思ったよりこじんまりとした境内に3日間で100万人なのだから、一体どれだけ凄いか想像に難くない。笹を持って参拝に来る浪速商人に混ざって雑踏警備のガードマンと修行中の僧侶が念仏を唱えながら立つ。入口からでも、スピーカーから放たれる「商売繁盛で笹持って来い」とおなじみのフレーズが繰り返し繰り返し。
今宮戎神社の御祭神は「えべっさん」…じゃなくて正式名称で書かれている。天照皇大神、事代主神、素盞鳴命、月読尊、稚日女尊。「えべっさん」と呼ばれているのは事代主神のことである。
賑やかだ。やっぱりここは大阪だとしか言いようがない、これ以上ないほどの“大阪”感。境内は福笹を持った人でいっぱいである。
境内左側の建物にある窓口にずらーっと並んだ「福娘」のオネエチャン方に小判、米俵、銭袋、鯛など、様々な願掛けを意味する縁起物(吉兆)をつけてもらうのである。笹自体は境内でタダでもらえるのだが、笹に付ける「吉兆」のあれこれが、1500円からン万円するものまでよりどりみどり。体裁よく何個か付けてもらうと軽く1万円を超えてしまう。平気で万札が飛んでます。さすが商売の神様を祀っている大阪らしい神社の祭事。
お賽銭もハンパなく凄いのが今宮戎神社の凄い所。平気で一万円札が投げ込まれてますよ。
と、その横で大阪朝日放送のテレビカメラが取材中。関係者の人が諭吉万札を手にインタビューを受けていた。2005年の初詣から巷を騒がせていた「偽札大量発生」事件で、この今宮戎神社にも偽札の魔の手が迫っているかも知れなかったのだ。
この今宮戎神社においても「偽札警戒中」とデカデカと書かれた浪速警察署の看板があちこちに見られた。今宮戎神社だけではなく周辺の露店も全て諭吉万札には偽札ナンバーでないかどうかチェックする体制が整っていた。しかし大阪民国は偽物がよく出回る土地柄である。
毎年新しい福笹に変えるため、去年までの古い福笹は参拝前にこの樽にまとめて放り込んでおく。よく見ると福笹や縁起物ばかりではなく、色んなものが入っている。こんなところにまでゴミをポイ捨てする奴はまさか居ないとは思うが。
吉兆と呼ばれる縁起物を取り付ける「福娘」のオネエチャン。総じて美人ぞろいである。
大阪にもこんな育ちのええ女の子がおるんや、と感心するほどである。なにも大阪市内出身だとは決まっていませんが。
実は「福娘」になるためのハードルはかなり高い。2005年の十日戎では競争率88倍の難関なのである。容姿端麗で育ちもよろしいお嬢様ばかりが福娘に選ばれるわけだ。それはそれは選りすぐりの大阪美人。
関西では履歴書に福娘の経験ありと書くだけでも、一発採用になるくらい「就職に強い」そうだ。ところで、あの藤原紀香も昔はここで福娘の経験があったそうです。
若い女の子が好みではないという方のためにも、一回り年上の歴代福娘コーナーもございますので、そちらをご利用くださいませ。
まだまだ熟女をお好みの方は、おみくじコーナーもございますので。
こちらはお神楽舞いコーナー。より一層の福を授かるために熱心な参拝客が巫女様のお神楽舞いを受ける。
行列を作って、鉄板に向って平手をバシバシ叩きつけてる参拝客のみなさん。これは「壁たたき」といって、えべっさんに願いを掛けた参拝客が再度念を押して「わての願い聞いてくれてまっかー、ボンボン」と言ってるかどうかわからんが、この鉄板を叩く訳である。
でかい福耳を持ったえべっさんは耳が遠いそうで、念押しに壁たたきをやってから帰らないとえべっさんから福を貰えないのだそうなのだ。ついでにドサクサ紛れに千社札やステッカーも貼っていく参拝者もいるようである。
関西経済の象徴的祭事であるが故に提灯には名立たる関西企業の名前がずらーり。地元の企業や銀行もたくさんあるが、その傍らではパチンコ屋やラブホテルの名前まで見かけられる。いやはやなんとも。