湖東随一の遊郭跡・八日市「延命新地」と商店街を歩く (5)

滋賀県湖東地方における主要都市の一つである八日市、その街中に残る延命新地という元遊郭地。時代に取り残され徐々に廃墟化が進む色街、一方で街で独り勝ちの料亭「招福楼」は日本料理店としてのブランドを築き上げたという二極化現象…それが延命新地の今の姿のようです。

どこを見回しても容赦なくスナック街が密集しまくりなんですが次第に廃墟も多くなってくる。さっきの「美好食堂」の前の道まで戻ってきた訳だが…



右手には元妓楼と思しき廃屋が一軒、地デジ化によるテレビの一斉買い替えで生じたアナログブラウン管テレビが何台も玄関前に不法投棄されていた。酷いなこれ…

当然ながら地主さんはカンカンに怒っておられるようで抗議の張り紙がベタベタ貼られている訳である。しかしテレビを捨てて行く連中にはそんな日本語すら通じないようだ。

妓楼の二階部分、伸び放題の枯れ草が複雑に絡まり合っていて見るからに壮絶である。

美好食堂の向かいの料理屋「吉かつ」は現役。ここは遊郭時代の延命新地にあった吉勝楼と関係があるらしい。ちなみに延命新地を詳しくレポートされている「のぶログ」さんによると向かいの美好食堂の建物が旧吉勝楼だったとある。

その他、赤線地帯にはよく見かけるタイプの戦後のカフェー風味な平屋のスナック街もあったり、この狭い一画によくぞこれだけ怪しい風景が残っているもんだなと感心してばかりだ。

朱色の細格子が映える旧「清里楼」の建物。遊郭廃止後は料亭に転業していたようだが現在は「旅館くしむら」。表側は綺麗に手入れされてはいるが裏に回るとさすがに建物の古さを感じさせる。

旅館くしむらの隣には広い敷地にまたしてもスナック街が連なっているという…寂れまくりとしか思えないんですが、今でも夜になると結構凄いんでしょうかね。

さらにコンクリート建てのビルの廃墟まで路地裏に隠れているのであるが、何かの事務所跡だったのだろうか。放置年数が相当経っているようで建物自体劣化が進んでいる。

そのビルの脇にもまだまだ続くよスナック横丁。廃墟に囲まれた一画で雰囲気がかなりハードボイルド気味です。チンピラに追われてボコられそうな路地裏です。

そこにも冷蔵庫や家電の類が不法投棄されているというゴミ捨て放題なカオスゾーン…

ちなみにこのビルの建物、表に回るとシャッターに書かれている通り「元肉屋」だったようだ。近所の焼肉屋に卸してたんでしょうか。

ところで井上理津子氏の飛田新地本によると八日市の遊郭では「儀式」があり、娼妓に身を落とす女に死者の湯灌に見立てた「人間界最後の別れ風呂」に入れさせた直後土間に蹴落とし全裸で猫飯を犬食いさせ畜生界へ入る事を自覚させるというエゲツナイ儀式があったらしい。

野良猫が妙に多い延命新地の路地裏、もしや畜生界に生まれ変わった遊女の方々であろうか…そんな儀式を想像すると呑気に可愛いとか言っていられない気がしてきた。

赤線跡を歩く―消えゆく夢の街を訪ねて (Bibliotheca Nocturna(夜の図書館))
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