【枚方市】築50年オーバーのヴィンテージ団地の見本市「香里団地D地区」

戦後の残り香が漂う昭和33(1958)年に街開きし、当時「東洋一のマンモス団地」と称された枚方市の「香里団地」も、当初建てられた集合住宅群は老朽化を理由に次々と解体され、新たな高層団地へと生まれ変わっている。

香里団地は建設当初から現在のUR都市機構の前身となる日本住宅公団が手掛けた大型団地であり、一帯全域が同社の管理物件で占められている。最寄り駅からも遠い上に端から端まで歩くのもしんどいくらいに広いんですけども、礼金・更新料・仲介手数料ゼロづくしで保証人不要なのは、多少の不便さには目を瞑ってでも有難い物件ですわね。

香里団地の西側半分のエリア、香里ヶ丘四丁目交差点から香里園駅方面の一帯は、まだまだ建て替え工事の始まっていない、当初の佇まいの昭和な団地群がずらりと連なる姿が拝める。「新香里」バス停で降りたところが「香里団地D地区」っちゅうところですね。

香里団地D地区のランドマーク、聖徳文化会館とD50棟

そのD地区のランドマーク的な建物が高層のD50号棟と、そこに隣接するD49号棟である。左手のD49号棟には「聖德文化會館」と書かれた渋い旧字体の看板が掲げられている。社会福祉法人聖徳園の関連施設で、保育所などが入居している。同法人は関西一円で広域に高齢者・障害者向け福祉事業を展開している。

D地区唯一の10階建て高層棟であるD50棟、どことなく旧共産圏の団地のような陰気臭さも漂う、ある意味独特の威厳を見せる佇まいで、香里団地の歴史の生き字引的存在の一つとも言える建物であろう。昭和42(1967)年築で、既に50年オーバー物件である。

反対側からD50棟を眺めると、V字状に開いたH字のツインコリダー型となった建物の構造が把握できる。公団住宅に限れば60年代以前に建てられた10階建て以上の高層住宅というのは日本全国探してもあまり見かける事がない。他に残っているのはせいぜい「西長堀アパート」くらいですかね。

D50棟前の広場の古めかしさもまた香里団地を味わい深いものにしている。千里ニュータウンが本格的に開発されたのもこの頃だったが、その時代に入居した20~30代の若夫婦も、今では70~80代の老夫婦になっている。残念ながら、このD50棟は2018年中に解体工事の着手が決まっている。

築50年オーバーのヴィンテージ物件がゴロゴロある香里団地D地区

その他のD地区にある集合住宅群はその多くが4階建てエレベーター無しの中層棟ばかりで占められている。これらも全て大阪万博以前の昭和35(1960)年から昭和40(1965)年頃に建てられたヴィンテージ団地である。

そんなD地区も老朽化で解体の流れになるかと思いきや、UR都市機構の賃貸情報を見てみると結構募集中の物件が多く、1LDKや2DKで45㎡の一室が家賃5万円台前後で出ていて、一部は無印良品コラボのリノベーション物件も混じっている。

半世紀オーバー物件だからこその生活感や味わい深さも出るものだが、この団地もだだっ広い火薬工場跡地を広々と使い、隣の住居棟が日陰にならないようにゆとりを持って建てられているのが分かる。

広々とした土地だからこそ、住民が多少「ヤミ畑」を作ろうとも私物で占拠してようとも、そんなにうるさく言われる事もないのだろう。しかし団地の自転車置き場にバイクの部品が落ちていたり粗大ごみが無造作に不法投棄されているような「荒れた」状態というのは、全く見かける事はなかった。

DQN地域の団地だとこうした場所で頻繁に猫除けやヤミ畑の水やりなどに活躍している「4リットル焼酎ペットボトル」を見かけるものだが、そういうのが全く無い、ということです。ご確認下さい。

やはり70年代以前の団地ではよく見かける、無用の長物となったダストシュート完備物件。

香里団地D地区の児童公園も、遊んでいる子供の姿は見かけられない。適度に雑草が伸びてはいるが、それでも草ボーボーで管理状態が悪いわけでもないのは、管理が行き届いたUR物件ならではか。

香里団地D地区の案内図。見ての通りの「あそび場」過剰供給状態に注目。こういう場所なら子育てもさぞかし捗るでしょうかね。幼少期をこの香里団地で過ごした「寝屋川市中1男女殺害事件」の山田浩二被告にとっても原風景のはずですけれども…

公明党なっちゃんポスターがいっぱいの香里団地D地区

しかしそれにしてもよく見かける公明党の山口那津男代表が写ったピンクのポスターが掲げられたお宅の数々。ご多分に漏れず学会員率の高さを物語っている。やっぱり枚方市も「常勝関西」ですね。

この地域の創価学会と言えば、隣接する交野市に関西屈指の名門校「創価学園関西創価高等学校」がある。卒業生の多くは八王子にある創価大学に進学し、ゆくゆくは学会幹部や公明党議員を目指す、偏差値67のエリート校である。香里団地からも通っている熱心な生徒様がおられるのだろうか。

上下2フロアで「なっちゃんポスター」コンボをかます香里団地D地区の信仰心の厚さは侮れない。そうかそうか!

それに負けじと日本共産党ポスターを掲げるお宅もあったりするが、香里団地ではかなり少数派に属している。

スターハウスという団地遺産までゴロゴロある

香里団地D地区のうち、高層のD50棟のすぐ裏手にあるD37~D40までの4棟は、いわゆる「スターハウス」と呼ばれる形状の建物となっている。全国的にもこのスターハウスは絶滅危惧種と申し上げても良い。

関西では宝塚市の「仁川団地」と尼崎市の「市営時友団地8号棟」、それにここ香里団地D地区にしか残っていないスターハウス物件。首都圏でも東京都北区の「赤羽台団地」や「千葉県松戸市」の常盤平団地といったごく一部にしか現存しない。

数ある団地を歴訪してきた当方からしても、スターハウスの存在は四つ葉のクローバーばりに「見かけたらラッキー」くらいのテンションである。しかしこんなものまでゴロゴロ建ってる香里団地のヴィンテージ物件見本市状態は何なのだ。

住んでる人からすればラッキーも糞もないのだろうが、三方日当たり良好で眺望が取れる反面、風通しが良すぎて冬場は寒そうな感じもするんですが、住み心地はどうなんですかね。

なお、こうして人が住んでいる現存物件を除けば、東京都東久留米市・西東京市にまたがる「ひばりヶ丘団地」など、スターハウスを一部保存するなどモニュメントとして残している団地は他に数箇所ある。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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