【浪速区】商売繁盛を願う大阪商人が集う「今宮戎神社・十日戎」を見る(2007年)

関西の飲食店に入ると、よく店の中に笹の葉に飾りが付いた置物を見かけることがあるが、これが有名な浪速商人の縁起物である「商売繁盛で笹持って来い」のフレーズで有名な今宮戎神社の「福笹」である。

毎年1月9日から11日の3日間にかけて行われる各地の「戎神社」の十日戎では大勢の商売人達が商売繁盛のご利益を預かりに訪れる。とりわけ浪速区にある今宮戎神社の「宵えびす」は3日間で100万人もの参拝客が訪れる、大阪を代表する年の始めの風物詩である。

室町時代のはるか昔より商都として商業の歴史の舞台となった大阪の代表的な祭、今宮戎神社・十日戎の模様をレポートする。

今宮戎駅

最寄り駅は南海電車の今宮戎駅ですが、地下鉄恵美須町駅やなんば駅から徒歩でも行けます。
でも、今宮戎駅の高架下駅舎のボロさには萌えますね。いい感じです。

駅前でもえべっさんグッズ

駅前でもえべっさんグッズなどの縁起物が売られた店がいっぱい出てます。場所が場所だけにどうしても闇市臭く見えるのは気のせいなんでしょうか。

チヂミ屋

今宮戎神社と反対方向には、キムチやチヂミを売る韓国食材の出店があった。実は浪速区や西成区も、生野区に次いで、在日コリアンが多く住むエリアである。他にも中国人なども多い。都心なのに不思議と土地が安いこのエリアに移り住んで、スーパー玉出みたいな激安の店もあるし、案外良さそうに思えても、やはり浪速区という土地では女性を狙った卑劣な犯罪が飛びぬけて多い事実も拭えない。

リトルコリア

街並みはそこはかとなくリトルコリア。どちらかと言えば今里新地などと同じくニューカマーが多い土地だ。

チャンス

韓国人向けバラエティショップもございます。

スーパー玉出

んで、やっぱりお約束の「玉出」もある。

チヂミ

さらには出店の屋台もチヂミが売られています。ハングルで書かれているところがポイント。

ペヨンジュソースやきそば

さらには縁起物までサランヘヨである。「冬のソナタ」バージョン。

出店群

今宮戎神社の境内に入る前に寄り道をしてみよう。十日戎のもう一つの見所は、神社の周囲に張り巡らされた大量の出店群である。ここに行かないわけにはいかんでしょう。

出店群

今宮戎神社の周辺から、出店の列が南海電車の高架線沿いに、難波駅前まで伸びている。

居酒屋の出店

十日戎の3日間だけはご覧のような活気を見せる今宮戎神社とその参道。しかし普段は裏寂れた下町でしかないし、この目と鼻の先にドヤ街や元スラムなんかもあるので、雰囲気はやはり悪い。

浪速区のデフォルト

浪速区のデフォルト

参道を一歩外れると、そこに広がるはアウトロータウン・浪速区クオリティ。

ホームレスに占拠された公園

まるごとホームレスに占拠された「日本橋公園」。えべっさんの福もここには届かない。

えべっさんショップ

えべっさんショップ

大小さまざまなえべっさんの福顔のついた縁起物の数々。
ものすごい量である。高いものは3万円台のものもある。
言うまでも無くこれが大阪の飲食店などに入れば目に付くものの正体だ。

えべっさんの品定め

縁起物とはいいながらも、高い買い物、家内の福の守り神となる「えべっさん」。なるべくならいい笑顔のえべっさんを選びたいもの。参拝客の目は真剣である。

これを買うときも相手の言い値そのままで買うのは大阪人のやり方ではない。店主と交渉して徹底的に値切りをすれば半額くらいには負けてもらえるという。ここで店主とのやりとりの旨い下手がここで試される。

値段の交渉

なにせ商売の神様だ。商才のない者はここでは損をするばかりである。
つまり大阪人はガメつくしぶとく生きるのが何よりの徳だという論理が成り立つ。遠慮してばかりの平身低頭な人間は大阪では最初から負け組みなのである。

こんな何気ない風景にも大阪人としての試練の場があるのだ。

毘沙門さん

今宮戎神社のそばには「えべっさん」だけじゃなくて毘沙門さんもいるのだ。こちらも参拝客でごった返している。

お不動さん

ついでにお不動さんもあるし、なんだか法善寺横丁みたい。
摂津国八十八ヶ所霊場第二十八番「毘沙門堂浪速寺」と申します。

毘沙門さん

毘沙門さん

年の初めに縁起の良い思いをするがそれにしても人の多さにはビックリ。
こんな小さなスペースだけあって身動きが取れなくなってしまう。

ゴミの山

だが、皆様が信心深く祈りを込めているこのお堂のまん前にこのゴミの山。罰当たりだぜ。
一体このようにして平気でゴミを散らかす者どもはどこの阪国人だ。
公共心がない「たんつぼの街」だと森喜朗が悪態をつくのも無理はない。

歩けないほどの人ごみ

3日間の行事で100万人の人出があるという大規模な祭りだが、付近の道路の渋滞はそれほどでもない。大阪ではマイカーより地下鉄を使う人のほうが多いわけで、下手に車で来るとコインパークはほぼ全て埋まっているので路上駐車するハメになる。当然警察さんも沢山居て、取締りの格好の餌食になる。やはり電車で来るべき。

今宮戎神社

思ったよりこじんまりとした境内に3日間で100万人なのだから、一体どれだけ凄いか想像に難くない。笹を持って参拝に来る浪速商人に混ざって雑踏警備のガードマンと修行中の僧侶が念仏を唱えながら立つ。入口からでも、スピーカーから放たれる「商売繁盛で笹持って来い」とおなじみのフレーズが繰り返し繰り返し。

主祭神

今宮戎神社の御祭神は「えべっさん」…じゃなくて正式名称で書かれている。天照皇大神、事代主神、素盞鳴命、月読尊、稚日女尊。「えべっさん」と呼ばれているのは事代主神のことである。

境内

賑やかだ。やっぱりここは大阪だ。

境内

境内

境内は福笹を持った人でいっぱいである。

福娘コーナー

境内左側の建物にある窓口にずらーっと並んだ「福娘」のオネエチャン方に小判、米俵、銭袋、鯛など、様々な願掛けを意味する縁起物(吉兆)をつけてもらうのである。笹自体は境内でタダでもらえるのだが、笹に付ける「吉兆」のあれこれが、1500円からン万円するものまでよりどりみどり。体裁よく何個か付けてもらうと軽く1万円を超えてしまう。平気で万札が飛んでます。さすが商売の神様を祀っている大阪らしい神社の祭事。

お賽銭が凄い

お賽銭もハンパなく凄いのが今宮戎神社の凄い所。平気で一万円札が投げ込まれてますよ。

取材中

と、その横で大阪朝日放送のテレビカメラが取材中。関係者の人が諭吉万札を手にインタビューを受けていた。2005年の初詣から巷を騒がせていた「偽札大量発生」事件で、この今宮戎神社にも偽札の魔の手が迫っているかも知れなかったのだ。

偽札警戒中

この今宮戎神社においても「偽札警戒中」とデカデカと書かれた浪速警察署の看板があちこちに見られた。今宮戎神社だけではなく周辺の露店も全て諭吉万札には偽札ナンバーでないかどうかチェックする体制が整っていた。
しかし大阪民国は偽物がよく出回る土地柄である。

古い福笹はこちらへ

古い福笹はこちらへ

毎年新しい福笹に変えるため、去年までの古い福笹は参拝前にこの樽にまとめて放り込んでおく。よく見ると福笹や縁起物ばかりではなく、色んなものが入っている。こんなところにまでゴミをポイ捨てする奴はまさか居ないとは思うが。

福娘

吉兆と呼ばれる縁起物を取り付ける「福娘」のオネエチャン。総じて美人ぞろいである。


福娘

大阪にもこんな育ちのええ女の子がおるんや、と感心するほどである。なにも大阪市内出身だとは決まっていませんが。

福娘

実は「福娘」になるためのハードルはかなり高い。2005年の十日戎では競争率88倍の難関なのである。容姿端麗で育ちもよろしいお嬢様ばかりが福娘に選ばれるわけだ。それはそれは選りすぐりの大阪美人。関西では履歴書に福娘の経験ありと書くだけでも、一発採用になるくらい「就職に強い」そうだ。

ところで、あの藤原紀香も昔はここで福娘の経験があったそうです。

歴代福娘コーナー

若い女の子が好みではないという方のためにも、一回り年上の歴代福娘コーナーもございますので、そちらをご利用くださいませ。

おみくじコーナー

まだまだ熟女をお好みの方は、おみくじコーナーもございますので。

お神楽舞い

お神楽舞い

こちらはお神楽舞いコーナー。より一層の福を授かるために熱心な参拝客が巫女様のお神楽舞いを受ける。

念入りの壁たたき

行列を作って、鉄板に向って平手をバシバシ叩きつけてる参拝客のみなさん。これは「壁たたき」といって、えべっさんに願いを掛けた参拝客が再度念を押して「わての願い聞いてくれてまっかー、ボンボン」と言ってるかどうかわからんが、この鉄板を叩く訳である。

でかい福耳を持ったえべっさんは耳が遠いそうで、念押しに壁たたきをやってから帰らないとえべっさんから福を貰えないのだそうなのだ。ついでにドサクサ紛れにステッカーも貼っていく人もいるようである。


名立たる関西企業

関西経済の象徴的祭事であるが故に提灯には名立たる関西企業の名前がずらーり。地元の企業や銀行もたくさんあるが、その傍らではパチンコ屋やラブホテルの名前まで見かけられる。いやはやなんとも。

パチンコ

中小企業の破産、銀行の破綻・統合が激しかったのも、やはり関西だった。そして、そんな関西で勢いを挙げているのがパチンコ業界だったりする皮肉。
ギャンブルは不況になるほど景気がよくなるとも言うが、ここまで露骨なのは関西くらいではないのか。

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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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