阪急電車に乗って大阪一胡散臭い下町「十三」へ (9) 渋すぎるホテル群

駅前から淀川通りを越えて南側、淀川沿いの一帯は…まあなんというかここもアレですね。いささか年代物のホテルが密集していて味わい深い一画である。国道176号線(十三筋)を挟んだ両側がこんな状態になってる。ちなみに橋下徹大阪市長の出身校である大阪府立北野高校はこの近くにあって、まあつまり一番多感な青春時代をこの界隈で過ごしたという事になる。

しかしよく見れば何やら廃墟じみた物件が紛れ込んでいるのが気になってしょうがない。3軒並んだ真ん中。外壁は蔦に覆われて、その下には滅びた王家の城のような洋風デコレーションが施された外観部分が見えている。すごく昭和40年代な感じ。

気になったので近づいてみた。ホテルロマン。ド直球なネーミングですね。案の定廃墟になっていて玄関周りは人が立ち入れないように植物が載ったでかい植木鉢でバリケードが築かれている。糞怪しい。

辛うじて玄関部分だけ人が通れそうな幅の隙間が残っていた。ここは何年前まで現役だったのか知る由もない訳だが、取り壊されずに残っているという事はかつての所有者がまだ手放そうとしないからなのか。


ここいらのホテル群はかなり昔から建てられた年代物が多い。十三駅からも程々近いので、半数くらいはマンションなどにも建て替わっているのだが、さぞかし昔は派手派手しかったのだろう。夜は淀川の向かい側から悪趣味なネオンサインが輝いていたに違いない。

激渋過ぎる「ホテル光城」の看板。桜ノ宮や京橋、生玉あたりもそうだけど、大阪は全体的にレトロホテルが沢山生き残っている。昔も今もその手の需要がお盛んな土地柄ですから。

玄関周りもどこかしら70年代のレトロサイケ風なデザインを残した佇まいになっている。大阪と言えば何より大阪万博もあった事だし、こうした非日常空間の演出にも万博の影響は多々あった事だろう。そのうち機会があったら入ってみたい。

OKビジネスホテルの裏側に回れば今度は昔懐かしのスチームサウナがありますよ。ここも外観があまりにレトロ過ぎて溜息が出そうである。創業昭和34年とのことです。すげー。

年代物のネオン看板。かなり色褪せてるけどランプはちゃんと点灯するんでしょうか。ちなみにだけど、ここの隣にある「天心道場」はスティーブン・セガールの元嫁さんがやってる有名な合気道道場です。

店先の案内看板も昭和丸出しで素晴らしい。こうした店は昔ながらの常連だけで支えられている節もある訳で、十三界隈では未だに根強い固定客の支持があるんでしょう。関西の他の街でもこの手の店はもう殆ど生き残っていない。

ビルの屋上部分にも派手派手しい三面ネオン看板が据え付けられている。前二文字と後三文字の部分で微妙に色が違うあたり、看板の取り付け時期にズレがあるのではないかと想像する。サウナの部分には以前別の三文字が入っていた可能性が。まあ詳しくは言いませんが。

それどころか淀川通りを挟んだ北側の住宅地にもこんな古びたホテルが…十三の底なしぶりに唖然とするばかりだ。大阪なのに何故か「ホテルニューびわこ」だし。

ここにも屋上に三面ネオン看板がデーンと建ってます。琵琶湖どころか琵琶湖水系の最下流に近い所なんですけどね。ここ。勿論ホテルから琵琶湖を眺める事は出来ません。

ここもやはり建物の古さと殺風景さが際立っていた。玄関周りは写真を撮り忘れたけどクリスマスシーズンだったので玄関先にでかいサンタクロースの風船人形が置いてました。こんな場末にあってもお客の入りは良いようで。

周りは全部住宅地なんですが住民の皆さんは慣れっこのようで、風景に完全に溶け込んでいる。大阪市民は滋賀と京都の下水が混じった淀川の水に高度浄水処理を施して逞しく暮らしてます。あえてホテルの名前に「びわこ」を付けるとは、マザーレイク琵琶湖へのリスペクトなのかも知れません。

こんな糞怪しい街中に淀川区役所の庁舎がそびえておりました。「住んでよかった淀川区、住み続けたい淀川区」らしいです。交通便も良くて下町で暮らしやすそうだけど阪急沿線住民はみんな阪急電車に乗って十三はスルー、郊外の高級住宅地に帰っていくのだ。阪急沿線にお住まいの皆さんもたまには寄ってあげて下さい。十三ほど面白い街は他にあまり知りません。

ラブホテル―Satellite of LOVE (アスペクトライトボックス・シリーズ)
都築 響一 アスペクト 売り上げランキング: 57,648
八画文化会館 vol.2 2012
八画文化会館 vol.2 2012

posted with amazlet at 13.08.17
八画 売り上げランキング: 83,506
橋下徹「まっとう勝負」
橋下 徹 小学館 売り上げランキング: 176,147
タイトルとURLをコピーしました