【西宮市】文教住宅都市西宮!関西住みたい街上位常連・阪急神戸線「夙川」を歩く

関西というお土地柄は首都圏のように住んでる場所で人々が格付けし合ったり、くだらないランキングに乗せられて何となく恵比寿だの吉祥寺だのに住んじゃう頭の弱い“おのぼりさん”は滅法少ないものと思われるが、それでも「関西住みたい街ランキング」というものが毎年の如く発表されていて、その上位にはだいたい決まった地名が出てくるのである。

その一つに挙げられる「住みたい街」の常連組である阪急神戸線の「夙川」に今回はお邪魔してみた。両隣の駅も「阪急西宮ガーデンズ」が出来てからやけに人気の高い西宮北口と、芦屋の山手の豪邸街にも近い芦屋川である。まさに関西のおセレブ様御用達路線の花形的エリアだ。

夙川は阪急神戸線の特急停車駅に指定されている。そのため梅田から15分、神戸三宮からも11分で来られるという地の利の良さもあるわけだが、そもそも特急自体が十三から神戸三宮までの途中、西宮北口、夙川、岡本の三駅しか止まらないのだ。

さすがおセレブ様タウン夙川、駅の構内に成城石井があるぞ!

そんな阪急夙川駅の神戸線ホームにはなんと「成城石井」のエキナカ店舗まである件。関西資本のいかりスーパーではなく何故これが入っているのか理由はよくわからないが、いずれにしても首都圏においては高級スーパーの代名詞である。夙川住みのおセレブ様一同も「駅の中に成城石井がございますのよオホホホホ」などと自慢こけそう。

そんな成城石井のエキナカ店舗を横切るとその先にあるのが「阪急甲陽線」という盲腸的存在の路線。夙川、苦楽園口、甲陽園のたった3駅2.2キロの区間を3両編成の車両が10分間隔で往来する。苦楽園口も甲陽園も西宮市の中の富裕層ばかりが住むお上品な地域であり、大阪や尼崎の貧乏下町民には想像もつかない生活空間が広がっている。

駅前に白ポスト!文教住宅都市西宮の顔・夙川駅前

まず改札を降りて駅の周辺の街並みを探索しなければなぜ夙川が関西住みたい街ランキングの上位常連組なのかその理由もわからないだろう。一般的には駅名にもなっている、そばを流れる「夙川」から西側、つまり芦屋寄りの一帯が高級住宅街という扱いになっている。

そんな駅前のタクシー乗り場となっているロータリーには、出ました西宮名物「白ポスト」が。発祥こそは隣の尼崎市だが、やけに有害図書を目の敵にして白ポストを置きまくっているのがここ西宮市。これは市内16ヶ所あるうちの一つだ。集められた有害図書や有害DVDは市の予算で焼却処分される。西宮市の教育意識の高さが現れている一つの姿勢である。

武庫川を挟んで下品な大阪下町文化をシャットアウトするかの如く「文教住宅都市」を自称する西宮市。隣の西宮北口駅周辺の「予備校銀座」っぷりには関東における文教都市の雄である埼玉県の浦和(さいたま市浦和区)住民も顔負けのテンションである。

しかし駅前ロータリーを挟んだ向かい側に「夙川グリーンタウン」という、そこだけ時を止めたように佇む、古びた駅前複合施設がそびえているのが見える。よくありがちな再開発ビルでしょうか知りませんが建築年度は昭和52(1977)年と既に40年オーバーである。ダイエーや100均キャンドゥなんぞが入っているあたり、完全に高級感の欠片もない。もっとキラキラした駅前なのかと想像していたので、これは意外だ。

そんな夙川グリーンタウンにも直結している、駅前から伸びる歩道橋を行き来する地元民も皆一様に品のある身なりをしている。ピシッとした制服に身を包んだ小学生や幼稚園児も親に手を引かれて歩いている。夙川住みのおセレブ様と大阪や尼崎あたりの下町貧困層とではもうスタートラインからして全く違うのである、という現実が噛み締められます。

普段から汚くなりがちなはずの駅前の公衆便所ですら「ジブリの世界か?!」と思えるようなファンタジックな佇まい。トトロどころか変質者も出ませんけれども、まあなんとも漂白されきった駅前風景ですな。

当然ながら阪急夙川駅前にはパチンコ屋といった下品な店舗は全く存在していない。その代わりにあるのは「東大京大館」などと書かれたエリート志向の高い学習塾だったり…もう、この辺に生まれ育ったら東大か京大に入れなかったら人生が終わるくらいのテンションだよな…

駅の北側にもちょろっと商店街っぽいのが伸びていて、ここを北上すれば苦楽園だとか六麓荘町とか西宮・芦屋市境の高級住宅街にも繋がっているのだが、尼崎ではよく見るような、雑居ビルに赤提灯の居酒屋とか場末のスナックなんてものは夙川では皆無。また「灘学習院」などと看板に書かれた英才教育スクールが…

これまたおセレブ様趣味全開な宮殿風建築物がそびえていて、これが東京の白金あたりなら「幸福の科学」大川隆法総裁のエル・カンターレ御殿を彷彿とさせる作りであるが、不妊治療を得意とするお高級仕様産婦人科だった件。DQNがポコポコ不幸な子供を産んだり中絶するようなこの少子化の世の中、将来の日本のために高所得者層のエリートこそ子孫繁栄の礎を築くのが道理である。

阪急夙川駅のすぐ東側を流れる二級河川「夙川」。川沿いには綺麗な並木道が整備され、文教都市の趣きをより強固なものに彩っている。夙川流域には名門私立校や各種教育機関が勢揃いしており、関西屈指のエリート養成地域としてその品格を保ち続けている。

夙川のお上品ロード「夙川さくら道」沿いは風致地区です

阪急夙川駅前からは夙川沿いのお上品な散歩道が連なっている。「夙川さくら道」と称する、この街の風格を決定付けるかのような一画。道行く人々の姿も揃って高学歴そうな方々に見受けられる。下手な世田谷とかよりも全然上品なんですが、すぐ隣は尼崎とかなのに、こうも住んでいる人種が違うとは。

ところで一部では夙川の地名の「」という言葉が、古代の近畿地方における賤民の呼称である事をどうこう意見する者もいるようだが、一体いつの時代の話をしているのやら…としか思えない。それに「夙」の意味には「昔から」「早くから」といったものもあり「つとに」という表現もある。

そう言えばこの通りの名前で思い出しましたが、阪急神戸線夙川駅に対抗するわけでもないが並走するJR神戸線が「さくら夙川駅」というゆとりネーミング全開な新駅を2007年に開業させている。しかしこちらは各駅停車の普通電車しか止まらず。「福男ダッシュ」が毎年年始の風物詩となっている「西宮戎神社」にも近い。

夙川沿いに立ち並ぶマンションは揃って高級志向に統一されていて、西宮市指定の「風致地区」にもなっているのだ。川沿いと言えば通常は河川氾濫のリスク等で地価が下がるものだが、ここに関しては夙川自体にブランド価値があるので、まるで真逆の傾向である。

阪急夙川駅から海側に下るとJR神戸線、さらに阪神本線香櫨園駅前へと辿り着く。この間の距離は1キロも離れていない。ここまで来ると阪神沿線まで下っても尼崎のような下品な街並みではなく、やはり別世界の空気が漂っているのである。逆に阪急夙川駅から山側に登ると苦楽園口、甲陽園というお上品エリアもあるが、この界隈にも足を伸ばしてみたので次回のレポートで詳しく紹介したい。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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