【東成区中道】戦後のドサクサ感漂う「森之宮駅前商店会」を見る

大阪城公園を北西方向に望む「森ノ宮駅」。JR大阪環状線に加え、大阪市営地下鉄中央線および長堀鶴見緑地線と3つの路線が使える事もあり、昨今の都心回帰現象に伴って、特に駅南西の中央区側を中心に新築マンションの建設が進んでいたり、長年放置プレイをかまされていた日生球場跡地が「もりのみやキューズモールBASE」に生まれ変わったりと色々変化が激しい。

2015年に駅舎が改装されピカピカになったJR大阪環状線森ノ宮駅を降りてすぐ東側に出ると、こちら側は中央区ではなく東成区に属する中道一丁目となる。前回のレポで東成区中道界隈がマイナーなコリアタウンである事に触れたが、実は森ノ宮駅前のこの一帯も「戦後のドサクサ」感が凄まじい商店街が残っている。ほら、のっけからパチンコ屋がジャンジャンバリバリ言うてまっせ。

パチンコ屋と呑み屋しかない「森之宮駅前商店会」

JR大阪環状線森ノ宮駅のすぐ東側を並行する形で南北に貫く「森之宮駅前商店会」。中央大通側からその入口を見ると「商売繁盛 太閤はんの城下町」とたいそうに書かれた看板が掲げられているのだが…

その商店街のメインストリートを見るとこの通り。商店街というよりは単なる呑み屋街である。これで太閤はんの城下町とか言われても太閤秀吉もあの世から化けて出てきて苦笑いするしかない。森ノ宮駅前にはそもそも商店街らしい商店街がなく、住民の生命線は駅周辺に何軒かあるスーパーか、最近できたキューズモールくらいしかない。

この商店街で昼間から繁盛しているのはこちらのスロット専門店一軒のみという状況。買い物をしに来る商店街ではないことだけは確かだが、JR・地下鉄3路線も乗り入れる駅前の風景にしてはかなりトホホな状態である。

パチスロ屋の並びの食い物屋も餃子の王将・酔虎伝・居心伝・鳥貴族と見事なまでのオッサン向けのチープなチェーン系飲食店ばかりが揃っていて何ともやるせない。大阪城公園に行く為に森ノ宮駅を使う外国人観光客もこの一角にはてんで見向きもしないだろう。

さらに商店街の中ほどにあるこちらの不動産屋がある付近は建物の昭和魔窟感も容赦ない。戦後からほとんど何も変わっていないんじゃなかろうか。そう思うくらいの迫力がある。

商店街の南端部まで来ると二階建ての長屋風飲食店街となっているが、ここも土着民しか立ち寄りそうにない居酒屋や串かつ・ホルモン焼の店ばかりで大阪クオリティ全開となっている。

おまけに向かいのボロい雑居ビルの麻雀屋の看板まで「ニュー巨泉」だもんな。ハッパフミフミとか11PMとか言われても平成生まれの今時な連中には何の言語かさっぱり通用せんだろう。まさに昭和の遺物。

その他、やたらと多い空き地を有効活用したコインパーキングの敷地には激安「おいなはれ」自販機が派手派手しく存在感を放っている。激安自販機のメッカである貧民の商都・大阪にはこの手の自販機が各所に置かれているが、この「おいなはれ」自販機では賞味期限切れの近い一流メーカー品が半額~3分の2程度の価格で買えてしまうのが特徴である。

実は埋め立てられた猫間川の上にこの商店街がある

この商店街沿いの道、地図でその形状を確認してみるとまっすぐに道が通っておらず、途中でうねうねと蛇行しているのが分かる。実はこの商店街、戦後に埋め立てられ消失した「猫間川」に沿って作られているのだ。猫間川と聞いてピンと来た人もいるだろうが、梁石日原作「夜を賭けて」に触れられていたアパッチ族が戦災で灰燼に帰した大阪砲兵工廠跡地に転がっていた鉄屑を盗み出す為に潜り込んで渡った川というのが、この猫間川だったのだ。

森之宮駅前商店会のエグさは線路沿いにある

そんな残念感半端ない森之宮駅前商店会だが、その実力は一本内側に入った線路沿いの道を歩けば理解できるというもの。急に如何わしい雰囲気が増しておりますが、ここは森ノ宮駅の大阪環状線外回り(2番)ホームの真下です。

特に鳥貴族が一階に入居しているこちらのマンションの外壁が魔窟過ぎてびっくらこきました。四階建てのうち二階から上が住居となっているようだが、住環境はいかなるものか…グーグルマップで見ると「森ノ宮マンション」と表記がある建物だ。

このマンションから南側の建物は概ね戦後のドサクサ的風情を漂わせていて、そりゃ鶴橋もあれば龍王宮や古鉄街のあった桜ノ宮や、鴫野西のアパッチ部落もあるという大阪環状線のうち東半分の「旧城東線」に属するエリアですもの、まあなんというかお察し下さいとしか言いようがないんですが…

高架ホームのある線路側もやたらとDQNヤンキーによる落書き被害が酷いのが安定の大阪クオリティでございますけれども、そのうち駅構内と同じように「浄化」されて小綺麗な立ち飲みバルとかが連なる天満市場のような風情になるんでしょうか?

先程あった商店街南端部の二階建て長屋飲食店街の裏手の線路沿いだが、あろうことか二階部分が道路側にせり出して、無理くり二階の床面積を稼いでいるという戦後のドサクサ建築では定番の建て方になっているのがポイント。こういう風景、東京でも北区王子駅前の「さくら新道」(2012年焼失)なんかでも目にしましたし、関東も関西も戦後は大変だったんですよね。

そして、この長屋の部分だけトタンで屋根を葺いて線路側を結んで天井を作っちゃっている所が尚更カオス感を増長させている。東成区中道住民の一部はこの狭い通路を通勤ルートに使っていて、こう見えて人通りも結構ある。

これが二つ隣駅の鶴橋駅前になると焼肉屋だらけで駅のホームから焼肉臭が漂うのだろうが、森之宮駅前商店会ではあまりそこまで派手ではなく、せいぜい「ホルモン焼肉 宋」という店舗が一軒あるのみ。

不法投棄や放置自転車の類も酷いらしい森之宮駅前商店会。「見てます!!不法投棄!!防犯カメラで!!」とやけにビックリマークを多用した物々しい目玉付きの警告張り紙が。ちなみに森ノ宮駅や隣の玉造駅では同じ駅の利用者でも中央区側と東成区側ではまるで住人の質が違うというのは地元民の間では定評がある。要は上町台地の上にあるか下にあるかで別世界なのである。

「森ノ宮」なのか「森之宮」なのか「森の宮」なのか問題

それはそうと「森ノ宮」の表記についてカタカナの「ノ」とひらがなの「の」と漢字の「之」が混在しているのが面倒臭い。「森ノ宮駅」と「中央区森ノ宮中央」は「ノ」、「城東区森之宮」は「之」で、この商店街は「の」と「之」が混じっている。大阪民国だけにケンチャナヨーなお国柄なんでしょうか。


トップへ戻る