【和歌山とトルコ】昭和の残滓・トルコな看板だらけの和歌山市「新雑賀町」の街並み【東ぶらくり丁】

関西のガラパゴス、秘境県と常々言われる不遇の県「和歌山」にだって、それなりの盛り場というものはある。それは和歌山市屈指の繁華街である「ぶらくり丁」の東側、大門川を跨いだ先の一帯に存在している。

和歌山一の繁華街「ぶらくり丁」のど真ん中を流れる大門川を挟んだ東側にも「東ぶらくり丁」のアーケード街が続いているが、そこに入る前に川沿いの異様な風景をじっくり堪能したい。

何が異様なのかというとソープランドの建物が大門川の川べりにこれでもかと建っている光景だ。唐突に現れたモロ過ぎる街並みに思わず笑いが止まらなくなってしまった。しかもどの建物も容赦なく古びている。

川べりからはビルの裏側しか見る事が出来ない訳だが、逆にその事が見た目の異様さを倍増させているように思える。もちろん現在でもこの建物の多くは現役でソープ店舗として使われ続けている。

いつの時代のものか、階段の踊り場に置かれた「コンパニオン急募中」の看板。アルバイト可・高収入・お客様送迎有り。竹取物語からのお知らせでした。

ソープの店舗は風営法の規制で新築はもちろん建て替えすら出来ないので、昔からの建物がそのまま使われている。それはいいけど病院と思ったら違う。「病院トルコ」だった。もし急病で近くの病院に駆け込まなくてはならない場合に間違って来てしまいそう…にはなる訳もない。

そして川向かいの住吉神社の赤鳥居から眺める「病院トルコ」の建物。なんて罰当たりな光景なのだろうか。「トルコ」の字の影だけが外れているのは仕様である。入居している店も別に病院スタイルのソープだという訳でもない。

同じく「徳川トルコ」の看板も、トルコの三文字だけがくっきり取り外されたままになっている。ソープランドが昔「トルコ風呂」と称されていたのは中年以上のオヤジであれば周知の事実である。

しかし中には三文字が取り外されずそのまま看板に残っている店舗もあって、ビルによって対応はまちまちだ。トルコエンペラーである。皇帝気分になって「飛んでイスタンブール」なんだろうか。いずれにしてもネタが古過ぎる。

こちらはかなりイレギュラーな形の「トルコ」。日本で「トルコ」の三文字が性風俗であるという事にトルコ人留学生達が驚き憤慨し、大規模な改称運動が巻き起こった末、昭和59(1984)年にトルコ風呂の名称がソープランドに変更されるに至った。

そういう経緯を知ると、道理で建物の古さが際立つ訳だ。ソープランド業界が「トルコ」の三文字の使用を自粛したのは80年代後半からなので、大門川の川べりにあるこの怪しい店舗群は最低でも築25年以上は経過しているはずだ。

和歌山のソープ街は東ぶらくり丁のアーケードを挟んだ大門川沿いの200メートル程の路地にずらりと立派な店舗ビルを並べている。それもおしなべて経年劣化で錆び放題荒れ放題の異様な風貌で、周囲に存在感を放っている。

それにしても「トルコ」の文字がこれだけ沢山残っている場所は和歌山くらいしかないような気がする。聞く所によると廃墟ビルも混じっていて「トルコ遺跡」などと揶揄されているらしい。いやはやなんとも。

奇しくも和歌山県は日本とトルコ友好の原点と言われる土地。トルコ人が親日だとよく話を聞くのだが、それは1890年に串本大島沖で起きたエルトゥールル号遭難事件で地元民がトルコ人乗組員を救助した事に端を発する。

そんな和歌山県でこんな形で「トルコ」の三文字を目にしようとは、何たる皮肉。

スマートボール屋などがある雑賀橋寄りのアーケード街から最初の四つ角を逸れると、その先にはいかにもソープ街ですと言わんばかりの怪しい街並みが現れる。関西じゃソープじゃなくて新地遊びもあるので存在感に欠けるが、和歌山のソープ街は、東京の吉原あたりのそれに雰囲気が近い。あと関西では雄琴と福原ぐらいだ。

東ぶらくり丁のアーケードを挟んだ両側、大門川沿いにずらりと並ぶ泡の国。それぞれ店の前にはきっちりとボーイが突っ立っていて何とも異様な光景。秘境県のくせに結構やるなぁと思うがそれでも現役でやってるのは10件もないようだ。

まだ昼間だからか知らんがそんなに流行っているようにも見えない。残ってる建物だって大門川から見ればオンボロ過ぎるのを見ても分かるが、いずれは建物の寿命と街の灯と合わせて消えてしまう運命なのかも知れませんぜ。

ソープの店舗に挟まれて負けじと狸の置物を並べ立てる怪しさ全開の飲食店は案の定焼肉屋さん。肉を食う行為は同じだもの、風俗街にはお決まりのパターンですね。身体の上から下まで「まんぷく」になれそうです。

一方で和歌山の街中でも高齢化が激しいのか、老人向け高齢者賃貸住宅なんてものも、この怪しいソープ街の一角に建っている。しかしなんでこんな場所に…

東ぶらくり丁そば、怪しさ満開の和歌山ソープ街だが規模は小さく、現役で営業している店は大門川に10件程度しかない。

いかがわしい川沿いの通りから逸れると、ソッチ系の店はなりを潜めて、代わりにクラブやらショーパブやらといった店が現れ始める。いずれにしてもこの場所は和歌山市中心部でも指折りのナイトスポットだったようだ。

中ぶらくり丁脇の銀座通よりもむしろこっちの方が「和歌山の銀座」と呼ぶに相応しい風情があるが、やっぱり寂れっぷりが凄い。お水系テナントビルも入居店舗を見るにほぼ瀕死状態。

中には風俗店らしき店舗が潰れたまま放置されている一画もあり雰囲気はよろしくない。ビル自体が廃墟化しているらしく、入口が封鎖されていた。

川沿いのソープ街から一本東側の通りに出てきた。東ぶらくり丁のアーケードを外れた南側。コアなピンクゾーンがすぐ隣なのにもうここはごく普通の街並みだ。

普通っぽく見える街並みでも、その向こうにはラブホもあったりしてそれなりに怪しい訳だ。

で、やっぱり怪しいお水系の店舗がここでも幅を利かせているようなのだ。とは言っても間抜けなアニメキャラの絵が描かれた「スーパーセクシー・パブ」の看板だけが残った店の残骸だったが。スーパーセクシーとは一体何がどれだけスーパーなのだろう。

まだ現役営業中らしい「アジアンチックラウンジ」。もしかしてフィリピンパブの言い換えでしょうか。タイ人かも知れないし入ってみないと分かりませんね。ヤクザ風・暴力団関係の方は立ち入り禁止ですよん。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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