【大阪にまさかの文教都市が】パチンコ屋が市内に一軒もない街!大阪狭山市「金剛」駅前を見物する

大阪・難波から堺市と南河内を経て和歌山県橋本市や高野山方面に走る「南海高野線」、俄然ガラの悪い地域ばかりかと思いきや、その偏見が全く通じない街がある。大阪府内でもとりわけマイナー地域に甘んじている「大阪狭山市」である。この街では「青少年の健全な育成」を理由に、市の条例でパチンコ屋やゲームセンター等の出店が規制されているのだ。

人口約5万8千人の小さな自治体でもある大阪狭山市には南海高野線の駅が3つある。市役所や狭山池に近い「大阪狭山市駅」と、その北隣、北野田との間にある存在意義がよくわかんない「狭山駅」。そしてこちら「金剛駅」。ハングル・中国語併記で特定アジア諸国に親切な南海電鉄。金剛山観光地区へはこちらが最寄り駅…ではありませんスムニダ。

一見隣の大阪狭山市駅の方が中心かと勘違いしそうになるが、あちらは区間急行・準急・普通しか止まらない。それに比べ、駅の両側がニュータウンとして開発され人口が多い金剛駅のほうが圧倒的に利用者が多い。こちらは特急「こうや」「りんかん」も含め全ての電車が停まる。こちらが大阪狭山市を代表する駅ということにしておこう。

金剛駅から南海なんば駅まで急行電車で約25分という地の利で、多くのサラリーマン世帯が住んでいる地域でもあるが、駅近くの金剛団地は高齢化と老朽化のダブルパンチで人口減少が著しいのと、都心回帰の流れが強いせいか、駅前の賑わいもどこかしらビミョーなのである。首都圏で言うところの、多摩ニュータウンの永山みたいな雰囲気が出てませんかね。

特急停車駅の割には、そんな金剛駅前の商業施設もそれほど大した発展ぶりを見せていない。所詮は寝に帰るだけの街になってしまっている証左であろうか。毎年だんじりを担いでいる気性の荒い南河内の地元大好き土着民と都心の方にしか目が向いていないニュータウンの住民とでは温度差の乖離も著しい。

前回の金剛団地の記事でも触れているが、金剛駅とその周辺は大阪狭山市に属しているものの、金剛団地や金剛ニュータウン・金剛東ニュータウンがある駅の東側は富田林市で、駅の西側には狭山ニュータウンという別の新興住宅地もある。金剛駅前からはそれらの住宅地に向かう路線バスの発着も多い。

大阪随一のドマイナー都市・大阪狭山市です

そんな金剛駅前ロータリーに出入りする地元大阪狭山市のコミュニティバス。何やら奇妙なキャラクターが描かれている。どうやら大阪狭山市のマスコットキャラクターとして活躍している「さやりん」という子らしいですが…知ってました?

やたらとご当地キャラ推しが強い大阪狭山市、抜け目なく「ゆるキャラグランプリ」にも参戦し市民に応援を呼び掛ける始末である。狭山という地名だけに常々埼玉県と間違われる街ですが、こういうところまで「埼玉」っぽくないですか?

狭山池の龍神伝説と、池の周囲を取り巻く桜の花をモチーフにしました、というご当地キャラクターがゴミポストにまで描かれている徹底ぶりです。こちら、茶処じゃない方の狭山です。宜しくお願いします。

もっとも大阪狭山市が市制施行したのは30年ちょい前と比較的新しい。それまでは「南河内郡狭山町」だったわけだが、結構あちらこちらに町政時代の産物を見かけられる。消火栓のマンホールとか…市制施行時に埼玉の狭山市に遠慮して今の市名を名乗っているが、ガラの悪いイメージがある「河内」の旧国名は使わず「大阪」を頭に付けた形だ。

条例でパチンコ屋が一軒もない大阪狭山市!金剛駅利用者の教育熱の高さに注目する

先にも軽く触れたが、大阪狭山市は条例でパチンコやゲームセンターを規制するほど「青少年の健全な育成」にはこだわりの強い地域だ。駅の構内には大阪デフォルト的な下品なパチンコ屋のそれではなく学習塾の広告が出ている。南河内屈指の文教地区、それが大阪狭山市なのである。

旧狭山町時代にニュータウン開発が進み人口が増加し5万人台を突破し、市制施行された昭和62(1987)年10月1日より「大阪狭山市パチンコ遊技場等及びゲームセンターの建築の規制に関する条例」が施行され、それ以来市内には一軒もパチンコ屋が設置されていない。パチンコ屋を条例で締め出している地域など、京阪神の通勤圏ではせいぜいここと芦屋市くらいである。

大阪狭山市は芦屋市とは違って、高級住宅街でもなんでもないし、当の大阪府民ですら「そんなとこあったっけ?」とすっとぼけるくらいにマイナーな存在の街である。パチンコ屋を締め出している街とは言えども、駅前商店街は華やかさとは到底無縁の空間である。芦屋のようなシャレオツなパン屋とかテラス席にワンコを座らせて有閑マダムがランチを召し上がるカフェなんかも皆無だ。

学習塾だらけでガリ勉になるしかない大阪狭山市金剛地域の子供たち

その一方で、金剛駅周辺にやたらめったら目にするのが「学習塾」の数々である。DQNベースの南河内地域にありながらも大阪狭山市民は教育熱がやたらと高い。これでもかと文教都市っぷりを見せつけているのだ。

あらあら、関西で手広く展開する、難関中高受験生向けの学習塾「馬渕教室」も金剛駅前にございますわよ。偏差値70超えの大阪府内トップクラス校である北野高校、天王寺高校、三国丘高校といった名門校の合格者数一覧がベタベタと貼り付けられ実績をアピール。

馬渕教室に関しては通常の校舎に加えてイオン金剛店の近くに個別指導コース専用の校舎まで別に構えているという気合の入れようである。教育ママもご納得の環境ザマスね。

さらには首都圏含め全国に2100教室以上を展開する大手の個別指導塾「明光義塾」もありますしね…

駅前の商業ビルを見上げても、少しくらいくだけた感じの食い物屋でもあればと思ってみても無駄である。学習塾か不動産会社といったお堅い店舗ばかりだ。

これだけガリ勉っぷりが凄いと、もはや大阪狭山市(富田林市側の金剛ニュータウン含む)に生まれたならば、周囲のDQN地域の子とは交流せずに学習塾に通ってエリートを目指さなければならない空気すら漂ってくる。

ざっと見た限り金剛駅周辺には10件近くの学習塾がひしめき合っていることが分かった。人口5万8千人の小規模自治体としては人口比で言っても明らかに多すぎである。

GOLDEN☆BEST 大江千里

これだけ教育熱が高い街だとさぞかし大成した人物もいるはずだろうと思ったが、大阪狭山市出身の有名人と聞いてもせいぜい昔懐かしの「大江千里」くらいしか出てきませんねん…まあだいたいミュージシャンかプロ野球選手止まりですかね…

周りがDQN地域ばかりで、かえって反目するかのようにガリ勉志向に突っ走る構図は埼玉県の文教都市「浦和」の姿を彷彿とさせる。南浦和の塾銀座も一種異様なほどの空気を感じるが、だいたい狭山という地名すら埼玉県と間違えられるし、どうにもならない田舎臭さも似通っている。こっちの狭山に茶畑はありませんけどね。

いつもの大阪らしく、「飲む打つ買う」で家庭を破壊するダメな親父の溜まり場すらない駅前風景だが、唯一息抜きできそうなのが線路沿いのこの一画くらいか。あとは難波に出るか堺東に出るか…

金剛駅周辺で唯一の大型商業施設と思われる「イオン金剛店」。店構えからして元ダイエー店舗っぷりモロ出しであるが、2016年にダイエーから鞍替えしたばかりのようだ。ここにも案の定ドムドムハンバーガーやディッパーダンがある。こじんまりとした土着型モールでしかないが…

しかし学習塾がわっさわっさとありふれている以外は、物の見事にシャッター街ぶりを見せているのがこの街のいびつさというもの。駅からイオン金剛店の前に続く道もこの通り。文教都市を自称はすれどもマイナーな片田舎から抜け出せない街、それが大阪狭山市である。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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