【大阪市無駄物件図鑑】住之江公園駅前、事実上破綻した大阪市交通局の土地信託事業「オスカードリーム」

地下鉄四つ橋線の終点と、南港ポートタウン線(ニュートラム)の始点、住之江公園駅を上がった所に「オスカードリーム」という施設がある。「フェスティバルゲート」同様、大阪市交通局所有の土地を有効活用しようと、交通局旧住之江車庫用地を開発し、総事業費223億円をかけて、地上19階・地下2階の複合商業ビルを1995年3月23日に開業させた。

大阪市交通局の土地信託事業、負債276億円で事実上破綻。泥沼の裁判の末2014年和解

2017年時点のオスカードリーム外観。もう一方の大阪市交通局の土地信託事業「フェスティバルゲート」のように建物自体が解体されて跡地がパチンコ屋になってしまっていた、というオチはございませんでした。しかし住之江公園なんて競艇場に来るギャンブル親父くらいしか用事のない街やろ正直言って。

オスカードリームは1995年の完成後バブル崩壊の煽りで地価下落、賃料の大幅低下に繋がり経営悪化を招いた。2004年の時点で累積赤字は52億円を計上。翌2005年には管理会社の解散など経費削減を行ったため1995年の開業以来初めて黒字を達成したらしいが、2005年11月末で核テナントだった「住之江ホテル阪神」も撤退。(現在は大阪ジョイテルホテル)

2006年末にはとうとう信託事業を受託していたみずほ信託銀行が、これまでの赤字立て替え分275億円と遅延損害金を大阪市に支払うよう大阪地裁に調停申し立て。しかし大阪市側は経営責任は信託銀行側にあるとして支払いを拒否。逆に信託銀行側に配当金約36億円の支払いを求め逆ギレ的に民事調停を申し立てるに至る。

長年の泥沼の裁判の末、2014年になって大阪高裁より和解勧告が行われ、大阪市が同行に約283億円の和解金を支払い決着した。また同年中にオスカードリームの土地建物は売却のため一般競争入札が行われ、住之江区の不動産会社キンキエステートが約13億円で落札、現在は同社の所有物件となっている。

大阪市負の遺産ガラガラモール、絶賛営業中

当取材班は2005年の時点からオスカードリームの様子を何度も観察に訪れているが、近年は外国人観光客の増加で施設内にある「大阪ジョイテルホテル」の宿泊者が増えて若干賑やかになってきたようだ。まあ、その多くが中国人ばっかりなんですが、都心から離れた立地のおかげで幾分宿泊代がお安いようだ。

同じ大阪市交通局がらみの施設か、かつてのフェスティバルゲート同様、オスカードリームもまた地下鉄駅から直結通路があり、一応駅からアクセスはしやすい。しかし住之江公園駅の利用者の大半が地下鉄四つ橋線とニュートラムの乗り換え客ばかりで、この動線とは全く被らない。南港ポートタウン住民にはあまり縁がない施設であろう。

オスカードリーム館内の店舗テナント一覧を見る。どうやら昔のガラガラモールっぷりの惨状と比べれば結構持ち直してきているようで、お安いベビー用品店の西松屋、お安いカジュアル衣料のHONEYS、100均のダイソー、キッズ衣料リサイクル店など貧乏シングルマザー率の高い土地柄を伺わせる店のチョイスがなんとも大阪市内らしい。隣にドン・キホーテもあるのでDQN層のお買い物回りは完璧過ぎる環境。

館内エレベーターは商業施設とホテルが共同となっていて、ホテルの宿泊客である中国人が大勢一階でたむろしているのが見える。住之江公園から直接関西空港にはアクセスできないので、逆に穴場感があってお安い宿を求める一部の旅行者の間では人気なのかも知れない。

オスカードリーム館内中央のでかい吹き抜け、上層階を見ると相変わらず空きテナントが目立つ。買い物客もあまりおらず、時々ご老人がいたり、金髪のヤンママが子連れで歩いていたりする程度。そう言えば住之江区出身の某元スノーボード女子選手は今どうしているのか、気掛かりである。MUTEKIデビューとかしてる場合なのだろうか。

館内中央の吹き抜けにぽかーんと間抜けそうに浮かんでいたはずのでかい招き猫の風船がいつの間にか消えて無くなっていた。ガラガラモールに招き猫なんて皮肉でしかないように思えて、それはそれで滑稽な風景だったのだが、出来れば残しておいて欲しかった。

上層階の様子も少し観察しておいた。やはり空きテナントがそのままになっている箇所が見られた。南港の「ATCあそびマーレ」みたいな有料キッズスペースでも作れば繁盛するんちゃいますかね?

また4階には日本年金機構「玉出年金事務所」が入居している。南港ATC・WTCと同じく、寂れた商業施設に公共施設が入居するのはお決まりのパターン。

引き続きバスターミナルとしての機能は維持

当初は大阪市交通局の土地信託事業として建てられたオスカードリームには市バスターミナルが併設されている。事実上の破綻状態でその後どうなるものかと見ていたが、結局別会社に引き渡されてもバスターミナルは建物賃貸借契約された形で維持しているのだ。乗客はご老人ばかりなんですが…

住之江公園駅前からはかなり多くの運行系統があり、難波、ドーム前千代崎、出戸バスターミナル、地下鉄長居駅、南港南六丁目、それと大阪市外に出て南海本線堺駅西口に行くバス路線がある。市バスは2018年4月からの民営化で「大阪シティバス」に名を改めている。

このオスカードリームが紛れもない大阪市交通局の負の遺産である事も、組織の解体が行われた今となっては徐々に忘れ去られていくものだろうか。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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