【大阪市無駄物件図鑑】無人島に総工費635億円を費やした浮体式可動橋「夢舞大橋」を渡る

大阪湾に浮かぶ3つの人工島。それらを橋とトンネルで結び、新都心を作り出そうと大阪市が総額2兆2千億円もの公費を投じて推し進めた、世界に類を見ない規模のプロジェクト「テクノポート大阪計画」。その一環として進められた「2008年大阪五輪」招致活動は失敗に終わり、新都心計画は事実上破綻、大阪ベイエリアは赤字遺産が立ち並ぶ、見るも無残な姿を晒している。

3つの人工島のうち、夢洲と舞洲を結ぶ巨大な橋がある。その名前は「夢舞大橋」。その名のごとく夢に舞う人間は決して納税者たる大阪市民ではない。マイカーを持たず電車にしか乗らない世帯が多い大阪市民の一体どれだけの人が、この橋の存在を知っているのだろうか。

幻の2008年大阪五輪を見据えた過剰投資の一例です

この夢舞大橋の総工費は約635億円。「635円置く」んとちゃうでえ、というコテコテ大阪ギャグも全く持って通じない超豪華浮体式旋回可動橋である。こんなどえらい橋は世界中探しても大阪ベイエリアにしかない。

夢舞大橋を渡った先の「夢洲」はまだまだ造成途中でコンテナヤード施設がある以外はひたすら空き地が続いており、大阪市営の路線バスも運行されていない。2009年に夢咲トンネルが開通し、南港(咲洲)側と繋がったことで往来可能となり、一般車の通行も自由になっている。

歩道側からの夢舞大橋の入口にやってくると「自転車・歩行者 通行できません」との注意看板が立っていて、この先に進むと…

橋本体の車道とは別に整備された歩行者用通路の入口が鉄柵で封鎖されている。2001年の橋開通以後、15年以上が過ぎた現在も歩行者用通路は閉鎖されたままだ。それなら歩道など最初から作らなければ良かったのではないか。全くの無駄でしかない。

徒歩での夢舞大橋渡り初めはいつ叶うことやら分かりませんが、とりあえず足元の岸壁にやってきました。案の定というか近所のおじさん達が釣り竿を垂らして暇そうにたむろしている。橋の下の側道にたくさんの自家用車が路駐されている通り、夢舞大橋の下は非合法的な魚釣り場と化している。

いくら行政による「魚釣り禁止」の注意書きがいくら書かれていても効果はない。毎年何人か岸壁から落ちて溺れ死んでいる人間もいそうだが、あくまで自己責任のもとで楽しんでいる事だろう。

世界的に例のない超豪華浮体式旋回可動橋、その使い道は…

夢舞大橋の建設になぜ600億以上ものとてつもない大金が掛かったのか、その理由がこの橋の構造にある。これは橋が開く時の軸となる「回転ピン」の部分。まるで軍艦のようである。あまりに巨大すぎてびっくりする。

舞洲と夢洲の間の航路は普段、夢舞大橋の下を潜れる高さの小型船舶しか往来ができない。しかしこの橋は「有事の際に大型船舶が航行可能なよう可動機能(旋回式)を有する橋として建設されました」と大阪市のホームページに書いてある通り、この回転ピンを軸に90度、橋自体が横に開く仕組みになっている。「有事の際」ってなんだよ…

ちなみに橋の開通以降、可動橋の開閉訓練が二年に一度のペースで行われている。この訓練で回転ピンを動かしておかないと、構造部分が錆びたりなどして壊れて二度と動かせなくなる恐れがあるからだそうで、橋の維持も大変ですよね…しかも最初の2004年、2005年に二度行われた開閉訓練は機器が作動せず開閉に失敗してしまっている。

幻の大阪五輪選手村の人工島、ゆくゆくはカジノ誘致か?

咲洲・舞洲に続く大阪市第三の人工島「夢洲」。住所は此花区に属しているが居住人口は未だにゼロ。当初の予定では2008年大阪オリンピックの選手村になる場所だったが、それを踏まえた定住人口45000人の人工都市を作る計画はとっくに破綻。夢の島どころか不毛の島である。現在もコンテナターミナルや物流センターがある程度で、島内にはめぼしい施設は皆無である。

そんな夢洲にある唯一の店舗がコンビニエンスストア「セブンイレブン大阪夢洲店」である。こんな何もないところで24時間営業…と思うかも知れないが、こう見えて客の入りは上々だ。

2009年に夢咲トンネルが開通してから、夢洲を経由して南港および北港エリアを行き来できるようになった為、このコンビニを利用するトラックドライバーが非常に多い。夜中になると関西一円から走り屋やら暴走族、それに見物人のDQNが群がりカオスな様相を呈するらしい。

未だに使い道もなく人工島の大半が空き地のまま虚しい姿を晒している夢洲だが、カジノ法案通過で合法化の流れになることを見越して、大阪の政財界は夢洲にカジノを核とした統合型リゾート(IR)の誘致に躍起になっている。それに加えて2025年を開催予定とし、実現すれば55年ぶりとなる大阪万博の誘致活動も並行して行われており、この夢洲を会場候補地として推している。

90年代バブル崩壊で惨状を晒した大阪市の赤字遺産の数々、今後はエンターテイメントの街の牽引役として頑張ってもらいましょう。カジノで治安やギャンブル依存症が悪化するから反対などと一部の赤い方々が反対されてますが、元から治安も悪いしギャンブル依存症ばっかりですよ、この地域。

当記事では夢舞大橋の総工費について当初「664億4000万円」と記載していましたが、最近の情報では「635億円」を正式な金額として記載しているサイトが多くみられるので、記載金額を修正しました。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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