【おきナニワん】本土で最も沖縄に近い街…大正区南部の激寂れアーケード商店街「サンクス平尾」

日本本土最大級の沖縄出身者集住地である「大阪市大正区」のガチなウチナータウンを知るためには、大正区の“先っちょ”でしかないJR大正駅周辺の飲み屋街を訪ね歩くだけでは不十分だ。駅に近く、お誂え向きな佇まいの沖縄酒場が密集するあの界隈は“入門編”でしかない。ガチな“おきナニワん”を堪能するならば、目の前の大正通を往来する路線バスに乗って片道3キロほど離れた区の南部にある平尾地区まで来るべきである。

大正駅前からバスに揺られる事15分。平尾バス停を降りて大正通りを東に入ると、「サンクス平尾」(平尾本通商店街振興組合)というアーケード商店街の入り口と、その周辺のなんとも癖の強い下町風景が広がる。江戸時代の明和8(1771)年に平尾与左衛門という人物が新田開発を行った事がその地名の由来である。

“おきナニワん”のローカルっぷりが最も濃ゆいサンクス平尾商店街界隈を散策する

ここいらは住所で言うところの平尾五丁目および三丁目にあたる一帯で、平尾・南恩加島地域は大正区内で最も沖縄出身者の集住率が高い。アーケード街の手前にある「平尾サンクスホール」は商店街の振興組合事務所が入居している建物。ここの軒先には…

ひときわでかい陶器製のシーサーが鎮座している。口を閉じた「阿吽」の片割れ の“吽”のシーサー君しかおらず、対にはなっていないのだが、相棒は沖縄本島にでもいるのだろうかね。

また平尾公園そばには「大正沖縄会館」の建物が鎮座している。財団法人大正沖縄協会の施設でもあり「大正沖縄県人会」の活動拠点となっている。ここにも一対のシーサー像が鎮座し、それに加えて大正沖縄県人会のエンブレムが掲げられている。

ところで千島三丁目の大正通沿いにも「大阪沖縄県人会連合会」が運営する「大阪沖縄会館」という建物があるんですけれども、両者は別の団体なんですかね。よーわかりませんけれども。

年々来るたびに寂れてますけど「サンクス平尾」

大正区におけるウチナーンチュの暮らしぶりが最も肌身に実感できる場所、という立ち位置だったはずのアーケード商店街「サンクス平尾」。大正区内では三泉商店街や泉尾商店街と並ぶアーケード街の一つで、区南部のお買い物拠点として長らく栄えていた場所だが、どうにも寂れっぷりが酷い。

…というのも、当方はこの場所を2005年にも訪れた事がある。14年前にもなるわけだが、この頃はまだ商店街に買い物客のひと気もあったし、開いている店舗も多かった。けれども大正駅や大阪市内の他の場所からも超絶遠く不便な事からか、年々寂れてきている。

立派にしつらえられた全蓋式アーケードとは裏腹に、見事なシャッター街と成り果ててしまった現在のサンクス平尾商店街。本場沖縄の廃れアーケード街である沖縄市(コザ)の一番街銀天街通り、名護市の市場商店街を彷彿とさせる佇まいになってきた。

シャッターが閉まったままの店舗の残骸は賑やかしに沖縄ムード全開なシャッターアートがふんだんに描かれ、さらなる寂寥感を誘っている。どさくさ紛れに公明党ポスターまで貼られているところまであるのがご愛嬌である。

それでもアーケード街を見上げれば沖縄のシンボル的建物である首里城の守礼門が描かれた横断幕が賑々しく飾られていて、ここが紛れもなく「大阪の中の沖縄」であることを物語っている。

商店街まるごと全力で「沖縄推し」なのは言うまでもない。もはやそれ以外に推しポイントが見当たらないほど沖縄カラー全開なのが大正区南部のこの界隈なのだが、鉄鋼・造船関係の工業地帯にも程近く、昔から沖縄出身者の雇用の受け皿が多くあったというのがウチナータウンとして栄えたきっかけだ。

サンクス平尾商店街は全長250メートルあまりの、規模としては中程度の商店街となっている。ほぼ全域が地元民向けの生活に根ざした個人商店ばかりとなったローカル臭きっついアーケード街。相当寂れたとは言え、3分の1くらいの店舗はまだまだ現役。

こうした土着の激安衣料店が何軒もあるようなところがガチの下町と呼べるんですが、こちらのお店も2017年時点で廃業して無くなりました。いつか鶴町まで地下鉄が通って、この界隈が息を吹き返す日を夢見ていた住民もいたはずですが…もう実現しなさそうですしね。

買い物客の姿もまばらであるが、最低限衣食住が一通りこの場で揃うくらいの状態は保たれている。近所には「サボイ」「ニッコー」といったスーパーマーケットもあるので、同じ大正区の奥地にある鶴町商店街の寂れっぷりと比べればまだマシですかね。

そんなサンクス平尾の中の“わしたショップ”的存在として現役バリバリの「沢志商店」。店先にはいつもビニール袋に詰められたサーターアンダギーが売られている。大正区南部で沖縄食材各種を買うならまずここだ。

見た目普通のレトロな豆腐屋かと思わせる佇まいのこちら「田地食品」もよく見りゃウチナー仕様。地元沖縄系住民が常食する島豆腐、ゆし豆腐の取り扱いアリ。

大阪らしくたこ焼き屋なんぞもあるアーケード街だが、食い物系コンテンツはアーケード街を出た周辺地域の方が揃っている。大正区ソウルフードの「沖縄風ホルモン焼」の店も含めて詳しくは次回のレポで触れる事にしよう。

大正区は連ドラ史上最悪と酷評された「純と愛」のロケ地です

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大正区平尾界隈、本来なら町おこしの強力な起爆剤となるはずのNHKの朝の連続ドラマの舞台ともなった場所で、2012年に放送されたNHKの朝ドラ「純と愛」でこの商店街もロケ地になっているが、登場人物がことごとく不幸のどん底に落ちる「連ドラ史上最悪」と酷評された内容のドラマで、生憎ながら「ちゅらさん」ほどの影響力は出ず、既に一般人の間では忘れ去られた存在である。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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