【いちびり根性】安倍首相とトランプ大統領も苦笑いしそうな守口市「土居商店街」をご覧下さい

大阪市北東部に隣接する守口市…ここは隣の門真市と並んで松下電器もといパナソニックの本社所在地であり昭和の時代には企業城下町として栄えてきた街でもあったが、生産拠点が海外にシフトしたせいで産業が空洞化、雇用の受け皿が無くなり、大阪府下トップクラスの生活保護受給率を誇るビンボータウンに転落している、不名誉な一面もある。

しかしそんな街でも商店街は元気一杯ですよとアピールせんばかりに存在感を示すのが京阪電車土居駅近くにあるアーケード商店街。ポポラーレ土居だとか京阪商店街といった複数の商店街が合体しており、守口市を代表する庶民の台所と呼べる場所。本記事では便宜上、これらをひっくるめて「土居商店街」と呼ぶ事にする。

まずは最寄りの京阪土居駅まで来ましたが…

まずやってきたのが京阪電車の土居駅。守口市駅の一つ手前にあり、隣の滝井駅とは大阪内環状線(国道479号)を隔ててホームの端と端がわずか159mしか離れておらず営業キロ数でも0.4kmという「駅間が超短い駅」として知られる。(ちなみに全国一駅間が短いのが長崎県佐世保市にある松浦鉄道の佐世保中央-中佐世保間の200m)

駅が開業した昭和7(1932)年当時は「大大阪時代」と呼ばれていた大阪における工業の発展で人口が急増し、この狭い駅間でも駅の設置を求める地元の声が大きく、開業したのは隣の滝井駅が設置されてからわずか8ヶ月後のこと。

しかし現在は駅利用者数が京阪本線の中でも屈指の少なさである。普通電車しか止まらないローカルな駅だが、電車を逃したら隣の滝井駅まで走れば間に合うのではないかと思えるほど、マジで短い。

守口市屈指のアーケード商店街は賑やかだが時が止まっている

で、京阪土居駅の改札前から伸びるアーケード街に入ると、そこにはジャンジャンバリバリパチンコ屋の音とコナモン屋から放たれる香ばしい匂いが漂う「いつもの大阪」的空間が連なる。

例えば大正区の端っこにあるような商店街で見られる「寂れている」感じは全くないのだが、街の発展が昭和のままで止まっていて、住民だけがそのまま高齢化してしまった、そういう地域である。京橋まで10分で出られるし、少し歩けば谷町線で梅田にも出られる。通勤快適、生活の不便もない地域なはずですが…

そんなアーケード商店街を歩いていると右手側に現れる「守居神社」、守口の総鎮守である、918年創建という非常に歴史の長い神社が何の気なしに商店街に佇んでいるというのが大阪の街の奥深さ。

大阪市内にある下町全開な商店街と全く何の違いもない風景であるが、この一帯だけは守口市という単独の自治体であり続けたのも、今やパナソニックと呼ばれる松下電器や三洋電機の企業城下町であったからこそのもの。

松下・三洋の業績悪化で税収が減少したことによる財政難から隣の門真市との合併話も上がっていたが、2004年に行われた住民投票の結果「合併反対」票が圧倒的多数で白紙撤回。それ以来、人口も最盛期の18万から14万人台まで減少傾向にあり、街に若々しさが全く感じられない。

どこかしら80年代ファンシー感漂うたこ焼き屋のキャラクターが描かれたファサードに哀愁を感じさせる。「安くてめちゃ旨いで~」と大阪弁丸出しで言われると、やはりどう見てもここは大阪でしかありません。

土居駅前から守居神社を過ぎた先の四つ角で「ポポラーレ土居」「旭通商店街」「京阪商店街」「京阪東通商店街」という四つの商店街が一堂に会する。ここまで来ると結構な規模のアーケード街であることがわかるだろう。チャリで行ける範囲に千林商店街もあるというのにね。

安倍首相とトランプ大統領がいる「京阪商店街」

ガンバ大阪の応援のぼりを大量に掲げる「京阪商店街」。ここを通ると大阪内環状線まで抜けられる上に、地下鉄谷町線および今里筋線太子橋今市駅にもアクセスできる。交通便は決して悪くはないのに、商店街を歩く人々は土着のおっちゃんおばちゃんの姿しかいない。

太子橋今市駅寄りのところまで歩くと、いよいよ空き店舗や廃墟のようになった区画が目立ってくる。しかし地下鉄の駅も割と近いんですがなんでこう活気がないんでしょうか。

駅徒歩3分、商店街の入口にある38平米の店舗テナントが家賃45,000円という投げやり価格で貸し出されているのにはビックリ。太子橋今市から東梅田までたった13分でアクセス可能である事を考えるとこの地価の極端な違いは何なのだろうと。

しかしこの京阪商店街、どこかしら頭のネジが一本飛んでいるかのような「いちびり根性」を見せている。突然何の拍子もなく現れるトランプ大統領の顔ハメ看板。これは一体何なのだ。

京阪商店街振興組合の建物前で演説するトランプ大統領の顔ハメ看板。「守口ファースト」「土居グレイトアゲイン」などと熱弁を振るっている。ツイッターでいつも呟いている大統領本人に教えてあげたらどうなるんでしょうこれ。

どうやら商店街の客にトランプ大統領になってもらう記念撮影スポットになっているらしい。珍しそうに見ていたら通りがかりの知らない親父が顔ハメ看板の穴に顔を突っ込んできた。昼間から既に出来上がっていたのだろうか、地域もさることながら、守口市は住民の質こそがグレイトである。

そんないちびり根性丸出しのトランプ顔ハメ看板を制作しているとみられる大元、土居情報発信ステーション「ドイノミクスStudio」も同じ商店街内にある。この商店街独自の政治寄りのパロディ、まあなんというか大阪ならではのものでしょうか。もし東京だったらプロ市民の多い中野や杉並の商店街でこんな事をやったらサヨク婆さんがムキーとか言いながら本気で抗議しそうだ。

その隣の米屋の軒先にはトランプ大統領と安倍首相の顔そっくりの被り物が置かれている。大阪の片隅の場末感漂う下町でまさかの“日米首脳会談”。でもトランプ大統領の立場だったらアメリカ製品の関税を撤廃しろとか言われて日本側が不利になる気がするんですが、日本で走ってるアメ車も少ないしアメリカ製の家電製品も滅多にないですしねえ。商店街的にはまあノリだけでいいんでしょうがね。

ちなみにこの京阪商店街、毎週土曜日の11~12時までの1時間限定で「かぶりもの笑店街」と称して、商店街店主が各々かぶりものを被った上で接客をするという、何だかよく分からないいちびり系イベントを実施している。果たしてどういう絵面が見られるのか、我々はスケジュール的に見に行けませんでしたので誰か見に行ってみてください。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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