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大阪砲兵工廠跡地に建てられた、大阪城を見下ろす巨大レトロ団地「UR森之宮団地」

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大阪城公園が眼前に広がる街「森ノ宮」。中央・城東・東成区の三区の境目にあり、かつては極東アジア最大規模の軍需工場と言われた「大阪砲兵工廠」が空襲によって壊滅し、その跡地が大阪市交通局やJR西日本の車庫になっていたり、ゴミ処理場や下水処理場なんかになっているのだが、その一角にあるどでかい団地も見た目に凄い。

今回訪れたのは森ノ宮駅に程近い場所にある「UR森之宮団地」。戦前は陸軍の城東練兵場として、後に拡張された大阪砲兵工廠の一部となり、空襲で灰燼に帰したその跡地に昭和42(1967)年に建てられた14階建ての高層棟5棟からなる戸数約1000戸の大型団地である。住所は大阪市城東区森之宮、昔の地名では森町と言われていた。

森之宮団地は「面開発市街地住宅」第一号物件

今年2017年でちょうど築50年を迎える大型団地、通常なら老朽化が心配され、そろそろ建て替えがどうとか言い出す時期に差し掛かっているはずなのだが、駅チカ物件という事も幸いしてか、他のビミョーな地区の団地のように高齢化して寂れている様子があまりなく、若い勤め人がいそいそと団地の一室から出てきて森ノ宮駅に向かう姿が見られた。

高度経済成長期真っ只中のイケイケドンドン感を思わせる各室ごとの居住スペース、今時のような団地にゆとりだのエコだのを求める時代からは程遠い設計である。殆どの物件の間取りが2DKで、端から勤め人の核家族を想定して作られている。

URの物件紹介ページを見ると家賃は2DKで5万円台後半から6万円台、最大でも3LDKの8万2100円。妙にお安いのは築年数の古さが反映されているからだ。相変わらず入居者募集中です。ちなみに団地内にはUR森之宮営業センターも存在している。

この森之宮団地、全国で初めて「面開発市街地住宅」として建設された団地の第一号物件になる。単一ではなく複数の高層団地や付随する住民向け施設を同時に建てて街ごと再開発する、という意味の「面開発」。今や全国的にも珍しくない大型団地の先駆けでもあった訳だ。

さぞかし上層階からは向かいの大阪城公園や天守閣、鉄道車庫なんぞが見えるんでしょうな…と想像しそうになるが、実のところこの団地の北側には「大阪市環境局森之宮工場」というゴミ処理場が存在していて、長年ゴミ処理に伴う大気汚染に晒されていたわけで、環境的には正直あまりよろしくない場所でもあったのだ。

森之宮団地の一角に佇む「大阪砲兵工廠跡」の碑

巨大な高層棟が見下ろす森之宮団地を歩いていると、小さな地蔵堂と住民が勝手にやっているものと思しき耕作地に囲まれた一角に、何やら石碑が突っ立っているのが見える。

その石碑には「大阪砲兵工廠跡」とだけ書かれていた。これがこの土地がかつて極東アジア最大規模の軍需工場の一角だった事を示す唯一の物証である。昭和20(1945)年8月14日、終戦の前日にあった第8回大阪大空襲の際、この大阪砲兵工廠を目掛けて米軍の爆撃機が大量の1トン爆弾を投下しまくった事で周囲一帯は完膚無きまでに破壊され尽くしたのだ。

団地のそばのゴミ処理場「大阪市環境局森之宮工場」も廃止

UR森之宮団地から大阪市交通局の車庫を挟んだ北側の第二寝屋川沿いに紅白ストライプの大煙突をおっ建てて大阪市民のゴミを燃やし続けていた「大阪市環境局森之宮工場」。ここも団地の完成時期に程近い昭和44(1969)年に建てられ、その当時では市内最大級のゴミ処理場だった。

この森之宮工場も老朽化に伴う建て替え計画があったようだが、現業職員の厚遇問題で市民の非難を浴びていた大阪市環境局の事業見直しの結果、2012年度末に廃止が決定され稼働停止。外観がほんのり旧共産圏チックなデザインに思えますけど、気のせいでしょうか。

昔はこの通りゴミ処理場の玄関前に職員住宅まであったんですが、これもひっくるめて現在は高いフェンスに覆われ封鎖されている。以前は年収一千万円プレイヤーがゴロゴロいたという、大阪市交通局と並ぶ現業職員の楽園だった環境局も批判の矢面に立たされて、職員の給与引き下げや民間委託化に舵を切っている。

森之宮第二団地というものもございますけど

そんな大阪市環境局森之宮工場により近い場所に、同じUR都市機構の団地「森之宮第二団地」というものもある。こっちは森之宮団地よりおおよそ10年後の昭和51~53(1976~78)年に建てられ、6~9号棟の高層棟4棟が連なっている。団地の入口に据え付けられた碑には「森之宮第二住宅 独立行政法人 都市再生機構」と記されている。

森之宮第二団地は駅からは遠くなる代わりにゴミ処理場には近くなるという有難くない立地で若干人気薄感があるが、ゴミ処理の予熱がこの団地内に供給されていて給湯設備や床暖房に使われていた。今ではゴミ処理場が閉鎖したのでその旨味も無くなったようだが…

こちらは団地敷地内の一番奥にある25階建てというべらぼうに高層な9号棟が見ものである。見晴らしの良さでは先の森之宮団地より優れているせいか知らんが、「大島てる」を見ると飛び降り自殺の火の玉が二つもある。グーグル先生も森之宮団地の関連ワードに「飛び降り」とか「治安」といった言葉をチョイスしてくるので容赦ないが、つまりそういう事なんだろう。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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