【昭和遺産】姫路市・手柄山中央公園の「回転展望台」が閉鎖する件

春を迎える3月は「別れの季節」だとかいうそうで、卒業シーズン真っ只中、世の中の人々も学校を卒業するなり色々と人生の節目を迎える時期でもあるが、ちょうどこの時期にお別れとなってしまう昭和のレトロ建築もあるわけで、姫路市にある手柄山中央公園にそびえる「回転展望台」が今年3月25日に閉鎖になるという話を耳にした。

昭和41(1966)年、この手柄山中央公園で行われた「姫路大博覧会」のテーマ塔として建設された「回転展望台」も50年という歳月を越えて、老朽化を理由に閉鎖する事が決まった。いずれそうなると思って訪れていたんですが、「その時」は案外近かったですね…

ロサンゼルス国際空港の旧管制塔がモデルの回転展望台

高度経済成長期真っ只中の日本で、右肩上がりの成長を続ける当時の日本経済のイケイケドンドンぶりを国内外に示すべく、当時のアメリカ・ロサンゼルス国際空港の管制塔をモチーフとした奇抜なデザインで作られた全高24メートルの回転展望台の上には展望喫茶店「手柄ポート」があり、姫路市街を一望できる名所になっている。そう言えばロサンゼルス国際空港の旧管制塔も同じくレストランバーになってるらしいですが…

鉄道マニア垂涎の「姫路モノレール」はとっくに存在しない訳で、手柄山中央公園へは姫路駅からバス利用が一般的。我々は根性で姫路駅から延々と歩いてきたわけですが、夏場だったので干からびそうになりました。ちょうど喫茶店で一服できるんで、いいんですけどね。

回転展望台の上にある喫茶店「手柄ポート」へは年季の入ったこちらのエレベーターを使うか、螺旋状に伸びる階段をてくてく登るかのどちらかになる。営業時間は10時から17時まで。この写真には終了時間が18時となっているが、我々の訪問後短縮されたっぽい。

エレベーターの押しボタンは70年代製ならではの造りが特徴的である。まさしく「そういえば昔のエレベーターってこんな感じだったよなー」的な造り。

そんなエレベーターで回転展望台の上に登ると、そこはもう完全に昭和のままの純喫茶丸出し状態。レトロ建築マニアも純喫茶マニアもこぞって目指す垂涎の地である。

円形の回転展望台喫茶店、その外周部にぐるりとテーブル席が設けられ、どの席に座っても360度全く同じ眺望を楽しむ事ができる。窓の外には姫路市街地が広がる。足元にはひめじ手柄山遊園および姫路市民プールなども見え、遠くには播磨灘に面した工業地帯も望める。

この回転展望台は一周14分というペースでゆっくり回転し続ける。幸いにも晴れた日なので遠くまで見晴らしが良い。距離的には「白すぎ城」と言われる姫路城もバッチリ見えたと思うんですが、そこはよく見てませんでしたね…はい。

喫茶店内はちょうど内側と外側の半分ずつで固定域と可動域が分かれている。危険のない速度で回転するのでバランスを崩してズッコケるような事にはならないが、トイレにでも行って戻ってきたら自分の席が一瞬分からなくなりそうな勢いだ。

昭和遺産として名高い手柄山中央公園の回転展望台だが、当初は姫路市も老朽化激しいこの建物を解体・撤去する方針だったが、市民の要望を受けて一旦は撤回し「存続」すると2016年9月の時点で報じられていた。

しかし建物の耐震補強工事などのメンテナンス費用の点で「存続」させるのは難しく、結局は「閉鎖」した上で「モニュメントとして残す」方針がラストアンサーに決まったようで。あ、座席にずっと座っていると店の中も「一周」してますよ。

真夏の昼間に姫路市街をてくてく歩いて大量に汗を流した後に飲むコーヒーフロートの味は格別やな!ちなみにここ、喫茶店なんですが、アルコール類もビールに水割り、チューハイにハイボールとあれこれ用意していて、居酒屋同然の使い方も出来る。(現在は閉店直前のためメニューが限定されている)

ぐるぐる廻る店内には姫路大博覧会の開催を前に建設中の回転展望台や姫路モノレールの写真なども複数展示されている。「光陰矢の如し」とは言いますけれども、しかし昭和41(1966)年が半世紀以上前の過去だとはね。

帰りは螺旋階段をぐるぐる降りて退店。ごちそうさまでした。この回転展望台に入れるのも今週末がラストチャンスである。今頃駆け込み客が殺到してそうだな…ちなみに千葉県柏市・柏駅前「そごう柏店」の回転展望レストランもそごうの店舗ごと閉鎖されたし、今や全国にある回転展望台も回転の有無に関わらずその数が限られている。

以前、姫路大博覧会の開催に合わせて作られた「姫路モノレール」の残骸を見に来た事もあったが、その象徴的な建物の一つであった「大将軍駅」と一体化した公団住宅「高尾アパート」も既に現存せず。

思えば昭和どころか、平成の時代も来年4月30日をもって天皇陛下の生前退位によってピリオドを打つ。次の元号が何に決まるのか知らないが、新たな時代に生まれるだろう若い世代に「平成レトロ」とか言われてしまう時代がもうすぐやってくるのか。


The following two tabs change content below.
DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
トップへ戻る
Copy Protected by Chetan's WP-Copyprotect.