大阪ドームの隣、大阪ガス跡地に建てられたという地理の事情もあって、ドームのすぐ隣に巨大な球状のガスタンクが三基並んでいるのがJR大阪環状線大正駅の手前から良く見える。隣にはご立派な大阪ガス社屋と、さらに輪をかけて豪華な、屋上ヘリポート付き「大阪市交通局」の社屋がデーンとそびえている。
これが大阪市交通局庁舎。境川の交差点にあった歴史的にも重要建築物だった旧大阪市交通局の建物を惜しげもなくぶっ壊して、2004年、新たに総事業費180億円を掛けた超豪華庁舎である。
赤字遺産と化す「大阪市交通局創業の地」
大阪市交通局と言えば長年大阪市内で市営地下鉄や市営バスを運営してきた一方で、交通局が絡んだ第三セクターによる土地信託事業「フェスティバルゲート」「オスカードリーム」の相次ぐ失敗で資金繰りが悪化してきた経緯がある。それにも関わらず豪華な庁舎をぶっ建てた事で大阪市民からは非難の声も挙がった。
また大阪市職員厚遇問題の噴出で信じられない高待遇ぶりが知られ、労使癒着の無茶苦茶な実態が報じられるや、職員の人数や給与の削減、民間委託などで経営の合理化が進められ、とうとう2018年4月には交通局自体が廃止され民営化。現在では「大阪市高速電気軌道株式会社」の本社ビルとなっているのだ。
大阪市交通局庁舎のすぐ南側には「大阪市消防局本部庁舎」の建物も隣接。
境川・九条界隈は大阪市交通発祥の地。大阪市電がこの地で初めて運行を開始したのが明治36(1903)年のことである。戦災で殆どの土地が消失したりもしたが、昭和40年代の地下鉄中央線の開通まで現役で走っていた。
九条ナインモール商店街入口近くに「大阪市電創業の地」を示す石碑がある。明治時代からの歴史を連ねてきた大阪市交通局は114年の歴史に幕を閉じ、民営企業として再出発する事となった。