【守口市】千林商店街の裏手にひっそり残る、小さな料亭街「滝井新地」を見る

京阪千林駅にも程近い守口市側の住宅街にひっそり佇む「滝井新地」はマイナーながらも現役の新地の一つとして知られている。常に買い物客でごった返す千林商店街も、夜更けともなれば人の姿はまばら。

こんな時間に千林駅を訪れたのには目的があった。ここに大阪五新地の一つ「滝井新地」があるからだ。飛田・松島・今里・信太山・滝井の「滝井」である。五新地の中で最も小規模でマイナーな存在だが、それでも現役で続けているという。

滝井新地への最寄り駅は隣の滝井駅ではなくここ千林駅。駅のそばに大阪市旭区と守口市との境があり、新地はその境目に程近い守口市側にある。駅から滝井方面に栄通商店街という通りがあるので、そこを入る。

なんと商店街のゲート自体がスーパー玉出仕様になっていて吹いた。どこにでもあるよなこの店。

夜の千林商店街でひときわ存在感を放つドギツイ玉出のネオンは千林の地でも容赦ない。昭和の安売り王・中内功氏ゆかりのダイエー創業の地という因縁も我知らず、平成の安売り王はデフレの世の中に貧乏人の味方として大阪に君臨し続けている。

メインストリートとは違ってどこか寂寥感漂う栄通商店街。少し歩いた所にスーパー玉出の店舗がある。滝井新地はその先の住宅街。

真っ暗な住宅街のど真ん中にいきなり現れる滝井新地。夜な夜な怪しいネオンを輝かせる料亭の数はわずか8軒。土地勘がわからなければ発見するのも難しい程の小規模新地である。飛田や松島みたく「料理組合」云々の看板も一切ない。まさに穴場。

あまりに暗すぎて周囲の様子が訳ワカメなので再度昼間に訪れた。付近は完全に住宅街だが、滝井新地の手前だけがオンボロモルタル壁のスナック街の廃墟となっていて、雰囲気がある。

小規模スナックが棟続きに4軒立ち並ぶボロ家。恐らくどの店も現役ではなかろう。政党ポスターがベタベタ貼られているだけでテント屋根もズタボロに朽ち果てている。この趣きの建物で2階建てという事は、ここもちょんの間の廃墟かも知れない。

まあなんとも時代の痕跡を忠実に残してくれている建物だ。見た目から判断すると築50年以上は確実に過ぎているものと見られる。

所々モルタル壁が崩落して窓ガラスが割れている箇所がある。傍らには共産党ポスター。門真と並ぶ貧民自治体である守口市も庶民政党が大活躍であります。

一昔前まではこれらのスナックや居酒屋も現役で、新地遊びに訪れる客の姿もさぞ多かった事だろう。飛田ばかりが有名になってしまったせいで、ちょっと割を食っていない印象のある滝井新地。

向かいの建物のスナックも一目見て老衰しきった印象。千林商店街の繁盛っぷりを見た後だと雲泥の差である。

そのスナックの脇から伸びる路地裏にも「ひよこ」ちゃんが隠れていました。夜になると本当に真っ暗で何も見えないので、営業しているかどうかは未確認。

買い物客で賑わう千林商店街を外れて北東方向の路地に入ると途端に陰鬱で古臭いアパートが現れる一画がある。だが滝井新地の料亭が立ち並ぶ場所はごくごく小さな区画でしかない為、道順を確かめておかないと延々と路地裏の迷路をぐるぐると回る羽目になる。

本当に何の変哲もない住宅街なのが逆に意外過ぎて驚く。飛田や松島あたりだと明らかに周囲の街も怪しいしそれなりに警戒するのだが、滝井には一切そういった予兆がないのだ。

というよりも京阪電車の線路沿いの道を歩いて行くのが一番分かりやすい。千林駅と滝井駅の間の距離は約400メートルしかなく(隣の滝井と土居の間は200メートルくらいしかない)、ふらふら歩いていると何となく雰囲気のある路地が見えてくるはず。

だいたいこの辺から入っていけばいいんですね。

ちょっと路地に足を踏み入れるとすぐ右手側に料亭ばかりが立ち並ぶ一画が見えてくる。これが滝井新地。

風情で言うと完全に飛田松島には劣っているが、棟続きの建物に独特の看板群。見事に残っている。

今も滝井新地では8軒の料亭が営業中。昼間から営業している店は少なく、普通の個人宅でもあったりする訳であるが…

しかし店の玄関に大きく貼り出された「十八歳未満立入禁止」の看板が生々しい。ホステス募集中。20~38歳までの方はどうぞ。ちなみに滝井新地の料亭にいるホステスさんは30代が多いそうだ。

新地を入るとすぐ突き当たりになりT字路の両側にも何軒かの料亭がある。路地を抜けるとそこはもう普通の住宅街。

ここも同様に十八禁の看板がある。あっという間に一周出来てしまうのであまり思案に耽っていてもみっともないかも知れない。客引きのオバハンにすぐ覚えられてしまう。

ちなみに夜が耽ると線路沿いにはポン引きのオバハンも出没するらしくこっちは「裏滝井」と呼ばれている。表にしても裏にしても、アンダーグラウンド感が半端ない。

T字路の左側の一軒を過ぎると、もう新地の外。目の前には普通にマンションが立ち並んでいて、現実と非現実の境目は限りなく薄い。

昭和の頃まではこの滝井新地に「千林トルコ」なる特殊浴場があったそうだが、その名残りとして現在も遊里が残っているのだろうか。いずれにしても大阪五新地中最小のマイナー新地である「滝井」の存在は記憶の片隅に追いやられようとしているかのようだ。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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