【ソース二度漬け禁止】コテコテの大阪を体現したドメジャー観光地「新世界」を見る (2007年)

大阪のシンボルとして最も有名な新世界の通天閣。しかしその塔の下に広がる街並みは日本最大の労働者街釜ヶ崎にも近く、なんか人相の悪い人がぎょうさん集まってるちょっと怖いイメージを持つ場所でもあった。

その日暮らしのニシナリの労働者達が、たまにパチンコで勝ったとか、景気のいい日にはこの新世界まで脚を運んでうまいもんをたらふく食べたり、新世界の映画館でちょっとアレな映画を見たりするわけである。

西成・新世界のイメージ

そんな新世界に抱いていたイメージは「やさぐれ男の歓楽街」であり、決してよその観光客が珍しいもの見たさに立ち寄る場所ではないと思っていた。それが、ここ数年の新世界界隈はどうも様子が違うようなのだ。

ジャンジャン横丁はじめ、新世界界隈には「ソース二度つけ禁止」の注意看板が書かれた串カツ屋が立ち並び、街中には若い女性やカップルが目立つ。テレビの取材も当たり前のように行われていて、もはや大阪を代表する観光スポットとして大勢の人々が集まる場所になっている。

何も新世界は串カツばかりではない。「食の都」らしく高級に行けば「てっちり」もあるし、庶民的に500円以内で食える定食屋もある。焼肉を食ってもいいしホルモン焼きを食ってもいい。

通天閣を中心とした新世界の街並み。道頓堀戎橋の風景と同じく、もうこれ以上「大阪」を象徴するような風景はない。どっから見ても大阪である。「新世界」へは地下鉄動物園前・恵美須町駅、JR新今宮駅が最寄り駅。恵美須町側は「でんでんタウン」にも近い。

この界隈はどこを歩いても通行人ですら異質に感じる。もちろん日本最大のホームレスタウン「ニシナリ」を抱える街だからというのもあるが、行政区画では浪速区と西成区に跨っている。浪速区も西成区もとても夜間は女性の一人歩きをオススメできない場所だ。この界隈は文句なし、大阪一のデンジャラスゾーンである。

まずは地下鉄動物園前駅を降り、地上に上がるとションベン混じりのなんともいえない異臭の立ち込めるJR大阪環状線ガード下と街中動物園のような通りを抜けると、目の前に現れる悪趣味で巨大な屋内型遊園地「フェスティバルゲート」が現れる。もはや廃墟同然と化した税金無駄遣いダメポ物件をすり抜けていくと、突如として大階段の下から通天閣を正面にいかにも大阪臭い風景が現れる。

この付近を総称して「新世界」と呼んでいる訳だが、元々は明治36年にこの一帯で開催された「第五回内国勧業博覧会」の跡地で、大規模な歓楽街が開発された事から始まっている。それまでは、大阪市街から外れた「天王寺村」の一画で、何もない原っぱでしかなかったという。

めっちゃ大阪 串カツセット 7種合計35本 ソース1本付

この新世界で最近顕著に現れた変化の一つとして、「串カツ屋」の乱立現象が見受けられる。
元々、新世界自体は西成の労働者といった低所得層の庶民を対象とした歓楽街で、そこで出されるグルメも、やはり庶民向けで安く腹いっぱい食べられる事を主眼に置いた店舗が多い。

だから、簡単かつお安い料理の代表格が「串カツ」ということになる。食材をそのまま揚げれば済む訳だから手軽で手間が掛からない。より多くの労働者に安く食材を提供するには合理的な料理なのだ。

観光地化された一画とは対照的に、こうした素朴なうどん屋が、大量に店を構えている。

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そして串カツと並んで特徴的なのが「ホルモン」。本来なら「放るもん」と言われ捨てる部位である牛の内臓を料理に使うのだ。これも安価ながら栄養価が高い食材であり大阪庶民のソウルフードとしては欠かせない。ホルモン料理には「ホルモンうどん」や「どて煮」などがある。

「ホルモンうどん」で長らくジャンジャン横丁入口で暖簾を出している「丸徳」に入る。

一杯450円のホルモンうどんは濃厚なだしに入ったうどんとホルモンの旨みが、一癖あって面白い。

ホルモンうどん以外には泡盛や海ぶどう、チラガースモークなどなど、沖縄チックな居酒屋でもあり、そしてやたら店内が汚いので、ジャンジャン横丁入口という絶好のロケーションにも関わらず観光客がみんな避けて店に入ろうとしないというところが特徴。ちなみに丸徳のすぐ左隣も同じくホルモンやら泡盛やらを出す居酒屋だが、これは姉妹店なのだろうか。

しかし最近新世界界隈に乱立気味の新興串カツ屋は、わざとド派手な外観を見せつけ「コテコテ感」を過剰に演出しまくっていて、いささか食傷気味にも思えるのだ。

通天閣を正面に、新世界の一等地で角地に面する「横綱」がコテコテ度ナンバーワン。黄金色の輝く通天閣の守り神「ビリケン」の存在感も他の店とは違う風格が漂う。

原色多用系コテコテ物件「朝日」。黄色と赤をふんだんに使っているところは、まるでスーパー玉出のそれみたいだ。

食傷気味なフレーズの数々も見逃せない。新世界にはまだまだ数え切れないくらい串カツ屋が乱立している。

「やまと屋」「大西屋」。

もう一軒「大西屋」。

「新世界串や」。

「串かつじゃんじゃん」。

「ヱビス」。

「鶴亀家」。

「壱番」。

さて、目立つ所の店はこんなもんですが、貴方ならどこで食べます?
ぶっちゃけてどれも真新しくて小奇麗で、それでいて店員もマニュアル応対で、なんだか物足りません。無難に済ませたいならそれでいいけど、やっぱりそれでは「新世界」を堪能したことにはならない。だから、少しだけ裏の路地に入ってみよう。

同じ「串カツ」を食べるんなら、ジャンジャン横丁の中とか、裏路地の、小汚くって匂いのきつそうな、西成のオッサンが飲んだくれているような店に入れば間違いないだろう。ここはひとつ、野良猫になったつもりで、新世界を徘徊してみよう。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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