世の中パワースポットブームだとかで行き遅れたオバハンが神社に大挙して押し寄せて神頼みしてる光景などを見かけるようになった昨今だが、そんな甘ったるいブームが起きる以前から女性より多大な信仰を集める、奇妙な風習を持った神社が和歌山市の北の果て、加太地区の一角に存在する。
そこは「淡嶋神社」という場所だ。日本の国生み神話に伝えられる少彦名命と大己貴命の祠が加太沖にある友ヶ島の神島に祀られた事が始まりで対岸のこの地に神社が置かれた。全国各地にある淡嶋神社(淡島、粟島など複数表記あり)の総本社でもあり有名な神社なのだが、これまで来た事がなかったのだ。
一般的には人形供養の神社として有名で境内に日本人形がずらりと並ぶ奇怪な光景で知られているのだが、安産と婦人病治癒に霊験あらたかな神社でもあり、女性が使用済みパンティーを奉納するという珍風習があって、境内の絵馬掛け場が年がら年中カオスな事になっているのだ。
加太は大阪から最も近い和歌山県。海沿いに走ればすぐ隣が大阪府岬町である。むしろ和歌山市の中心市街地の方が遠く、車で20分くらい掛かる。
淡嶋神社だけでなく友ヶ島や海の幸を堪能する近場のレジャースポットになっているので観光客もそれなりに多いのだ。という訳で神社の前にはいかにもな観光地的お土産お食事処の建物が密集している。それにしてもレトロ感全開な「加太観光センター」。
連休中ともあって参拝客でごった返す淡嶋神社の参道両脇にもお土産お食事処がぎっしり。参拝のついでに寄って行くのも良いがとにかく腹が減ってしまった。
お土産屋横丁の中でもひときわ目を引く「満幸商店」。その名前に目が引いて思わずニヤニヤしながら立ち止まってしまった取材班。まあ見た目は普通なんですけどね。
幸せに満ちると書いて満幸商店ですよお兄さん。ニヤニヤしないの。
あさり、おく貝、さざえ…満幸だけあって美味しそうな貝も豊富に用意されておりますですよ。至れり尽くせりですね。「おく貝」って聞いた事がないけど和歌山ローカルの名前かいな。
表に置いてある土産物はともかく店の中で色々と海産物料理が頂けるので、せいよ…いや食欲にかまけて満幸商店の中に入ってみる事にする。
おしゃべりでバリバリ個性派全開のおばちゃんのお勧めで店の名物「あわしま丼」(1200円)をオーダー。さざえと「おく貝」ギッシリの贅沢な丼でございます。おく貝って何の貝なのか聞くのを忘れた。
次いで丼の上にアホほどしらすが山積みにされた「しらす丼」(700円)も頂く。見た目がたまんねえなこいつは。山のてっぺんから醤油を垂らして豪快に頂きましょう。
前菜として食べようかと思ったけど結局後回しになった「うにトースト」(500円)も。輪切りにされたフランスパンの断面にベッタリとウニの身が塗りたくられます。贅沢ですね。あと食後のデザートに「満幸プリン」もある。
壁際に落書き記念カキコ、おまけに芸能人のサインだらけという、まあ有名店ではある訳だがいかにも観光地的な訳ではなく土着臭全開の食堂なので風情があって良い。
夜は夜でフルコース料理食べ放題+民宿で一泊のプランも用意してあるらしい。一晩一組限定で、それも近場の観光客に好評でなかなか予約が取れないそうだ。…って全部店のおばちゃんの話ですが。商売人の鑑です。名刺まで貰って帰りました。
今回加太を訪れたのは淡嶋神社の参拝もあったが、まずは友ヶ島に渡るのが第一目的にあったからだ。加太港の一角に友ヶ島行きの乗船場がある。
友ヶ島は紀淡海峡に浮かぶ無人島の総称。明治時代から外国船から身を守る為に要塞化され、戦時中まで軍事的に重要な島だった。その要塞の遺構が現在でも良好な状態で保存されている事でそっち方面のマニアには垂涎の的になっている。
加太港から友ヶ島行きの船で島に渡ろうと思って来た訳だがしかし!!
「本日、天候不良の為欠航いたします」
…や…やられた…
紀淡海峡あたりは海が荒れやすく、雨天時はもちろん強風時でも欠航になってしまう。したがって天候には要注意である。現地の天気予報と風向きくらいはチェックしておいた方がいい。
念願叶わず友ヶ島に行けなかったのでヤケクソ紛れに満幸商店で食ったり淡嶋神社に時間をたっぷり割く事になった訳だが、結果オーライである。引き続き淡嶋神社の参拝記をレポートしていく事にする。