【大津市】普通温泉街の隣に特殊温泉街が出来てしまった街…「雄琴温泉」を歩く

古都京都から比叡山を挟んだ向かい、マザーレイク琵琶湖が水を湛える関西の水がめ滋賀県。山科から分岐する湖西線に入り15分少々電車に揺られていると辿り着くのが滋賀県を代表する温泉地・大津市の雄琴温泉。県内屈指の由緒ある温泉街であると同時に関西屈指の特殊なお風呂屋さん街が隣接する土地でもある。1970年代以降、雄琴温泉南側に続々そうした店舗が開業してからはそのイメージが固定化され、それは現在も変わっていない。

最近駅名が変わったらしく漢字の「雄琴」からひらがなの「おごと温泉」になってしまいゆとり度アップ。

ともかく雄琴温泉と言うと関西はもとより全国に知れ渡っている悪しきイメージが長年付きまとい、行政や関係者が本腰を入れて悪評を取り払うべく地名や温泉宿の屋号を変えるなどして生き残り策を講じているという。

雄琴温泉は比叡山延暦寺の開祖が開いたと言い伝えられる歴史ある温泉地なのだが、1970年代から温泉地の南側に続々とソープランドが進出し、すっかり「雄琴に行く」という言葉が「ソープに行く」という隠語となってしまった悲しい歴史を辿る土地。それでも雄琴の街は高度経済成長期にモータリゼーションの進化や1974年の湖西線開通によりクルマでも電車でも都市部から気軽に来れる温泉地として大いに栄えてきた。

JR湖西線おごと温泉駅から来た場合、肝心の雄琴温泉までは1キロ少々の距離があるため駅前ロータリーでタクシーを拾うか路線バスに乗るか、もしくは温泉施設の無料送迎バスを利用する必要がある。徒歩だと片道およそ20分くらい。

傍らには電車バス待ち客の為に無料の足湯なども併設されていてご親切だが朝早すぎたせいで閉鎖されていた。比叡おろしの寒風吹きすさぶ冬の琵琶湖は身体にこたえる。

駅前にある雄琴の観光案内図。これを見れば雄琴周辺に何があるか一目で分かるはずだ。当たり前だがソープ街の存在は一言も書いていない。

次のバスまで時間があったしこんな距離でタクシーを使うのもアホらしいので結局徒歩で向かう事にした。駅前の道路をしばらく歩くと国道161号、京都と敦賀を結ぶ湖西路のメインストリート。山側に湖西バイパスがあるせいか交通量はそれほど多くない。

すっかり寂れた、というか田舎過ぎて何もないロードサイドにはDQN御用達なエロDVD屋だけが存在感を放っている。

他にはせいぜいパチンコ屋があるくらいで寂しい国道沿いの道をとぼとぼと歩くとその後ろ側からラブホ風の看板が屋上に置かれた建物がちらりと顔を出しているのが見える。

どう見てもラブホ風なのだがよくよく見るとソープだった。店がまるまるビル1個分のキャパがありやたらデカいのである。さすが関西の一大性地・雄琴だけのことはある。

「SoapLand LOVE&BODY」と書かれた看板。しかしこの場所はまだまだ雄琴ソープ街の中心ではない。この一軒だけがたまたま外れた位置に立っているだけである。

そんな大人の盛り場を目の前に普通に個人の住宅地やお子さんの遊び場があるんですがなんとも素晴らしい教育環境で感心させられます。琵琶湖も近いし環境最高やね。

ラブ&ボディの店舗前には雄琴港が広がっている。この周辺が雄琴温泉の中でもまっとうな温泉街に当たる一帯で風光明媚なエリアでございます。しかし観光客の姿は少なく、代わりに多いのが釣り客。

そんな雄琴港を挟んだ反対側の土地が雄琴名物ソープランド街。一つ一つの店の巨大さもあるが店の数も多いので見た目のインパクトが凄い。さすが日本中にその名を轟かせる雄琴は一味違うぞ。

いよいよ雄琴温泉の肝、関西屈指と言われる噂のソープ街がどうなっているのか様子を確かめに行く事にした。なにせ規模もデカく呼び込みのボーイなど関係者も非常に多いので普通に立ち入るのもかなり勇気が要る訳だが…

雄琴港から見渡せるソープ街の建物群はいまだ無視できない存在感を持っている。鎌倉御殿などの店舗の看板がここからでもよく見える。

雄琴温泉側もこれまでは風俗店と持ちつ持たれつの関係であったものが、一転して旅館を家族向けに改装するなどしてイメージチェンジを図りつつあり、徐々に転機を迎えようとしているようだ。一時期は悪評のあまり「雄琴あたりの琵琶湖で女が泳ぐと妊娠する」といった根も葉も無い都市伝説まで飛び交う程だったと言われる。

雄琴港を見渡すと桟橋には歴史を感じさせる古い看板。琵琶湖周遊遊覧船の広告だった。

琵琶湖沿岸には観光客向けの遊覧船が数多く出ているが、真冬の一番寒い時期なのかして営業している所がなかった。

琵琶湖クルーズ船「ミシガン」で有名な琵琶湖汽船の船着場もあるが、こちらも同様営業している様子はない。

釣り客の多い雄琴港にはこんな回収ボックスが置かれている。琵琶湖で釣れた外来魚をリリースせずこのボックスの中に入れて、少しでも外来魚の影響を取り除こうという試みのようである。

魚や植物など自然界でも外来生物による生態系の破壊が深刻化している一方で風俗界でも違法エステやら何やらで外来種が繁殖しているのだがそういう回収ボックスって出来そうにないんですかね。

雄琴港を取り囲むような形でそびえる琵琶湖グランドホテルの建物。昭和の温泉ブームはとっくの昔だが、それでも雄琴温泉には約10軒程の温泉旅館が今なお現役で営業中。

「びわこ緑水亭」は年末年始ともあって多くの観光客で賑わっていた。以前は「芳月楼」という屋号だったが経営者が代わり改称したらしい。

10年くらい前からこの付近の温泉旅館は軒並み屋号を変更している。風俗街の悪評を取り除く為のイメージチェンジ戦略の一つだそうだ。日帰り温泉施設「あがりゃんせ」の駐車場から雄琴の温泉街が一望出来る。なかなか貫禄がある。

「あがりゃんせ」は2005年にオープンした日帰り温泉。意外にも経営者は京都のラーメン天下一品グループ。ここもかなり普通の入浴客で賑わっている。雄琴温泉の健全化に一役買っている模様。

しかし相変わらず雄琴の風俗が健在なのは、びわこ緑水亭の向かいにある無料案内所の存在から見ても一目瞭然。看板には「観光・旅館ホテル・特殊浴場」とセットで書かれている。特殊浴場…

案内所はシャッターが締め切られていた。まだ営業時間ではなかったようだ。

堂々と「特殊浴場」と書かれているのでその清々しさに笑ってしまうが、かれこれ30年以上の歴史を誇っている訳で。

付近には温泉旅館従業員の寮がある他、雄琴のソープ街で働くお嬢様方の寮も点在している。

国道沿いにあるやけにでかいマンション辺りはきっとそういった方々が住んでいるものと思われるが、隣接する薬局やらほか弁屋やらは軒並みシャッターを下ろしたままで寒々しい限り。生活必需品を調達するにはいささか不便そうな街だ。

参考記事
【滋賀】「雄琴を変える」老舗旅館の女将・・・「お前の父ちゃん、エッチな店で働いているだろう」と言われショックを受けたことも

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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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