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南港咲洲・大阪市の赤字遺産はどうなっているのか (1)

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大阪のベイエリアと言えばせいぜい海遊館かUSJくらいしか知られておらず南港咲洲・コスモスクエアの乱開発でかつて大阪市によって莫大な税金を垂れ流して作られた巨大複合施設やバブルの塔、さっぱりお客の入らない海洋博物館やワインミュージアムといった存在は市民の間にも忘れ去られてしまっている。

当サイトの前身である「大阪民国ダメポツアー」でも散々この辺の事情については突っつきまくってきたのだが、それから早くも8年以上が過ぎ去り、十年一昔なんて言うものだがいつの間にか大阪市政も府政も橋下徹という一人の人物を中心に何やら巨大な渦が巻き起こっている。南港咲洲の赤字遺産の数々も多少事情が変わったかも知れない…という訳で久方ぶりにこの土地を訪れた。



大阪市が1193億円もの総事業費をかけ1995年に完成したものの第三セクター方式の杜撰な経営でたちまち破綻、かつて「バブルの塔」とも呼ばれていた南港コスモスクエアのランドマーク「WTCコスモタワー」は2010年、橋下徹氏が大阪府知事時代に買収し「大阪府咲洲庁舎」と名を改めた。
それ以前からテナントがガラガラで仕方なく大阪市の関連部署が穴埋め入居していた事で「大阪市役所第二庁舎」と揶揄されていた訳だが本当に庁舎になってしまったとは隔世の感あり。市じゃなくて府の庁舎なのだが。

アトリウムに面した店舗スペースは大阪府庁舎らしく建築振興課だの様々な部署に代わり随分お固い印象に変わっていた。本当は大手前にある大阪府庁を全面移転させる腹積もりで居たらしいが2011年の東日本大震災で震度3の揺れに見まわれ耐震性に疑問ありとして断念している。

在りし日のWTCコスモタワー時代の写真をいくつか。以前はゲーセンやらパチスロやら雑多な店が入居していた訳ですが、当時は大阪市を代表するランドマークだったのにこの有様だったから泣ける。

1193億円の超豪華ノッポビルの広場でカラオケ大会やってたくらいですからね。そりゃ2007年の世界陸上の閉会式にくいだおれ太郎や盆踊りが出てくるような大阪だもの。このくらい全然違和感がない。
ちなみに53階の展望台は現在も営業を続けている(入場料500円)。

お次はバブルの塔の向かいに建つATC(アジア太平洋トレードセンター)。こちらもWTCと同様に第三セクターが破綻して莫大な大阪市民の血税がドブに注ぎ込まれた物件である。総事業費1465億円…相変わらず微妙なデートスポットとして機能しているようだがO’s棟は以前よりも廃れっぷりが加速している。3割くらいしか店舗テナントが入ってないんですね。
変わった事と言えば2008年からフェリーさんふらわあの別府行き乗り場がATC前に移転している。かつて温泉街の王と呼ばれた別府もすこぶる寂れてますが、寂れた観光地同士相乗効果を狙っているのかも知れん。

でもATCの見所と言えばやっぱりITM棟ですよね。超豪華巨大な12階建てテナントビルの殆どが空き店舗という酷い有様は今でもやっぱりそうなのか、久しぶりに確認してみることにする。

ITM棟とO’s棟とを結ぶ通路上に置かれたオブジェがいつの間にか「健康の石」「幸福の石」などと名付けられて信仰の対象になっていた。「健康を願うあなたに!」「触れてみませんか?」とか書かれていてなんとも脱力感を誘う。

誰かがパワースポットブームに乗じてやり始めたのか?よくわからんのだが、ベタ過ぎるセンスで笑ってしまう。

さらに「縁結びの石」というのもあるぞ。むやみに神頼みするよりもイオンモールでもカジノでも何でもいいので民間企業を誘致する方が救われると思うんですがいかがでしょう。

この石のオブジェ群がパワースポット化した理由が丁寧にも解説されていた。「奇縁氷人石」の石って…東京の湯島天神にそういう石ありましたね確か。ここの説明に出てくる「若いカップル」と「ご年配の方」はどこのどなたでしょう。

ITM棟もさほど雰囲気は変わっていなかった。やけにアウトドア専門店が充実しているのも以前と同様。

しかし通路の柱を見ると「ハンブルク通り」と書かれた張り紙が…唐突にドイツのハンブルクですか。姉妹都市関連か何かの縁でやってるのだろうか。

そんなハンブルク通りとやらにはハンス・フンメル像。ハンブルクのマスコットである水汲みおっさん像ですね。このハンブルクという街も「世界で最も罪深い一マイル」と呼ばれるレーパーバーンというヤバイ風俗街があってそのへんも飛田新地のある大阪と似通っている訳である。

そこを過ぎれば我々取材班が何度も見てきた巨大な吹き抜けのホールに辿り着く。ここからの眺めも昔から全く変わりがない。改めてバブルの時代って凄かったんだねえとため息をつくしかない訳だ。

試しにエレベーターに乗ってATC株式会社(第三セクター)のオフィスがある12階まで上がってきた。相変わらずガラガラだ。橋下パワーをもってもこの巨大無駄物件の穴埋めはかなわないようです。

7,8階にある大塚家具と4,5階にあるアウトレットマーレを除けば概ねこんな感じ。変わらんなあ…橋下氏も府知事時代に「こんな猥雑な街、いやらしい街はない。ここにカジノを持ってきてどんどんバクチ打ちを集めたらいい。風俗街やホテル街、全部引き受ける」と言ってるくらいだから、とにかくマカオみたいにカジノでも誘致するくらいしか有効活用の方法が見いだせません。

隣のWTCコスモタワーが大阪府庁舎化した事もあってそれまで入居していた大阪市の部署の多くがITM棟に引っ越してきた。各階毎の案内を見ると殆どが大阪市の部署ばかり。特に現業部門が多く、10階に港湾局、9階に水道局、6階に建設局が入居している。

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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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