【地雷物件】梅田・北新地の一等地にそびえる幽霊ビル「御堂筋フロントタワー」にとうとう買い手がついた!

景気回復しているらしい昨今、東京・名古屋・大阪といった大都市では軒並みオフィス空室率も過去最低水準であるとも報じられ都心のオフィス不足が深刻化しているらしい。特に大阪の都心部は企業にとって引っ越し先も探せず経済活動にも悪影響を及ぼすレベルだとの話。リーマンショックの頃と比べたら大違いっすね…

で、今回やってきたのは大阪・キタの都心「梅田」の一画、JR大阪駅から徒歩10分もいかない場所にある御堂筋沿い。ここには御堂筋と新御堂筋が分岐する「梅新南交差点」がございます。

この御堂筋沿い、毎朝毎夕のように大勢のスーツ姿のサラリーマンが行き交う、大阪市内屈指のホワイトカラー地帯。JRや阪急などで梅田に辿り着いた勤め人が地下鉄の電車賃をケチるためにとぼとぼと歩いて淀屋橋やその先の船場のオフィス街に通う日常風景が見られる。ラッシュ時に異常に混雑する御堂筋線にひと駅ぶんだけ乗る手間や電車賃を考えれば財布のためにも健康のためにも悪い事ではない。

その道すがらにある、大阪を代表する一大飲食街「北新地」。その東側は御堂筋に面しており、北新地にごまんとある高級クラブとはおおよそ無縁そうな、電車賃をケチるしがない仕事帰りの勤め人がせわしなく行き交う横で煌々とネオンサインを灯している。

キタの一等地にいわくつきまくりの幽霊オフィスビルが!

そんな場所にそびえる20階建てのガラス張りのオフィスビル「御堂筋フロントタワー」はそうした勤め人の間でもその存在がよく知られる、筋金入りのいわくつき物件となっている。なにせこのビル、8年前の2010年6月の完成以降未だに入居テナントがおらず、いわゆる「幽霊ビル」になってしまっている。

ビル裏手の地下駐車場入口も見事に塞がれて車も停める事すらできません。まあなんというもったいない物件なのでしょう。戦後の一時期、第三国人ヤクザの跋扈によって巻き起こった“梅田村事件”を経験した昭和の魔窟ビル「大阪駅前第3ビル」に隣接する、梅田新道交差点南西部にある大和証券大阪支店ビルの裏手にこの幽霊ビルはそびえている。

元々ここには「梅田東映会館」という映画館が建っていたが、2002年4月に閉館(E-MAに入居する梅田ブルク7が後継の映画館になっている)、土地を所有する不動産会社「大洋リアルエステート」(以後、T社)から50年賃借契約の上、T社の親会社であるシンガポール法人と三菱地所との共同出資により鹿島建設の施工によって2010年6月にこのビルが建てられた。

しかしT社の親会社と三菱地所の間でトラブルが発生、肝心のテナント入居ができなくなり、鹿島建設は建設工事費用の支払いを受けられず、当のT社自身も賃料収入の回収も行えなくなった。ビル建設のため共同出資で立てられた特定目的会社も倒産。そしてビルの周囲はフェンスで塞がれ一切出入りもできず、このような物々しい看板がどでーんと立て掛けられ、ただならぬ異様さを醸し出している。敷地にはネコくらいしか出入りもできない。

で、土地所有者であるT社が設置したヤケクソ気味な看板によると「急告!!このビル投げ売り 最低価格1万円以上」との表題で、支援者提供のイラストを添えてビル売却の意思を示している。月光仮面風の「正義の味方」が悪者キャラ「悪徳明治三百代言」に怒りの鉄拳をBAGOooN!と一発喰らわせている図。

「三百代言」とは訴訟などで当事者ではないのに示談でしゃしゃり出てくる第三者を意味する言葉だが相手方の弁護士を罵る時にも使う。T社が言うところの「明治三百代言」からはT社代表に対して「首をはねられ海に沈められる」などと脅迫を受けている旨も記されており、いささか穏やかではない。T社のホームページもあって色々と主張を行っているので詳しくはそちらを見てもらおう。

現在T社は共同出資者だった三菱地所をはじめ、建設工事を担当した鹿島建設、それに三井住友銀行や大和証券など複数の会社を相手取り訴訟を行い、10年以上にわたる長い戦いを続けている模様。同社が提示する“ビル投げ売り”の入札条件も事細かに記されているが、こんな地雷物件をたとえ1万円から買えるとしても、火中の栗を拾うような会社はそうそう現れない…と思いきや…

2018年10月始めになって「ラサール・インベストメント・マネージメント」(LaSalle Investment Management)というアメリカ・イリノイ州シカゴにある不動産投資顧問会社が「御堂筋フロントタワー」を購入した事が報じられた。購入金額は非公表だが、結局本物件は外資に買われたオチで終わりそうです。(大阪・御堂筋のオフィスビル 外資系が取得

ビルの建設から8年目でようやく正式な買い手がついた形になったビルだが、本来の役目を果たせる目処がこれで立てられたのだろうか。いくら土地持ちの資産家で左団扇で暮らす程であっても不動産投資は一筋縄ではいかないもんですね…またゴチャゴチャして元の木阿弥にならないように願おう。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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