【八尾市】近鉄八尾駅前、ひたすら河内音頭推しなアーケード街「八尾ファミリーロード」

駅前商店街がビミョーに寂れてしまっている「近鉄八尾駅」、その理由は今の駅前の旧西武百貨店かアリオ八尾かと大型店舗のせいにしてしまいがちではあるが、そもそも今から約40年前の昭和53(1978)年に駅の高架化工事が行われた時に、現在の駅舎が元々の場所から約300メートル東にズレて建設されたのがその発端であると推測できる。

で、元々の近鉄八尾駅があった場所を古い地図で見ると、今の近鉄八尾駅前から伸びる高架下商店街「ペントモール」を抜けた先にあるこの位置まで来る事になる。ここが40年前までまさに「駅前」だった一画。

ひたすら河内音頭を推すしかない八尾市唯一のアーケード商店街

そこには八尾市唯一のアーケード商店街となる「八尾ファミリーロード」の入り口がポカーンと開いている。しかしこのへん、チャリンコの路上駐輪が激しい…と思ったらディスカウントストア「サンディ」がありましたね。

旧近鉄八尾駅の駅舎があった場所には市営の立体駐車場が置かれている。その壁に描かれているのは「河内音頭のふるさと 八尾」…

八尾という地名を聞いてよその人間が思いつくものと言えば「空港」か「天童よしみ」か、はたまた「河内音頭」かというほどのもので、大阪の夏の風物詩である地域の盆踊りでは定番ソングとなっている同曲、その発祥の地という事をこのアーケード商店街が全身でアピールしまくっている。

商店街内には八尾が誇る河内音頭をアピールするための「河内音頭記念館」まである。よーく見れば不動産屋なんですけれども、店先には八尾市出身の河内家菊水丸の幟や衣装も飾られている。この時点でネイティブ大阪人なら脳内に河内音頭の「エンヤコラセードッコイセ」の歌いまわしのメロディがエンドレスで鳴り響く。

河内家菊水丸 河内音頭秘蔵コレクション

河内家菊水丸と言えば、今となっては“あの人は今”状態になってそうな感じですけれども、90年代に「カーキン音頭」でブレイクして急に全国ネットのバラエティ番組に引っ張りだこになっていたのも昔の話。今では芸能活動の一線からは身を引いて、「伝統河内音頭継承者」として河内音頭の文化を世に伝える役目に徹している。

しかし河内音頭で一部が賑々しくなっている以外は、全体的に古臭いまんまの昭和な佇まいの個人商店が連なるばかりで、ファミリーロードという名前とは裏腹に商店街を歩く通行人はみな高齢者というオチである。

地元のおじいちゃんおばあちゃん御用達っぽい和菓子屋とか八百屋とかが適当に並んでおります。今の若い世代はもっぱら駅から反対方向にあるアリオ八尾だのに行きますし、そうなりますよね。

ファミリーロードのアーケードは「八尾地蔵尊 常光寺」の門前を境に「本町筋商店街」という別の商店街に変わる。ここから先はアーケードの道幅も狭まりさらにローカル感を増してくる。

この常光寺では8月下旬頃になると「河内音頭発祥の地」として毎年恒例の盆踊りが盛大に行われ、それまで毎年のように河内家菊水丸が登場して音頭を取っていたというのだが…2016年8月26日の本人のブログには「常光寺盆踊りには一生出演しない」と記事にしたためている。何があったんや菊水丸…

ファミリーロード本町筋商店街はシャッター街化していた

同じファミリーロードでも駅から遠い西側半分に位置するアーケード街「本町筋商店街」に入ると…なんとも寂しい感じのシャッター通りとなっている。来た時間が昼前だったので、もしかすると開店前の店も多かったのかも知れんが…

アーケードだけはやたら立派なのに商店街には活気がない…という「地方都市あるある」な光景が見られる八尾ファミリーロード。手前の布施のあたりならまだまだ元気なんですけどね。

そういう商店街の空きテナントにひょいと入る、地元の老人を根こそぎ集めて商売する謎めいた健康食品や健康器具販売業者の店舗の前にチャリンコがずらりと並ぶ風景も「寂れた商店街あるある」だ。

常光寺境内を取り巻く外周部分となるこの通り沿いには恐ろしく年季の入った蔵屋敷なんぞも立ち並んでいて地域の歴史を感じさせる。ここは古くは明治時代に「腹養丸」という肝臓薬を専門に販売していたという「佐野龍讃堂」という薬局だったらしい。百年以上も前の店の看板が今の時代に残っているのだ。

本町筋商店街は途中でアーケードが西方向と南方向に枝分かれしていて、道なりに西に抜けていくと真宗大谷派の古刹「八尾別院大信寺(八尾御坊)」やイオン八尾御坊前店などが連なる「御坊前通り」となる。この大信寺も明治初期の廃藩置県直後にほんの一時期存在していた「河内県」の県庁が置かれるなどしていた歴史の深い寺院である。

で、もう一方の南側に抜けると八尾市役所に近い方面に出る事になる。ここまで来ると駅前でもなんでもないので、商店街の風情はますます寂しくなる。地元民はチャリンコで颯爽と通り抜けていくばかり。

鄙びた商店街の外れでぽつんとハイテンションぶりを見せる土着の散髪屋「バーバーセブン」、店の看板がおもっくそ三色旗カラー全開であり煮えたぎるアツい信仰心を隠せずにはいられないようだ。大阪では何ら珍しい光景ではない。

大信寺の周囲は、八尾市内では久宝寺と並ぶ寺内町が古くから形成されていた場所になる。とことん寂れきった八尾ファミリーロードの中でも、本来このへんが最も古い市街地だったものと思われる。レトロな佇まいの古書店が火事に遭って焼け落ちている痛々しい姿を目にした。

本町筋商店街のアーケードを程なく抜けると、本町二丁目交差点に辿り着く。ここから市役所まで歩いて3分くらいですかね。

人口26万7千人、大阪府五番目の中核市となった八尾市役所の庁舎。隣の東大阪市の市役所よりは一回りこじんまりした感じはありますけどね。

で、市役所の本館前にも「河内音頭おどり之像」が鎮座するという、終始“河内音頭推し”な近鉄八尾駅前の街並みなのであった。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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