【吹田市】ビールと操車場の街「JR吹田駅前」のさえない再開発ビルを観察する

関西エリアを網羅するJR西日本の基幹路線である東海道本線のうち「JR京都線」は大阪と京都、さらにその先の滋賀県に向けて広範囲に通勤圏を拡大しており、最大速度130キロを弾き出す「新快速」電車の豪快ぶりに首都圏のノロノロ通勤電車に乗り慣れた人間はおったまげる事請け合いなのだが、そんな新快速が止まらない途中駅はどこもパッとしない印象がある。

今回やってきたのは新大阪駅からわずか二駅目の「吹田駅」である。以前、この隣の岸辺駅前も紹介したが、同じ吹田市に属する駅としてはこちらが市の中心部である。駅前にはアサヒビールの工場があるのが目印。ただし吹田駅は新快速はもとより快速電車も爆速でスルーである。

ビール工場と操車場の街

JR吹田駅の開業はなんと今から遡る事140年以上前、明治9(1876)年のことである。駅のすぐ北側には「アサヒビール吹田工場」が隣接しているが、これは明治24(1891)年に「有限責任大阪麥酒会社吹田村醸造所」として作られたものが今の今まで現存している。アサヒビールと言えば東京・吾妻橋の本社「うんこビル」でお馴染みだが、アサヒビール創業の地はここ大阪・吹田であり、当初から吹田は「ビールと操車場の街」と呼ばれている。

アサヒビール吹田工場では事前予約制で無料試飲体験付き見学を随時実施していてビール好きの観光客に混じって「タダで飲める」と聞いて黙ってはいられないドケチな大阪人の定番スポットと化している。あまりに駅に近すぎるのでパチンコ帰りの近所のオッサンとかも普通に参加してそうですな。

関西の土地勘がない転勤族にとって、ガラの悪くアクの強い大阪で暮らすのに最も抵抗が少ないとされる「北摂」エリアに一応属するのが吹田市だが、新大阪から僅か片道5分で来られるJR吹田駅付近は殆ど大阪市内と生活環境が変わらない。転勤族は阪急千里線の千里山以北に住むのが無難である。吹田市と豊中市は同じ市内でも南部と北部で別世界なのである。

1970年代に再開発された吹田駅南口「吹田さんくす」

駅南口に出ると広い駅前ロータリーに統一感のある駅前商業ビルが揃っており郊外都市の駅前といった佇まいを見せているが、この再開発ビルは昭和54(1979)年に完成した「吹田さんくす」と称する施設で、既に40年モノのお古である。元ダイエーの「イオン吹田店」を核テナントとしているが、さすがに古臭さは拭えない。

そんな駅前から広がる「旭通商店街」をはじめとした商業地域、そこそこ栄えてはいるものの下町仕様全開でもあり中途半端感が漂っている。やはり新快速が止まる高槻駅と比べても発展度合が鈍い。おまけに神崎川を隔ててすぐ大阪市東淀川区に隣接している。この駅前の商店街についても次回のレポで詳しく触れる事にする。

ひとまず古臭くてしょうがない駅前の「吹田さんくす」が気になるので、ここの地下にある「地下のれん街」とやらを見物してみることにする。まあなんとも昭和過ぎる佇まいですこと。

高槻駅前の「グリーンプラザたかつき」3号館の地下飲食街もかなり古すぎてキテるのだが、こちらもなかなか強烈な予感が致します。そろそろ「再々開発」の予定はないんでしょうかね。

昭和45(1970)年に開催された大阪万国博覧会の会場となった千里丘陵を市域に持つ吹田市、高度経済成長期のイケイケドンドンな流れに乗って早い時期に駅前再開発事業に着手し、立派な地下飲食街を抱える都会的な商業ビルも生まれた。

しかし、地下飲食街はどんな感じでっしゃろかと足を踏み入れると、まあ…やっぱり寂れた感漂ってますね…土着民向けの居酒屋やスナックが多数を占めている。

夕方以降は一気に飲ん兵衛客がたむろしそうな佇まいの地下飲食街。シャレオツバルだの何だのとは一切無縁の世界のようだ。

通路の行き止まりにも容赦なく「呑み処」。同じ吹田市でも、この駅前は「北摂のニュータウン」感皆無である。

そんな昭和風情全開の空間にこそ似合う大阪の土着中華チェーン店「珉珉」も吹田さんくす内に店を構える。全国展開している餃子の王将や大阪王将とは違って関東進出してないように思えたが、実は東京にも数店舗進出している。店内に置かれたビール箱はもちろん地元産アサヒビール。

そんな煤けた地下飲食街と元ダイエーのイオン吹田店がある「吹田さんくす2番館」の上層階は分譲賃貸マンションである。築年数は相当古いが駅前一等地の立地が強みで、フルリノベーション物件の2LDKで家賃12万といったところ。空き部屋はなかなか出ません。

イオン吹田店の入口を見るとそこには元ダイエー感を放つ「ドムドムハンバーガー」の店舗が。“お好み焼きバーガー”などというキワモノメニューを世に放つだけあって、やはり関西に生き残り店舗が多い。2017年以降は事業買収されダイエーグループの手を離れている。

駅北側の再開発タワマン「メロード吹田」の足元が寒々しい

一方、今度は吹田駅構内の通路を抜けて北口に出ると、こちらも再開発で整備されたごっつい佇まいの超高層タワマンがそびえている。1996年に完成した39階建てタワーマンション「メロード吹田」。北摂地域では2009年に竣工した千里中央の「ザ・千里タワー」に抜かれるまでは長らく最高層マンションとして君臨していた物件だが…

その足元を見るとのっけからパチンコ屋がジャンジャンバリバリ営業しているというオチ。似非セレブ集団がタワマンに対し勝手に抱く高級感からはおおよそ程遠い。

メロード吹田の1階から3階までは商業施設になっているのだが、随分とテナントが歯抜けだらけになっていて酷い。ここにやってくるのは殆どがパチンコ「キコーナJR吹田駅前店」の客ばかりだ。

パチンコ屋以外、飲食系テナントはほぼ全滅という有様で、お腹が吹田…いや、空いた時も飯を食える場所が全然見当たらない件。喫茶店も潰れたまんま放置プレイかまされてますやん。食い物屋と言えばタワマンの上に昇った38階に中華バイキングが入居しているくらいか。

タワマン完成直後に大枚叩いて物件購入した小金持ちは階下のテナントの惨状をどう思っているのだろうか。せめて気の利いたスーパーの一つでもあれば雰囲気が変わるものだが、どうにかしようという姿勢もないようである。

テナント一覧表も見ての通りのグダグダっぷり。往年のピエリ守山も真っ青の空きテナント率の高さは都心至近の街の一等地のそれとは思えない。物件を管理する「吹田市開発ビル株式会社」のページを見ると筆頭株主は吹田市…やっぱり第三セクターですかね…


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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