【西宮市】山の上には日本一の豪邸街六麓荘が…西宮最高峰のおセレブ様タウン「苦楽園口」を歩く

関西屈指の高級住宅街と認識される「芦屋」…しかし芦屋市全域の中でも特に超高級扱いされている「六麓荘町」というのは山手側でも西宮市との境目付近にあって、あえてその最寄り駅を挙げるとするとここになる。

阪急甲陽線「苦楽園口」駅…阪急神戸線夙川駅から乗り換えてひと駅の位置にあるこの街は西宮市の中でも特に高所得者層が多く暮らすガチセレブタウンの一画を占める地域であり、駅名にもなっている「西宮市苦楽園」の隣にあるのが「芦屋市六麓荘町」…

しかし「苦楽園」というユニークな地名、人生楽ありゃ苦もあるさ、と水戸の黄門様もテレビドラマで唄っておられましたけれども、大阪のド下町で苦汁を舐めてきてばかりしてきた根っからのクソ貧民育ちの我々取材班からすると人生で一度もかすりそうにない街にノコノコと出かけてきた訳ですよ。

駅名が「苦楽園口」とあるように、ここはあくまで苦楽園の入り口でもあり、西宮七園の一つに数えられる高級住宅街「苦楽園」そのものではない。住所も南越木岩町だの石刎町だのである。しかし隣の夙川同様、駅前のクソ真面目・堅物っぷりは共通している。住所こそは西宮市でも、ここらは実質芦屋文化圏やね。

もっとも坂道の多い山手にあるこのへんの住民はチャリに乗って貧乏臭く電車通勤するガラの街ではないので、みんな自家用車利用だ。それでも学生くらいは電車に乗るのだろうが、駅前には学生の溜まり場になるようなカジュアルな食い物屋すら見かけない。

とりあえずお上品な感じしかない駅前の商店街を散歩してみることにする。苦楽園や甲陽園などの西宮の奥座敷の住民向けのローカル盲腸線でしかない阪急甲陽線の途中駅ともあって、駅前の発展ぶりはさほどのものでもないが、流れている街の空気がもはや全く違っている。街の品位を損ねるような店は一切受け付けないのである。

街の果物屋も肉屋ももはや普通ではない「毎日がスペシャル」仕様

どこの街にも普通にあるような果物屋も苦楽園口クラスの街になると無駄におスイーツ仕様が高まるようで、1つ1280円もするお高級フルーツパフェなんぞがイートインできる「アローツリー」なる店舗もございます。さらにその上にあるのは「アイリッシュ・パブ」ですか…店の“横文字”率の高さは目を見張るものがある。

ただの肉屋かと思ったら横文字で「GOOD GOOD MEAT」ですからね。ここもイートイン併設でクラフトビール片手にローストビーフなんぞが食えるそうで、通りがかる店がどこもかしこも「毎日がスペシャル」過ぎるんですが、これが西宮最高峰のセレブタウンの日常風景なのか。

でもこんな場所に「串カツ田中」まであるのだから侮れない件。首都圏で爆発的に増殖しまくった同店舗だが、店舗攻勢が手薄だった関西にも近年逆輸入的に店舗数を増やし始めている。分かる人には分かるだろうが、ここの串カツは新世界にあるような衣のボテッとした“労働者向け”仕様ではない。ここ苦楽園口のような、ちょっと可処分所得の多そうな街に狙いを定めて出店している。

しばらく駅前の道を歩くと途中の交差点の角にも随分シャレオツデザイナーズ仕様のビルがそびえている。下の階を見ればフツーに全国チェーン店の「上島珈琲店」なんかも入っているが、ここの上島珈琲店は「本店」と記載がある。確かにUCCは神戸の企業なんですが、やはりここは特別な店舗なんですかね。

さしずめ苦楽園ローカルなファッションビルでしょうか。「LeeStructure」と書かれた看板がありますが、こんなビルまでしれっと建ってるあたり、このへんの意識高めなおセレブ住民様は東京のオサレタウンの雄・青山あたりにも勝てる実力があると本気で思ってそうだ。

苦楽園口に怪しいフルーツ売りの青年現る

で、そんな道すがら、本当にどうでもいいんですが、またしても路上で「果物を買って下さい」などとそこらの通行人に無差別に声掛けをしまくる怪しい青年の姿が…フルーツをダイナミックに売っている謎の集団、首都圏にも関西にもくまなく活動中。

あ、怪しい青年が今まさに、地元のおじいちゃんに果物を売りつけようとしている。お金持ちの苦楽園住民なら気前良く買ってくれると思っているのか。学生も暇を持て余して変な商売に手出しする気持ちも分からなくはないが、もうちょっと仕事を選べよな。

駅前の「苦楽園口通り」を道なりに行けば、あの山の麓あたりには苦楽園一番町~六番町という西宮市屈指の高級住宅街、そして隣接する芦屋市六麓荘町という、田園調布ですら鼻で笑われる“超”がつくほどの天上界スーパーセレブタウンが広がっているのである。あんな場所に我々取材班のような下賤の民が近付こうものなど畏れ多い。とっとと踵を返して…ではなく、夙川駅方面に伸びる通りに入っていきますね。

夙川駅方面に下っていきましたが、やっぱりおセレブ仕様です

苦楽園口駅近くから阪急夙川駅方向に抜ける通りに沿って歩く。1キロ程度で隣駅まで辿り着ける距離感にあるが、こちらも同様に街の景観が大人しい。何の気なしに建ってる雑居ビルまで入居テナントが全部“横文字”だらけなんですが、ここはおフランスか何かですか?

実は本店が尼崎市塚口町にある、関西を代表する高級スーパー「いかりスーパー」の店舗も苦楽園口のこの通り沿いに「夙川店」を構えている。

同店舗のシンボルマークである船のアンカーも店先にオブジェとして飾られている。昭和36(1961)年に塚口に一号店を構えて以降、当時珍しかった輸入食材をどんどん仕入れて販売してきた。そんないかりスーパーの店舗密度が恐らく最も高いのが、芦屋と西宮にまたがるこの一帯である。

いかりスーパー夙川店の真向かいには同店舗の系列である高級中華料理店「愛蓮」、ワインと酒の専門店「ラ・グルメゾン」も併設。苦楽園および周辺のおセレブ様の肥えた舌を満足させる「毎日がスペシャル」な店が勢揃いである。

いかりスーパーの前を往来する自動車もその多くがベンツやアウディ等の頑丈な輸入高級車ばかり。間違っても車のダッシュボードにぬいぐるみを大量に置いていたり、変なアイドルのグッズやステッカーを貼り付けて走るような腐れヤン車や軽自動車が通り掛かる事もない。

この界隈も我々のような貧乏育ちには全く心の琴線に触れる事のないような、よくわからない舶来雑貨を売っている店だとか、おフランスだかおイタリアだか知らない輸入ファッション専門店なんぞが軒を連ねるばかりである。

阪神間には腐るほどあるコリアン風味な焼肉店も苦楽園口まで来ると叙々苑並みにお上品仕様。しかし昼の焼肉定食は千円で食えるらしい「成田屋」。もはや“ランチで千円”が安く思えてくる。

ちょっと休憩がてらイタリアンジェラートを扱ってるっぽい店の前を通り掛かり思案するも…なんだ「希少糖ファイバーソフトクリーム」って…しかもSNSに投稿すると30%オフとか書いてあるし…おセレブ様タウンのスイーツ店はあまりに意識が高すぎて…結局素通りしてしまった。

そのまま道なりに下れば先日レポで触れた阪急夙川駅の北側に抜けられる。機会があれば苦楽園や六麓荘町も見物に行きたいもんですが、そんな日はやってくるんでしょうかね…


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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