【インバウンドは何処へ向かう】コロナ禍が始まって3年間の「黒門市場」の様子の移り変わり

大阪市中央区

そう言えばちょうど3年前の今の時期に横浜港にいたクルーズ船でCOVID-19感染者が出てきてメディアがこぞってパニックみたいに報じていたのも今となっては懐かしい記憶だ。それ以降世界は「コロナ禍」に見舞われ、今もその収束は叶わず、もう世界からこの忌々しき病原体が消えることは現実的ではなくなった。なのでもう「“新型”コロナウイルス」と呼ぶのもいい加減やめればどうなのと思うんですが…

さて、日本ではコロナ禍以前と以降で明らかに人の流れが変わった場所がいくつかある。外国人観光客をわんさか呼び集めては“インバウンド景気”とやらでウハウハ言いまくっていた場所…大阪市中央区日本橋にある「黒門市場」なんて最たるもんですね。この場所がコロナ禍以前とそれ以降の3年間でどのように移り変わってきたかを振り返ってみようと思う。

コロナ禍直前の黒門市場(2020年1月初旬)

今から3年前、まだ人類が新型コロナウイルスの存在すら認識していなかったコロナ禍直前の黒門市場の様子を見ていただこう。ご覧の通り、正月明けのど平日でもお構いなしに外国人観光客が寄ってたかって海産物屋やドラッグストアで「爆買い」している光景があちらこちらで見られた。従来この場所はやたら中国人が多いんですね。なぜなら日本橋は中国人街だから。日本橋どころか島之内や道頓堀の東側あたりまでみんなそう。

2020年1月の黒門市場の様子。
中国人相手に商魂逞しいダイコクドラッグさん
高級海産物を食っているのもほとんど中国人
あちこち中国語だらけですね

コロナ第1波の後~人並みが消えた(2020年5月下旬)

それがコロナ禍に突入した後では明らかに様子が変わる。第一波の頃を覚えているだろうか。「外出自粛要請」が各自治体を通じて成され、感染リスクの高い飲食業者は軒並み臨時休業に追い込まれた。海外からの飛行機もほとんど飛んでこなくなった。「インバウンド崩壊」である。それまで黒門市場に人だかりを作っていた海産物店は火が消えたようになり、従来から営業している観光客向けではない商店だけが通常営業していた。

コロナ第一波が収まった後の2020年5月下旬の黒門市場の様子
観光客相手の海産物店が軒並み臨時休業
地元の買い物客しかいませんでした
大阪のど真ん中なのに北海道。なぜなら中国人は北海道が好きだからだ
コロナ禍への怨めしさがこめられた休業中の飲食店の張り紙
ドラッグストアもほとんどシャッターを下ろしたまま

コロナ第5波の後~訪日外国人99.2%減(2021年10月初旬)

コロナ禍が始まって1年半以上が経過。この年、2021年の訪日外国人旅行者数は245,900人(推計)でコロナ禍以前の2019年が31,882,049人だったのと比べると「99.2%減」という凄まじい減少率を記録したと報じられている。逆に日本人も海外に行けなくなったのもあるが、黒門市場は国内観光客が好んで来るような場所でもない。なのでこの日もスッカスカでしたね。

2021年10月の黒門市場の様子。
マジでスッカスカのガラガラ
黒門市場のインフォメーションセンターも無人状態
中国語を掲げて食い物を売りまくっていた店もその多くが休業中
ダイコクドラッグさんも不動産を持て余していた
…で、この店は何なのですか?

コロナ第7波の前~無料PCR検査場爆誕(2022年6月初旬)

1年遅れで東京五輪が開催された2021年に続いて、北京で冬季五輪が開催された2022年も外国人観光客の受け入れが進まず、黒門市場はこの時期もガラガラのスッカスカでした。空き店舗をそのままにしておくのももったいないので…とばかりに無料PCR検査センターまで爆誕する始末。黒門市場にあるこの検査センター、職員全員中国人らしい(三木慎一郎氏のツイッターによると)。客をホイホイ招き入れて無料でPCR検査させれば外国人の商売人に対しても日本政府からおカネが出る変な仕組み。よその国でも商魂逞しいね。

2022年6月の黒門市場の様子。やっぱり人並みがパッタリ途絶えていた
大阪市内のど真ん中なのに“三密回避スポット”になってしまいました
中国語でゴミ捨てんなとか書いてあるし地域柄出てまんなあ
2021年の緊急事態宣言で休業した寿司屋が張り紙もそのままに放置プレイ
とうとう黒門市場の中にまで無料PCR検査センターが登場w
だからこのお店、何なんですか…??

コロナ第8波の最中~黒門市場復活?(2023年1月下旬)

それがごく最近になって黒門市場を訪れると…また様子が一変していた。コロナ禍なんて幻だったかのように外国人観光客が再び押し寄せていた。インバウンド復活?

2022年10月11日以降、外国人観光客の“水際対策”が大幅に緩和された。それによってこれまで日本への旅行を控えていた外国人の個人旅行者が戻り、黒門市場も元の活気を取り戻していたのだ。とは言え以前と違うのは通りがかる人間の殆どがマスクを着用していることと、コロナ禍以前は中国人ばかりだったのが、そんなに中国人オンリーというわけでもなく東南アジアや欧米っぽい外国人の姿を多く見かけられた事だ。

2023年1月下旬の黒門市場の様子。アレ?復活してません??
水際対策大幅緩和の影響か、もうすっかり元の賑わいを取り戻してました
それで食い物屋には元通り、ずらりと高級食材が並べられる始末
大トロ5貫、サーモンいくら乗せ3貫、うに2貫、これで税込4,860円か…
神戸牛28,000円…御祝儀相場かね
えー、御祝儀相場ですよね?
以前は無かったはずの「まいもん寿司」…金沢のチェーン店ですけれどもなぜ黒門に?
韓国産アワビを4つ880円で売る「黒門中川」が一番手堅い説
だからこの店一体なんやねんって
Yahoo!ニュース
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ちょうど旧暦の正月「春節」ともかぶる時期だが中国人観光客がまばらだったのには訳があった。中国国内のゼロコロナ政策の失敗でコロナ感染者が爆発的に増えた事で日本の水際対策が強化され、中国人観光客について実質的には富裕層の個人旅行者しか日本に入国することができなくなったという。

それでも日本橋界隈、(観光ではなく住んでいる)中国人めちゃくちゃ多いんですけど、今は亡き「上海新天地」くらいしか目ぼしいものがなかった昔よりも明らかに中国食材店やガチ中華の食い物屋が増えている。次の機会にそんな大阪都心の“ガチ中華街”の近況をアップデート報告しようと考えている。乞うご期待。



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