【箕面市】北大阪急行延伸で新駅誕生予定「箕面船場」の寂れた繊維団地とマダムシンコ本店

箕面市

昭和45(1970)年開催の大阪万国博覧会に合わせて整備された「北大阪急行線」が半世紀の歳月を掛けて、終点の千里中央から北の箕面市方面に延伸工事を行っている。2020年には新駅が開業する予定になってるらしいんですが…

千里中央駅北側の新御堂筋を見るとずんずん鉄道工事をしまくっている様子を観察できる。2.5キロ先のイオン箕面店付近に出来る「箕面萱野駅」が新たな終点となるが、さすがにその先の「箕面森町」までは行きませんよね、そうですよね。

箕面市にある「大阪船場繊維卸商団地」

北大阪急行線の延伸によってもうひとつ開業予定の途中駅「箕面船場阪大前駅」(仮称時点では箕面船場駅)は、箕面市に万博開催と同時期の昭和45(1970)年に整備された「大阪船場繊維卸商団地」に近接している。ここは大阪市中心部の船場地域にあった繊維卸業者が一部移転してきた商業団地である。

かつて大阪船場の繊維卸問屋街は全国随一の規模を誇っていた。船場では手狭になってしまった事もあって箕面市の千里丘陵北部を大規模に開発した上で立派な商業団地を整備したが、今ではすっかり産業構造の変化によって非常に寂れた佇まいを放っている。

箕面の繊維団地にある業者の建物もその多くが昭和の時代に建てられた古臭い佇まいのビルばかりで、特に裏通りに入るとひと気もなく寒々しい。北大阪急行線の延伸工事がやっと進んでいるが、それまでは鉄道駅も遠く、大阪市内から見るとこんな場所に用事を思いつく事も難しい。逆に思えば、こんな都心から外れた場所に突如としてオフィス街が広がっている光景が奇妙にも映る。


住所は「箕面市船場東・船場西」に跨るが、どちらかと言えば船場東の方がビル街の趣きが強い。

現在、箕面市粟生間谷東(彩都ニュータウンの外れ)にある大阪大学箕面キャンパス(旧大阪外国語大学)がこちらに移転する予定に合わせて、決定した北大阪急行線の新駅の名前も「箕面船場阪大前」と長ったらしくなりましたが、今後は学生街に生まれ変わるのかも知れませんね。阪大は不便な彩都ニュータウンを捨てて箕面船場を選んだ、と解釈してOKでしょうか。

寂れた繊維団地に爆誕した「西川きよしの娘のオサレカフェ」

すっかり時代に取り残された感のある繊維団地も、近年は北大阪急行線の延伸を見越してか、空きテナントに続々オサレカフェなんぞが進出し始めており、可処分所得の多いリッチな北摂住民を中心にマイカーで乗り付けて来る客も増え始めている模様。

繊維団地の外れに店を構える「バンザイカフェ」もそんなオサレカフェの一軒。オフィスビルの一部が改装されてカフェとして営業中。恐らくここ数年くらいで新規開業しているものと見られるが…

そこで扱っているランチメニューが「ヘレンのハンバーグ」…ええ、こちら、“小さなことからコツコツと”…昭和の漫才界の重鎮「やすきよ」から参議院議員に転身し、政界引退後の今もタレント業でコツコツと活躍中の「西川きよし」の娘、西川かの子氏が経営するカフェでございます。

探偵ナイトスクープ等、関西ローカルではお馴染み辻調理師専門学校の林シェフと離婚後、何やってはったのかと思ってましたが、よもやカフェ経営とは…ご自慢の「ヘレンのハンバーグ」が主菜の、シュッとした感じの和風ランチ1500円(+税)也。かの子さん本人が配膳にやって来られましたが別にサインとかは頼みませんでした…

(※バンザイカフェは2018年4月にビル売却による立ち退きのため閉店したとのことです)

コテコテ大阪スイーツ「マダムシンコ」箕面本店もありますよ

バンザイカフェから少し離れたところには「マダムシンコ箕面本店」の店舗まである。北摂住みのおセレブ様御用達なんでしょうがゴテゴテな佇まいがなんとも大阪らしい。大丸梅田店の地下や新大阪駅のお土産売場とかで目にする、あのスイーツの製造元なんですが…

マダムシンコと言えば創業者の川村信子氏の経歴がこれまた「大阪のオバチャンのサクセスストーリー」といった感じで、韓国人の両親を持つ在日コリアン二世、島根県大田市に生を受け、10歳で大阪に移住、中学卒業後18歳で不動産業、クラブ、貴金属販売などを手掛け26歳で北新地に高級クラブをオープン、などなど、本人のWikipediaを見るだけでもうお腹いっぱい。まさに波瀾万丈の人生である。

大阪府公認キャラクター「もずやん」ともコラボしている大阪のコテコテスイーツブランド「マダムシンコ」。ちなみに偶然なのか近所の繊維団地には「堂島ロール」のモンシュシュ改め「モンシェール」の工場直売店舗もある。こちらも創業者が在日コリアンで、マダムシンコと存在感被ってます。まあなんというか、大阪らしいとしか言いようがありません…

そんなマダムシンコの本店とはいかなる店なのか、気になったあまりにやってきました。店舗には開放的でだだっ広いイートインスペース、というかゴージャスな喫茶コーナーもあって、ちょっと派手な結婚式場をイメージさせる空間である。

床一面に敷き詰められた絨毯はなんとオール豹柄。これはもう「ウヒョー」と叫ぶしかない展開である。これ以上ない程に「大阪のオバチャン」のステレオタイプを店舗のデザインやブランド作りに活かしているスイーツ屋さんを他に知らない。

マダムシンコの看板メニュー「マダムブリュレ」が乗ったおスイーツセット、1100円(+税)也。カフェ飯とケーキで3000円近く飛びましたが、これは北摂マダムにとっては普通の感覚なんですかね。金色のスプーンがこれまたゴージャス。これぞナニワのスイーツ進化系。

マダムシンコがまさかの映画化

マダムブリュレで実業家としての成功を収めたマダムシンコ氏、在日コリアン二世として歩んだその波瀾万丈の半生が映画化されているそうで、映画「やまない雨はない」、2017年12月、109シネマズ箕面での先行上映後、DVDも11月発売予定。

やまない雨はない [DVD]

いやあ、こちらも気になりますね。「血と骨」に次ぐ大阪生まれの在日コリアン文学が再び花開くのか。


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