【尼崎市】工業都市・尼崎のリフレッシュスポット「かんなみ新地」を見る(2011年)

駅前にパチンコ屋やら風俗店がこれでもかと密集している阪神尼崎駅前の歓楽街を見てお腹いっぱいになりそうだが、そんな尼崎には有名なちょんの間地帯がある。神田南通にある「かんなみ新地」だ。

阪神尼崎駅前のアーケード商店街をひたすら出屋敷方面に歩いて行くと、アーケードが途切れた先の辺りに突然3階建ての長屋が連なる奇妙な一画が現れる。一見すると文化住宅か何かか?と思うようなみすぼらしい建物だが、この場所こそが正真正銘の尼崎最強ピンクゾーン。

50メートルくらいの幅でひたすら似たような造りの3階建て家屋が連なっているので遠目に見ても明らかに変な感じがする。そして一軒一軒の家屋の玄関口がやけに間口の広い開き戸ばかりになっている。

日が暮れた頃にやってくるとそれぞれ店がピンク色の怪しい光を漏らしながら、倖田來未ばりのドンキホーテ系ヤンキーガールを中心に若い娘ばかりが道行く男に手招きをする。システムは20分諭吉一名という事らしい。どっちかゆうたら若い子向けですかね?朝っぱらに店の前を通りすぎても、屋号すら見当たらない普通の家の玄関。

それでいてエアコンの室外機の多い事多い事。夏場にはよっぽど家の中が蒸し返すんだろうなぁと想像してしまう。左側にある「何品でも買ます」と送り仮名がおかしい店の跡っぽいものは、おそらく質屋か何かか。

長屋の端っこからどうやら店の裏手に回れるらしい。「いらっしゃいませ」と矢印マークだけが書かれた看板が、客の男どもをさらにピンクゾーンの奥へといざなう。

裏側に回るとそちら側も店の入口になっている所があるようで、やはり室外機が異様に多いのと玄関口が並んでいる様子は表側と共通している。

裏側は駐車場の塀に遮られているので1階部分の様子を遠目に眺める事が出来ない。建物の商店街側に開口部があって、そこから建物を一周する事が出来るが、奥に掃除中のおばさんが居たので遠慮して引き返した。

偶然なのか必然なのか知らんが、このかんなみ新地の長屋の周辺は全てだだっ広い駐車場になってしまっている。近所のスーパーや商店街の駐車場も兼ねているのでソッチ目的でさすがにこれだけのキャパを食う訳がないだろうが、遠目に見ても一発で様子が変なのが丸わかり。

そしてやたらめったら多いエアコンの室外機が庇部分に整列されている奇妙な光景。見た目で判断しても店一つで2、3個くらいは取り付けている事になる。夏場の炎天下でもこれだけ粗末な長屋で仕事をする訳だからこのくらいエアコンがないと熱を下げられんという事か。

この中はどうなっているかと言うと2階は姫の常駐している部屋で、仕事は半分屋根裏部屋みたいになっている3階部分で行うらしい。

「何品でも買ます」の店舗跡を境に左側は2階建ての別棟となっている。建設時期がそれぞれ違うのだろうか。どっちにしてもやたらボロい建物だが。

かんなみ新地で勤める姫は沖縄出身者が多いと聞いた。元々尼崎には沖縄出身者が多いのもあるが、それ以上に沖縄本島の事情もあって真栄原社交街やコザ吉原といった向こうの名所が軒並み壊滅させられたせいで仕事にあぶれた姫がこっちに流れ着いているらしい。

飛田や松島など表向き「料亭」という事にしている大阪府下のちょんの間地帯とは違って、ここは料亭のふりすらしていない。このかんなみ新地の成立にまつわる具体的な歴史が今ひとつ分からないので謎めいているのだが、戦後の混乱期に出来た青線がそのまま惰性で続いているだけかも知れない。ちなみに同じ兵庫県では福原のソープ街がある。

そんなかんなみ新地の向かいの駐車場にはこれ見よがしに置かれた警察の看板が。

「実施中 悪質風俗・追放運動 健全な地域社会づくり」

尼崎最強のDEEPゾーン、ちょんの間地帯の横を、何事もなく平然と通り過ぎる市民の姿があった。そこは昔も今も街にあるもの。不健全が入り交じる健全な地域社会がある訳なんですね。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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