舞洲工場だけではない、大阪市にあるもう一つのフンデルトヴァッサーデザイン「キッズプラザ大阪」

オーストリア出身の有名建築家「フリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサー」(1928-2000)が手掛けた数々の建築作品のうち、大阪において最も知られているのが此花区の人工島「舞洲」に鎮座する「舞洲工場」「舞洲スラッジセンター」の二大建築物で、バブル期に莫大な公金を投じて建てられたために非難が相次いでいる事はさておき、同氏の遺作でもあるゴミ処理場を見物に訪れる観光客は決して少なくないようだ。

しかし大阪市内にはもう一つフンデルトヴァッサーが手掛けた作品が存在する。それが大阪市北区の扇町公園の一角にある「キッズプラザ大阪」だ。梅田から徒歩でも行けるほど近い場所で、天神橋筋商店街のすぐ隣なのだが、ここも建築年代的にバブル遺産臭漂う外観となっている。

キッズプラザ大阪の建物は大阪市の土地信託事業だった

このキッズプラザ大阪が入居しているド派手な建物、元々は大阪市の土地信託事業として始められたもの(北区扇町開発土地信託事業)だった。大阪市立工業研究所跡地を再開発する形で総事業費266億円をかけ1997年に完成。当初「扇町キッズパーク」の名称で、キッズパーク大阪の開業と共に関西テレビの本社も移転してきたが、2008年に関西テレビが土地建物を購入。それ以後は「カンテレ扇町スクエア」と名を改め、関西テレビの所有となっているのだ。

一昔前はホームレスが多く公園内で暮らし、野宿支援者による炊き出しイベントや極左集団のデモが頻繁に行われていたダーク要素盛り沢山だった扇町公園の一画に巨大な箱物が建てられたわけで、それも悪名高い、赤字続きの大阪市の土地信託事業のことである。オーク200やオスカードリームの例を挙げるまでもなく、配当金は予想を大きく下回るなどしていた。たまたま本社機能をここに移転させた関テレに買ってもらえて本当によかったね。

以前はキッズプラザの建物の周りにド派手な大型遊具が多数置かれ、特に真っ赤なキューブ型の立体迷路遊具が90年代バブリー感を奏でていたが、内部構造の劣化で子供が安全に遊べなくなったのか2010年頃に閉鎖され、今では撤去されてしまっている。とんだ無駄建築でしたね。

キッズプラザ大阪に入場しましょう

肝心のフンデルトヴァッサー建築はこの建物の外観からでは見ることができない。キッズプラザ大阪の内部に作られているのだ。よってフンデルトヴァッサー作品を直接鑑賞するためには入場料大人1400円を払って中に入る必要がある。

しかしここは「こどものための博物館」と銘打っている通り、子連れでなければ入場する心理的ハードルが高い。そりゃ子連れじゃないと入れない訳ではないですがね…ちなみに3歳以上は500円、小中学生は800円、あとは1年間と6ヶ月間の期間パスポートも売られている。

一歩中に入ると、そこはもう子供のための空間でしかないわけで、珍建築マニアのしがないオッサンオバハンが単体で入場するとそこはかとなくむず痒い思いをすることになる。フンデルトヴァッサーが好きだったらそのくらい我慢しましょう。

館内エレベーターに乗ってまずは5階へ。ここは「やってみる階」と称する文化・科学体験コーナー系アトラクションがいっぱい。小学生以上のお子様連れの方にはさぞかし楽しめるかと存じますが、ここはフンデルトヴァッサーとは無関係なのでとっとと先に進みます。

チマチョゴリ試着コーナーがありますよ

文化体験コーナーでは世界の民族衣装を試着できたりするわけでして色々な国籍のものがございますけれども、そこには当然のごとく「韓国」がありましてですね…

その中で韓国の民族衣装チマチョゴリの試着体験ができる件。さすが日本一在日コリアンが多い大阪というお土地柄だけのことはあってのことか。

他にも車椅子に乗ってバリアフリー体験ができるコーナーもあって、京阪電車の車両がぶつ切り状態で置いてある。このようにキッズプラザ大阪ではマイノリティの人権に配慮したコーナーもしっかり完備しているのですね。そのうちLGBT体験コーナーとかできるんちゃうか。

フンデルトヴァッサーデザイン「こどもの街」

で、5階の吹き抜けから既にフンデルトヴァッサーデザイン「こどもの街」が一望できる件。うわー、どこをどう見てもフンデルトヴァッサーですよこれ。自然を愛するがゆえに直線を嫌い、ひたすら曲線のみを用いられたデザインは一貫している。

舞洲工場のド派手っぷりがそのまま大型キッズコーナーと化していて、4・5階の吹き抜けにまるごと展開されているのがキッズプラザ大阪のフンデルトヴァッサー作品なのである。

アスレチック遊具的な渡り廊下や滑り台など、その中を楽しそうに子供達がはしゃぎまわっている。こんな場所に一眼レフ下げてパシャパシャ写真を撮ってるオッサンは完全に変質者扱いされ色々と面倒なので、もちろん事前に撮影許可は取ってからにしてください。

そのまま階段を降りて4階「あそぼう階」へ。メインコンテンツはやはりフンデルトヴァッサーデザイン「こどもの街」だが、その周囲にも「ごっこ遊び」が出来るコーナーだとか、赤ちゃん向けのスペースだとかが色々とある。小さな子供を連れてまる一日遊ぶのであれば良い場所には違いない。

ちなみに此花区の舞洲工場は年に何回か一般見学イベントを開催している事があるが、その時にしか内部に入ることができない。ただでさえ町外れの離れ小島に作られたゴミ処理場に行く事すらハードルが高く全く市民に有効活用出来てないのに比べると、こっちの方がはるかに有用である。

こちとらフンデルトヴァッサー建築が気になりすぎて、わざわざ本場オーストリア・ウィーンの「シュピッテラウ焼却場」や「フンデルトヴァッサーハウス」まで見物に行ったくらいなんですけれども、さすがその兄弟船だけあって雰囲気が似てますね。

けれども日本国内でフンデルトヴァッサー作品が楽しめるのはせいぜいキッズプラザ大阪と舞洲にある二つの処理場くらいのもので、東京だとせいぜい赤坂のTBSの隅っこに放ったらかしにされて置いてある「21世紀カウントダウン時計」モニュメントくらいしかない。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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