【大阪の秘境駅】阪和線大阪府最南端!阪南市「山中渓」木造駅舎と宿場町の街並み

大阪市内と関西空港、それから“近畿のおまけ”呼ばわりされる和歌山を結ぶ「JR阪和線」…並行する私鉄の南海電車と比べると些か存在感に欠ける路線で、特に関空線が分岐する日根野から先の区間はよもや「ここが大阪なのか」と驚くほどのド田舎っぷりを見せつけている。

そんなわけで、ふと立ち寄ったのがJR阪和線における大阪府最南端駅である「山中渓」(やまなかだに)…大阪府阪南市に属する地域で、天王寺からここに来るまで電車でほぼ1時間掛かる。この先は和泉山脈を超えて和歌山県に入り、むしろ和歌山駅に行く方が全然近いという地理関係だ。その駅名の字面からしても秘境感満載である。

大阪府内屈指の秘境駅「山中渓」を紹介しよう

昔ながらの簡素な木造平屋建ての駅舎となっている山中渓駅に降り立つ。この地域に遠路はるばる来たのは「山中渓温泉」という廃れた温泉地の存在を聞きつけ、その様子を見に来たかったからだ。秘境駅と呼ぶに相応しい場所だが、こう見えても近隣住民が通勤通学のためか駅前に原付バイクやチャリンコを置きっぱなしにしている光景も見られるのが意外である。

しかし同じ大阪府と言えどもここまで来てしまうと完全に田舎の佇まいでしかなく、駅の改札も簡易式の自動改札機が置かれているのみで、昭和60(1985)年から駅は無人化されている。一日の乗降客数は192人(2016年)、大阪府内のJR駅では最も少ない数だが、これでも「大阪市内最強の秘境駅」と言われる南海汐見橋線の木津川駅より若干多い。

駅の改札から構内に入ると、和歌山方面へは正面のホームから電車に乗る事ができるが、天王寺方面は歩道橋を跨いで反対側に回らなければならない。地理的にも心理的にも、ここは「ほぼ和歌山」と言ってしまっても良いのかも知れない。

山中渓駅は昭和5(1930)年、阪和線の前身である「阪和電気鉄道」時代に和歌山方面への鉄道延伸によって開業した駅の一つである。紀州街道の宿場町である山中宿や和歌山との府県境となる雄ノ山峠、さらに「日本最後の仇討ち場」といったダークサイドな名所までもが揃っているが、基本的には老人がハイキングに来るだけの土地である。

長らく山中渓の名所だった「山中渓温泉」があった頃には、この土地も大阪の奥座敷と呼ばれ、ちょっとした観光地として栄えていた時期もあったらしいが、今となってはその頃の面影もない。春の一時期は桜の名所にもなるようですけれども…ひとまず駅周辺をうろつき回ってみましょうかね。

まず山中渓駅前にはスーパーやコンビニといった気の利いた店舗は皆無である。代わりに存在するのが駅前一等地で細々と営業している「王家食堂」なる老舗な佇まいの大衆食堂が一軒。たいそうなネーミングの食堂だが佇まいはもっぱら庶民的。

その右隣にも喫茶・軽食店とお菓子屋を兼業する「アルプス」なる店舗が。駅前の食い物屋はこれで全てである。あとは駐在所と民家しかありません。

ふるさと創生資金1億円で建てられた阪南市「わんぱく王国」

一見、何も無さすぎてうろたえてしまいそうな秘境駅・山中渓において年中楽しめるレジャー施設というものが一応あるにはある。地元の阪南市が運営する「わんぱく王国」である。その名の通り、子供向けの遊具が揃っているアスレチック風味な公園だが、ここにも人の姿が見当たらない。

わんぱく王国の入口ゲートから入ってすぐ左手側の広場には、管理状態もよろしくない古びた遊具が適当に並んでいるばかり。土日に来ればもう少し客がいるかも知れませんが…

時代が時代なら探偵ナイトスクープで桂小枝探偵が来て「あーおもしろかった!」とオーバーリアクションしてもらいたいくらいに虚しいパラダイスっぷりを見せつけている施設であるが、いかんせん都心から離れすぎているのが災いしている。

どうもここは長い恐竜滑り台が一番の目玉らしく子供に人気らしいが、そこに辿り着くまでに結構な山道を登らなければならない。面倒臭いので行きませんでした…

なんともやる気の無さそうなお食事処も併設されているようで、手書きの看板が哀愁を誘う。バーベキューもやってるみたいですな。それよりここ、バブル期の竹下登内閣時代に全国の自治体に1億円をばら撒いた、あの「ふるさと創生事業」によって建設された公園だと聞いた日には脱力するばかりなのであった。

大阪最南端の宿場町…紀州街道山中宿

JR山中渓駅から大阪方面に少し下っていくと、紀州街道の宿場町である山中宿を起源とする古い集落が姿を現す。この集落の中に限っては昔ながらの情緒ある町並みが残り、足元には石畳の道が整備されている。

さしずめ大阪最南端の宿場町と言える山中宿だが、てんで観光名所にもならないマイナーな地域である。皆さん、大阪にもこんな場所があるんですよ。知ってました?

紀州藩主の参勤交代の折に休憩所として使われていたとされる「山中宿本陣跡」は個人宅となっている。今まで大河ドラマとかアニメの舞台にはならなかったんですかね。

ちなみに車で山中渓を訪れると、この山中宿にある阪南市管理の有料駐車場(500円)に停めなければならない。田舎だから車は止め放題、という訳には行かないのだ。わんぱく王国の利用者もここに車を停めてとことこ歩く事になる。やはり、観光客ウエルカムな感じは微塵もしない土地である。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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