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大阪市内に残る「漁港」 此花・伝法港

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「漁港」という言葉を聞くと、皆さんはどんなイメージを思い浮かべるだろうか。和歌山だとか、若狭だとか、伊勢志摩だとか、遠い場所をイメージしてしまいがちではないだろうか。ところがどっこい、大阪市内にも「漁港」は存在する。
あまりに小規模で知られていないだけであって、きちんとした組織「大阪市漁業協同組合」まで存在し、大阪市内の漁師がその日獲れた魚を中央卸売市場に運んでいるのだ。大阪市のホームページにも、農業と漁業の概況について記されたページがあるので、参考にすると良い。平成15年の統計で、市内に約100名の漁業従事者が居る事がわかる。
大阪市内で「漁港」の体をなしている場所は、私が確認しただけで3ヶ所ある。港区八幡屋の三十間堀川、西淀川区の神崎川大和田漁港、そして今回訪れた此花区の伝法漁港の3ヶ所だ。
うち、伝法漁港は大阪市内でありながら、なかなか本格的な漁港の体裁を今に残す、貴重な場所である。
最寄り駅は阪神西大阪線の伝法駅だが、今回は西九条駅から市バスで春日出まで来て、そこから徒歩で向かった。
正蓮寺川


春日出商店街と伝法町の間に掛かる川は「正蓮寺川」。安治川に注ぐ「六軒屋川」と同じく、淀川最下流の支流である。この正蓮寺川の上流にある中津川が埋め立てられた後は、水質悪化防止のため此花区高見で淀川からポンプで川の水を汲み上げて流している。
で、現在は川が半分埋め立てられて、無骨な姿を晒しているのだが、将来ここに「阪神高速淀川左岸線」が走るようになる。
川の名前にもなっている「正蓮寺」という寺の行事である「川施餓鬼」は大阪市の指定文化財だ。
伝法川跡
伝法地区に入ると、もう一つ「伝法川」という川があった痕跡が記されている。淀川最下流の町であり海抜ゼロ地帯でもあるこの界隈は昔から大雨や台風によって大水害の悲劇に見舞われた。
治水対策の結果が凄まじい川幅を持つ新淀川であり、この界隈に張り巡らされている頑丈な堤防だったりするが、重工業地帯でもある此花区はとりわけ工業用水に使う地下水を汲み上げた事などにより地盤沈下の酷い地区として名を残しており、この周辺の土地は海抜ゼロどころかマイナス地帯。満潮時にもしも堤防が無かったら、ビルの2階にまで水が押し寄せる事になるだろう。
残念石
海上交通の要として秀吉が大阪城を築いた時にこのルートで城壁となる巨石を船で運んでいたそうだが、運搬途中で船から落ちた石が何百年もしてから引き上げられて、こんな所でベンチになっている。
船から落下し、大阪城の礎となれなかった事で「残念石」と呼ばれる、その石に腰掛けて正面を眺めると…
船溜まり
そこにはこじんまりとした船溜まりが…
こんなところに漁港が!
見ての通り、まるっきり漁港でんがな。
大阪市漁業協同組合
しかも大阪市漁業協同組合の建物もございますよ。
漁港です
ちなみにこの伝法漁港には「克政」というてっちり・ふぐ料理の穴場がある。要予約。来る場合はタクシーを呼ぶのが無難である。大阪港で獲れた魚も多分出てきそうな感じがするがどうなのだろう。
漁協です
漁協の建物に隣接して鉄工場がある。多分、漁業だけでは生計が立たないので、兼業してたりするかも知れない。全く関係ないかも知れませんが。漁業従事者の数も減りはすれども決して増えはしない。
淀川
もはや川というよりも海の一部である淀川の最下流。潮の満ち引きもあるので、見た感じまるっきり海だ。冬も近いのにマリンスポーツをエンジョイするお兄さんの姿がチラホラと。
そんなに水は汚くないです
淀川の水も昔と比べたらだいぶマシになったような気がする。相変わらず浜辺はゴミだらけで見るに耐えない状況だが、少なくとも「臭い」川ではない。
船が帰ってきました
漁港に船が戻ってきました。淀川から伝法漁港に入る手前に、巨大な「伝法水門」の赤いゲートが立ちはだかっている。船は狭い水門の間へ器用に出入りして行く。
漁港の入口
水門から漁港を眺めると、あのUSJのアトラクション「ウォーターワールド」みたいな雰囲気である。
阪神高速です
淀川のはるか向こうに見えるのは阪神高速湾岸線の中島川橋。超巨大橋である。その向こうには神戸方面に高速道路が海沿いに沿って走る。夜景を拝みに来ると絶景である事間違いなしだろう。
参考記事
大阪市漁業協同組合
輝くまち 情が深くて祭り好き 伝法連合振興町会(大阪市此花区)
参考になりそうな書籍

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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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