【港区】観光地になり損ねた大阪港の残念スポット「赤レンガ倉庫」と「中央突堤」

大阪港・天保山と言えば「天保山ハーバービレッジ」「海遊館」としか連想できない、脳内の引き出しが“るるぶ片手に”なっている方々が多い中で、大阪の海の玄関口として長らく栄えていた歴史の痕跡とも呼べる場所があちこち見捨てられて可哀想な目に遭っている。そんな場所を巡るのが今回のレポである。

まずやってきたのは、地下鉄大阪港駅から徒歩7~8分程度の場所にある「中央突堤臨港緑地」と呼ばれる岸壁沿いの一画。大正12(1923)年に住友倉庫が建設した「築港赤レンガ倉庫」が立ち並ぶ。しかし生憎にも駅から天保山ハーバービレッジ方面とは真逆の方向にあるせいか、ちっともその存在が知られていない感じがする。

たばこのむな!人が寄り付かない残念な「築港赤レンガ倉庫」

1999年までは港湾施設の一部、本来の倉庫として使われていた建物だったが、建物の管理は住友倉庫から大阪市に移管され、現在はジーライオンミュージアムというクラシックカー博物館や高級ステーキハウスなどに活用されているというのだが、どうも“るるぶ片手”な一見さんの観光客には近づき難い雰囲気がある。

そもそも赤レンガ倉庫と聞くと特に首都圏に馴染み深い方なら横浜みなとみらい地区のそれを思い浮かべる事のほうが多いだろう。あちらは上手く観光資源化してリア充カップルが闊歩する暑苦しいデートスポットとして認知されているが、こちら大阪港の赤レンガ倉庫にやってくるとこの閑散ぶり。どうして差がついたのか…

逆にこの乾ききった倉庫街の雰囲気が良いと捉える事もできるけれども、戦災で完膚なきまでに建物が破壊され尽くされ戦前建築が希少な大阪市港区において築100年近くにもなる歴史的建築物が残っているにしては些かもったいない扱いである。

そんな赤レンガ倉庫の壁の「NO SMOKING」の注意書き看板、日本語では「たばこのむな」である。タバコを飲んだらニコチン中毒で死んでまうがな…と誤解されるのか、次第に使わなくなった日本語ですわね。ちなみに漢字にすれば「喫むな」である。

赤レンガ倉庫に面した岸壁沿いの広場、なんとなく観光地化を試みるべくコンクリ打ちっぱなしな感じに仕上がっているが全く人の姿がない。近所のおっさんが犬を散歩させるだけの場所に成り下がっている。ここは他にも「海岸通ギャラリーCASO」という貸しギャラリーがあったりするんですが、ちなみにここからちょっと歩くと「なにわのベタ踏み坂」の異名を持つ「なみはや大橋」がある。

岸壁越しに見える真っ赤なトラス構造の「港大橋」。阪神高速道路の一部として昭和49(1974)年に開通して以来の歴史がある。あれができる前まで南港(咲洲)一帯は埋め立て事業が終わったばかりで、コンテナ埠頭とフェリーターミナル以外はまだ何もない更地だった。

続いて、地下鉄大阪港駅からまっすぐ海に向けて伸びる「みなと通」のドンツキまで歩いていく。海底へと続く沈埋トンネル「大阪港咲洲トンネル」でバブル遺産の乱立する南港コスモスクエアに繋がる入り口となる地点。気がつけば普通車200円も取っていた海底トンネルも無料化して料金所が廃止され、悪評高いOTS線の二重運賃も無くなったわけだが…

大阪港の原点と言える「中央突堤」も全くやる気がありません

その先っちょにあるのが「大阪港中央突堤」という場所。明治36(1903)年に中央突堤の前身となる「築港大桟橋」が完成してから、大阪の海の玄関口として開かれるようになり、同年には大阪市電の第一号路線となる路面電車が花園橋(現在の九条新道交差点付近)と当地の間に開通した、という歴史がある。さしずめ近代・大阪港の原点のような場所だ。

これも横浜港で言うところの「大さん橋」に類するインフラであると解釈できようが、横浜の大さん橋が国際旅客ターミナルかつシャレオツ観光名所となっているのに対し、一転大阪港の中央突堤はというと…ガラーン。何もありませんやん。なんやこれ!ってツッコミを入れたくなる。まあ、昔からこんな感じですけど…

中央突堤のやる気のなさは未だにそのまま放置されている「2号上屋」という建物の存在。これ、元々は港湾施設の一部だったわけだが、港湾施設がコンテナ化したことで機能が築港の外にシフトした結果、長年使われずにいる。

中央突堤の置き土産と化した2号上屋は施設の有効活用を図るべく事業者を公募した結果、とある民間業者に貸し出す事が決まっているらしい。ちなみに一昔前はここも海遊館のあたりも全て上屋や倉庫が立ち並ぶだけの単なる港湾施設だった。上屋の周りに高く積まれたパレットの隙間にしれっとスケベな本や使用済みゴムが落ちているような場所でしかなかったのだ。

海遊館からさほど離れていない場所だが、中央突堤の先っちょまでやってくると岸壁から釣り糸を垂らして暇そうに魚釣りに勤しむ地元のオヤジなんかがたむろしているだけであり、鄙びた漁村のそれと大差ない日常風景が広がっている。しかしこの写真、2006年に撮影したもの。板張りのデッキが去年2018年の台風被害で破損して、今では立入禁止になっているという。泣けるねぇ。

中央突堤の岸壁に立てば、周囲ぐるりと海が広がり、その向こうの南港や北港一帯の建物や海上を通行する船舶などを眺めながらボケーっと佇むことができる。そこに見えるは大阪のアウトローの決め台詞「南港に沈めたろか」の「南港」です。昔はもっと殺伐としていましたが、随分小奇麗なマンションが増えてきました。そんなところに住んで、海風寒くないんですか。

そんな大阪港・天保山エリアにはきちんと体裁よく作られた、こうした観光案内看板なんかも置かれているが、実際歩いてみると“残念スポット巡り”のようになってしまいテンションも下がる。「神戸に美味しいとこ持って行かれた」と他所のせいにして弁明するだけなら容易い。もうちょっとマトモにはならんのか。五感を刺激する「築港・天保山」かあ…

万博&カジノで大阪ベイエリアは変わるのか?!どないや!

海遊館・天保山ハーバービレッジ以外はてんで残念スポットづくしとなっている大阪築港エリアだが、最近になって急に積水ハウスが賃貸マンションをおっ建て始めている件。関西の住みたい街ランキングでは全く箸にも棒にも掛からない不人気極まりない土地が大阪ベイエリアの現状だが、今後は大阪万博の開催、IR誘致の実現など、この地域が再び大化けする可能性を帯びてきた。大阪ベイエリアは大きく変わる、その予兆なのか。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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