【八尾市】西武百貨店が無くなってすっかり寂しくなった「近鉄八尾」の駅前風景

鶴橋から近鉄電車に乗って片道10分少々、大阪市に隣接する「大阪府八尾市」の中心市街地にあたる近鉄八尾駅にやって参りました。人口約26万7千人を数え、2018年4月から大阪府下5番目の中核市となった街…隣の東大阪市同様、中小企業の町工場で栄えるブルーカラー都市である。

近鉄大阪線の急行以上の電車はことごとくすっ飛ばす途中駅でしかない、なんとも中途半端な存在感の近鉄八尾駅。この駅で降りた事もそう言えば全然無かったかも知れないくらいの場所だが、今回はある用事があってこの街に来る羽目になった。

ガラが悪いと常々言われる河内地域。近鉄大阪線の通勤リーマンはスルーする街

近鉄八尾駅自体は大正期の大阪電気軌道時代から存在していた。その時から八尾の中心的な鉄道駅としての役割もあるが、現在の駅舎は昭和53(1978)年に高架化した時に出来たもので、駅構内に「ペントモール」とかいう高架下商店街があったりして、見るからに古臭い佇まいである。

近鉄八尾駅を颯爽とスルーし郊外へ向けて伸びる「近鉄大阪線」は実のところ長距離通勤利用者がかなり多い。急行や快速急行といった上位の電車は生駒山地を越えたはるか先の奈良県や三重県のベッドタウンの住民を都心に運んでいる。大阪から一時間以上掛けて名張の桔梗が丘から通っている「三重府民」な人達とか、首都圏で言う「山梨都民」とそんなに感覚変わらんやろ…

それとは対照的に大阪市内まで片道10分で行ける近鉄八尾駅前のロータリーは人の姿もまばらで非常に閑散とした印象である。八尾市内も基本的には大部分が大阪平野に属する低地にあり、市内で高級住宅街と呼べる地域も河内山本だか久宝園といったところが挙がるが、北摂阪神間のガチセレブから見ると「河内なんて、あんなガラの悪い地域に住んでるの…」と鼻で笑われるほどの存在。まだ70キロ離れた桔梗が丘から延々と通う方がマシなのか?

布施から枝分かれする近鉄大阪線の途中駅としては一応ながら大阪府内で最も栄えているという扱いになるのかも知れない駅前風景。しかしのっけから一等地の良いところをパチンコ屋がちゃっかり押さえちゃっているのがいつもの大阪クオリティである。急行以上の電車で通勤する奈良県民や三重県民は一切スルーしてしまう街だ。

賑わいを無くした近鉄八尾駅前、ランドマークの西武百貨店が消えた

そんな中途半端なイメージしか無い近鉄八尾駅前で唯一都会的な存在感を示していたのが、なぜか埼玉と池袋・新宿を結ぶ黄金列車…もとい西武鉄道グループが高槻に次ぐ関西進出二店舗目として出店した「西武百貨店八尾店」の店舗だった。昭和56(1981)年に「西武八尾ショッピングセンター」としてオープンして以来の歴史があったが、近所に現在の西武百貨店の親会社であるセブン&アイホールディングスが「アリオ八尾」を開業後はどんどん客足を奪われた挙げ句、2017年2月末に閉店。

西武百貨店撤退後、運営が別会社に引き継がれて2017年9月に「LINOAS八尾」として再オープンするまでの一時期は「八尾光町駅前ビル」という元の名前で、何やら中途半端な雑居ビル状態になっていたわけですが、若年層向けのテナントを入れてなんとか活性化しているようですよ。

道路を隔てて睨み合う「アリオ八尾VS日本共産党」

そんな元・西武百貨店から連絡通路で直結している「アリオ八尾」…現在の近鉄八尾駅前の賑わいの中心は事実上この施設になってしまっている。これも“西武”同様首都圏には馴染みの深いイトーヨーカドーが核テナントなわけですが、高槻あたりのように「あんまり大阪っぽくない」とは言われないのがガチな河内地域にあるが故の宿命で…

首都圏にあるアリオも北砂だとか亀有とか西新井とか川口のようなどうしようもない下町ばかりに店舗がある。そしてここもフードコートに「ポッポ」が入っているので間違いない。ポッポは関西では5店舗しかないうちの一つ。やはりセブン&アイホールディングスは地域マーケティングをよく心得ておられるものだ。

2006年にアリオ八尾が旧コクヨ八尾工場跡地に建設されるやいなや、駅の南西側にあった、それまで街の中心だった商店街はみるみる寂れてしまい、今ではモールの真ん前にある雑居ビルでさえ廃墟化する始末。大型モールが地域経済を惜しげもなく破壊していく一部始終を見ているかのようだが、やっぱり人間はみんな便利な方に流れていくものである。

そんな大企業様の運営する「アリオ八尾」に睨みを利かせるかのように当てこすりのような文言が大きく書かれた看板を掲げているのは地元の日本共産党事務所だったというオチ。簡素な小屋のような佇まいで目一杯主張を繰り広げておられますが…

砂利敷きの駐車場に軽自動車の街宣車というのがこれまた哀愁を誘う、慎ましやかな八尾の共産党さんでした。

八尾が誇る名門大学「大阪経済法科大学」ですよ

ところで人口26万7千人の八尾市にある「大学」は唯一「大阪経済法科大学」一校のみが存在している。近鉄八尾駅にもこの通り広告が出てますけども…これまで法学部と経済学部に特化した大学だったが、2016年4月から国際学部を新設して外国人留学生の受け入れも活発化させている。

ここはかつて上本町にあった「上六トルコ」の経営者だった創設者が莫大な利益を得た自らの私財を投じて昭和46(1971)年に大学を建設したという、大阪でしかあり得ないような斜め上のエピソードがあり、まさに知る人ぞ知るもの。

いつの間にか八尾駅前に、そんな大阪経済法科大学の駅前キャンパスとなる立派なビルまでそびえている始末。ネットではあれこれ書かれているが、近年では入試志願者数が急増していて、少子化のこのご時世にやたら景気がいい。

近鉄八尾駅徒歩5分の好立地となる駅前キャンパスからは同市楽音寺、生駒山地の麓に広がる「花岡キャンパス」行きの学生用送迎バス乗り場も完備されている。偏差値45~47でFランなどと言われようが北朝鮮がどうこう噂されようが、これまで学問という言葉とは無縁だったこの地域が学生街として発展の兆しを見せているのは地元としては喜ばしいのだろう。

その後近鉄八尾駅前にある商店街をうろつき回ったりしたのだが、そのへんについては次回以降のレポでじっくり紹介する事にする。しかしまあ、保育園までいちびった格好しとんな…


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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