【兵庫区】神戸下町レトロの宝庫・神鉄湊川駅前「ミナエンタウン」を見物する

神戸市を代表するDEEP下町ゾーン「新開地」にも程近い、神戸電鉄湊川駅前に凄まじく年季の入った駅前商業ビルが生き残っていて非常に香ばしいという話を聞きつけてやってきた我々取材班。

その名も「ミナエンタウン」と称するこちらのビル…神鉄湊川駅の真上に建っている立地もさることながら、昭和46(1971)年築、おおよそ半世紀近い歴史のあるヴィンテージ物件である。

ミナエンタウンこと湊川公園ビル、築47年となります

正式名称は「湊川公園ビル」。その一部が13階建てとなっていて、上層階は住宅にもなっている他、神戸市営の地下駐車場なども完備され、二階から地下一階までが商業施設として使われている。完成当時はさぞかし画期的な駅前複合商業施設だったはずだが…この隠しきれない古臭さよ…

神鉄湊川駅やその真上の天井川を潰して都市公園に使っている「湊川公園」とも直結している駅前一等地ビルであるにも関わらず、やたらとひと気が少なく閑古鳥が鳴いているかのような状態は昔から続いている。1995年の阪神淡路大震災の揺れにも耐えたが、年老いたようなこのしょんぼり感は一体…

二階入口。「ミナエンタウン」というビルの愛称はもちろん「湊川公園」から取られたものであろうと推測するのだが、まあなんとも玄人っぽい佇まいを晒していて訪れる人種を選ぶかのようだ。当然我々はズカズカとお邪魔しますけれどね。

中に入るとのっけから廃業した店舗がお出迎え…というやる気のなさっぷりに脱力すること請け合いである。駅前徒歩ゼロ分とは思えないテンションである。

我々が神戸市内における昭和レトロの宝庫と位置づけている新開地・湊川エリアに燦然と輝く激渋物件・ミナエンタウンの本気でございます。ここといい神鉄横丁といい、マジで昭和のまんま。

とは言え、結構老舗な感じの食い物屋も元気でやっているのでまだまだ死んだ空間とは言えません。ミナエンタウン二階にある「来来」…中華麺、雲呑ともに430円という良心的な料金設定。こうした土着中華料理屋が多いのも在日華僑の多い神戸ならではか。

しかし大半の店舗が一見客など見向きもしないような土着酒場ばかりで占められているのがアル中の街・新開地らしい。少し方向性が変われば大阪千日前の味園ビルくらいの立ち位置になれそうな気がしなくもない雰囲気だが…

しかしそんなミナエンタウンの飲食店街にある店の看板もそのセンスまでもが昭和のまんますぎるのでいちいち笑うしかないのである。

とどめには純喫茶マニア垂涎のコーヒーショップ「光線」ときたもんだ。店名、これすなわちビームである。なぜこの店名なのか定かでもないが、まばゆいネーミングセンスとは裏腹に地味でクラシック過ぎる店構え。

店の看板もいちいち味わい深い件。フォントに無駄な疾走感を演出。神戸高速鉄道線もいつまで経っても代わり映えなく神戸市民から小銭をむしり取ってばかりせずに、駅名標をこの“光線”フォントに一新してイメチェンしてみたらどうだ。これで「高速神戸」とか書かれたらしびれるやん。

一階部分もこの通り、オッサンの溜まり場しかないような状況であって、岡本とか住吉とかを有難がって昼間っから意識の高いランチを食ってる“しゃれ神戸”な方々とは一切無縁な世界が広がっているのであります。

一応しつこく言っておくがミナエンタウンは神鉄湊川駅や地下鉄湊川公園駅のふた駅に直結しているのである。なぜ駅前一等地なのにこんなにクソ寂しいのか、不思議でしょうがないんですけれども…

ミナエンタウンから新開地や湊川商店街、そして“飲む打つ買う”の男の道楽の締めとなる裏名所の福原にだってすぐ行ける。生粋の神戸下町オヤジにとってはまさに天国に一番近い場所であるはず。

ミナエンタウンがますます怪しさを放っているのが、この陰気臭い階段を降りた先にある「地下名店街」…えー、あー、ビ、ビデオボックスですか、お父さん…まあ、地下は地下で大してツッコミどころもなかったので割愛します。

「ミナエンタウン西ビル」案内マップもありました。写真は2014年末のもので、現在は入居店舗に多少違いが生じている可能性も考えられる。まあ、しっかりした案内図もあるビルなので、生ける廃墟だとか、そんな失礼な言葉は吐けませんぜ。

ミナエン商店街というのもあるんやで

そして、このミナエンタウン西ビルや湊川公園に直結している「ミナエン商店街」なる別の飲食店街も存在している件。その入口はかつて天井川だった公園の真下に鎮座している。

こちらもなかなか怪しげな佇まいを見せていて、一見すると素人が立ち入れる雰囲気ではなさそうだが、ごくフツーに駅利用者にとっての抜け道でもあるので何も臆することはない。

その入口を入ってすぐのところにある昭和過ぎる佇まいの映画館「パルシネマしんこうえん」。昭和46(1971)年に開館した「新公園劇場」時代から続く、地方都市ではめっきり少なくなった旧作専門「名画座」の一つである。

しかしその奥を見ると昭和のまんま、なんともやさぐれた飲み屋街が連なっていてこちらも容赦ない。ここの真上は普通にお子様連れが遊んでいるような遊具のある公園なんですけども…

そこから連絡通路を経て天井川の上に広がる湊川公園に出る事もできる。ちょっと一昔前の、ホームレスと偽造テレカを売るイラン人がいっぱい居た頃の上野公園を思わせるような造りをしていませんかね。そびえているのは西郷隆盛像ではなく楠木正成像ですが…


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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