するモールも併設されている。こっちも何が食えるのかと思ってやってきたが、粉物かマクドばかりで安定の大阪クオリティ全開。

たこ焼・お好み焼屋にうどん屋「杵屋」に「餃子の王将」というオール糖分&脂分のラインナップであり土着の大阪人向けの商売しかしていないのが丸出しである。ただでさえ不便な孤島のニュータウンなのに唯一の飲食店街がこれでは確かに新しい住民が来なくなる理由も分からなくもない。

特に朝から営業している唯一のファーストフード店である「マクドナルド南港ポートタウン店」は店員もほぼ全員おばあちゃんばかりで驚愕だが、肝心の常連客もその殆どがコーヒー一杯で長時間溜まっているだけの老人ばかりという救い難い状況。想像するに、恐らく全国のマクドナルド店舗で屈指の利益率の悪さを誇っていないだろうか。

他にも食い物屋を探そうとするも店の表にピースボートのポスターが貼られた韓国人経営のくたびれたカラオケ喫茶(チヂミや韓国海苔巻き、チャプチェなども販売しているようです)くらいしか店がないという状況。だってここは大阪民国(テーハンミングック)ですもの。

そう言えば南港ポートタウンにはあの御方が住んでいるようですが…

こんなさっぱり冴えない人工島のショッピングセンターが唯一の生命線となっているオワコン状態の南港ニュータウンに既に80代となる高齢の実母とひっそりと二人暮らしをしているのが、兵庫県議会議員として政務調査費を使い込んだ末に2014年に会見で号泣したことを散々ネタにされたあの某元議員らしいのだが、一体どの辺にお住まいなんでしょうね。聞くところによると「市営住宅の一室」らしいんですが。

概ね70~80年代に建設された南港ニュータウンの高層住宅群。神戸のポートアイランドや六甲アイランドのように人工島のニュータウンは関西地方を中心に数あるが、こちら南港ポートタウンが最大規模である。特殊な立地ではあるが、公園や緑地帯も広く取られており見た目では住環境も悪くはないように思える。

しかし公園で遊んでいるのは子供連れではなくゲートボールに勤しむ老人の姿しかない。一応南港地域には幼稚園や保育所もそれなりにあるにはあるが、あの森友学園が運営していた幼稚園の一つ(開成幼稚園幼児教育学園)もあったようです。副園長の籠池夫人による暴行トラブルが原因で閉園したらしいですがね。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。
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