【大阪府の赤字遺産】千里中央からバスで30分、誰も知らない超絶山奥のニュータウン「箕面森町」とは

大阪府北部、北摂山中には常人には理解不能な僻地に建設された大規模ニュータウンがいくつもある。茨木市北部のもはや住所が亀岡市になっている「茨木台」や「北摂バードタウン」などはその最たる例だが、箕面市北部にも奇妙なニュータウンがある。

それが「箕面森町」(愛称:水と緑の健康都市)と呼ばれる場所だ。住所の上では大阪府箕面市に属するが、箕面市街地から遠く離れた山中にあり、豊能郡豊能町と境を接する一帯にある。

当初から大阪府が事業主体となって約1000億円もの総事業費を掛け開発された「官製ニュータウン」であり、バブル崩壊によって街開き後に土地価値が下がってしまい赤字垂れ流し状態になっている。りんくうタウン、泉佐野コスモポリスと並ぶ「大阪府三大赤字遺産」に数えられるプロジェクトだ。

2007年の街開き直後に、この箕面森町の様子を見に行った。「みのおもりまち」やおまへんで「みのおしんまち」でっせ。いわゆる“重箱読み”地名である。同年に開通した総延長5,620メートル「箕面グリーンロード」(箕面トンネル)を経由して千里中央までバスで最短25分。遠い…

箕面市上止々呂美の一部に「森町北」「森町中」「森町南」といった住居表示がなされ、既に街開きから10年以上が経ったが、当初の計画人口だった16,500人から9,600人に下方修正されている上に、2017年時点での人口はたったの3,000人未満に留まっている。

立派なバスターミナルが整備された街の中心「箕面森町地区センター」。街開き直後も本当に何もなさすぎて、買い物とか病院とか、一体どないすんねんといった感じだったが、10年経ってもさほど発展している様子もない。ちなみに箕面森町には個人経営のクリニック以上の医療機関もなく、総合病院に通うには池田や千里中央などに出る必要がある。

2018年現在も目立った店舗はファミリーマート一軒くらいしかなく、大型スーパーの出店もない。住民はバスに乗って千里中央に出なければ買い物すらできない。あとは保育園が一軒あるだけですかね。

バブル崩壊で地価下落の煽りを受けたため、もしも箕面森町の分譲地が全て売れたとしても、事業全体で750億円の赤字が残るらしい。行くも戻るも地獄の赤字遺産…事業主体の大阪府は未だに必死こいて「千里中央のちょっと先」などとPRしまくっているが、全然「ちょっと先」じゃないし、そう簡単にこんな山奥の僻地の家を買う度胸の有る人間は現れない。

「府の役人に事業失敗の責任を取らせて(箕面森町の土地を)買わせるべきだ」などとかつてテレビ番組で発言していた橋下徹氏はその後大阪府知事に就任し、奇しくもこのニュータウンの宣伝ビデオに出演する羽目となったエピソードも記憶に残る。梅田まで最短44分って言われても…北大阪急行線の延伸で都心への所要時間が減る事に僅かに期待を寄せるが、たったの2.5キロほど鉄道が近づいただけではそれほど劇的に改善されはしないだろう。

箕面森町は2007年の第一期整備事業で全体計画面積314ヘクタール中3分の1にあたる100ヘクタールの土地が街開きを行っているが、第一期の住宅地もガラガラで空き区画だらけの中、現在は第二期整備事業まで進められている。ちなみに宅地分譲されている土地を見ると坪単価22万円台、2000万円も出せばかなり広い土地が買える。一生マイカー生活が苦にならなければ検討の余地アリか。

箕面森町住民の生命線である「箕面トンネル」に加え、ようやく2017年12月に新名神高速道路「箕面とどろみIC」が供用開始され、神戸・京都方面へのアクセスが飛躍的に高まった事で、この赤字遺産ニュータウンは巻き返しが図れるのか、今後の動きが見ものである。

そんなニュータウンが広がる高台を降りると、元々から存在する止々呂美地区の集落が広がっている。ここは全くの古くからの集落でしかない。その集落が連なる余野川沿いに、池田市から豊能町、亀岡市方面を結ぶ国道423号線が走る。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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