兵庫県播磨地方の中心都市である姫路市に、半世紀近くも前にモノレールが走っていて、未だに橋脚などが残されている…まあ有名っちゃ有名な「姫路市営モノレール」の存在なんですが、今までまともに見に行った事が無かったので、無くなる前にせめて見れればと思い遅ればせながら行ってきました。
まずはJR姫路駅前から西側に伸びる道沿いに歩いて行く。このへんは再開発が行われているせいで空き地だらけ。モノレールの遺構がいつまでも残る訳でもなさそうなので、もしかしたら撤去されたか…という事も一瞬頭によぎったが、もう少し先に進むと…
程なく、見ての通りの凄まじいオンボロ場末飲み屋街が現れる。もうかなりの率で空き家となっていて、スナックや小料理屋の残骸が申し訳程度に入っているのだが、その上を見るとなんとモノレールの橋脚が建物をぶち抜いてそびえているように見える。
傍目に見れば「煙突?」と思えるような構図だが、確かにこれは姫路モノレールの橋脚である。下から見ると橋脚が建物にぶっ刺さってるようにも見えるが、実際は「橋脚を避けて建物が建てられている」らしい。
一軒だけぽつんと屋号もろくに掲げていない怪しげな店が開いているんですけど、一体何だと思ったら「おとなのおもちゃ」屋だった…しかしそこにも「年内で店を閉店致します」の張り紙が。ああ、無情…
ここいらのオンボロ飲み屋街は実は市有地で、姫路モノレール完成後に敷地の有効活用を兼ねて民間に貸し出して建設されたものらしい。だがかなり前からお役御免となったっぽく廃業した飲食店ばかり。
唯一の途中駅であったモノレール大将軍駅の手前まで300メートルくらいの区間でこのような光景が見られる。一方で始発駅だったモノレール姫路駅は現在の山陽百貨店の敷地に建っていたが、こちらは完全に撤去されて跡形も無くなっている。
橋脚だけではなく軌道も残された箇所も多いが、経年劣化が酷くコンクリートの欠片が落下したり、地震の影響で軌道がまるごと落ちる危険性もあるので、廃線マニアがハァハァよだれを垂らして「昭和遺産だ…」と鼻息を荒くする光景でも、やはり行政としてはとっとと撤去したいのが事情らしいです。
まともに入居する店も少ないし、そもそも商店街の体裁ですらない人通りのまばらなモノレール軌道跡、とりあえずお米の自動販売機でも入れといた的な米屋さんもありますね。日本人以外が見たら何の自販機なのか訳が分からなさそうな米自販機です。
相変わらずシャッター通りみたいな感じのが続くのだが、モノレール廃線跡が撤去される事になればこれらの店も恐らく解体となるのであろうか。ラーメン兵庫県…じゃなかった、兵庫軒も店開けてませんね…
物悲しい感じのモノレール廃線跡から一歩表の道に出るとこちらは再開発されてしまいすっきり広々とした感じになっております。
そして反対方向を振り返ると…姫路モノレール廃線跡巡りにおける最大の遺構、モノレール大将軍駅の駅舎がすっぽり収まる異形の集合住宅「高尾ビル」(高尾アパート)がその姿を見せるのであった。