【東淀川区】昭和のリバーサイド大型マンション「エバーグリーン淀川」に圧倒される

新大阪直通で利便性が三倍増しになった感のある「JRおおさか東線」の新規開業部分、かつて淀川を渡る城東貨物線の一部で、貨物列車と歩行者が共に行き来していた「赤川鉄橋」を通る車窓から、何やらクソでかいマンションが見えて気になって仕方がないので現地に足を運んでみた。

この場所は住所で言うところの東淀川区東淡路一丁目。最寄り駅は阪急およびJR淡路駅ということになるが、淡路駅前からは結構離れていて、チャリンコがないと不便な距離感がある。大阪市民の飲み水を供給する「柴島浄水場」などに近い“淀川リバーサイド”ゾーンである。

東淡路の淀川リバーサイド“万里の長城”マンション

そんな淀川の土手沿いに万里の長城の如くそびえる大型マンション群…建物自体もよく見りゃ直線ではなくギザギザの段状に作られていて、かなりユニークだ。ここは昭和50(1975)年に建造された「エバーグリーン淀川」という世帯数400戸以上もある大型分譲マンションである。

1~4号館までが「川」の字状に建ち並んでいる格好のマンションだが、特徴的なギザギザ形状の建物の各住居を見れば、どの物件に入っても二面採光が確保できる仕組みになっていることがわかる。しかもすぐ南側は淀川が流れていて遮るものもないので、“日当たり抜群”なのは明らかだ。

そんな建物を淀川の土手から遠目に眺めると、見る人によってはなんとも“ざわつく”感じがしなくもなかろうか。 古くはエジプトのピラミッドから、近代では黒川紀章の中銀カプセルタワービルまで、何か“同じ構造体が規則的に並んでいるもの”に惹かれる人間の心理というものは確かにある。特に川に近い側の上層階の部屋からはちょっと距離はありそうだが、梅田やその周辺のビル街も一望できそうなロケーションだ。

建設年度は古いには古いが、各棟ごとには広いめの専用駐車場まで完備されていて、住民のマイカー利用も捗る。このへんだと意外に郊外型の駐車場付きのスーパーやホームセンター、家電量販店、飲食店なども近くに一通り揃っているので、買い物や日常生活にはまず不便しない。

そして建物を真下から見ると、この謎のド迫力…まあなんとも昭和のど真ん中に作られた物件だけのことはある。大阪万博の5年後にこれが出来た事になるのだが、この時代の建築物は今のような合理的かつ均一的なものではなく大胆で挑戦的なデザインのものが非常に多い、という一例をここでも示している。

マンション北側の車道沿いからもこの建物だけがやたら存在感をあらわにしているのが見られる。ここから最寄りの阪急淡路駅までは歩いて10分そこそこ。近接地に東淀川区民会館、東淀川図書館、東淀川スポーツセンターと公共施設も充実していて、よく見りゃ色々と「悪くない」。

淡路駅がJRと阪急が交わる乗換駅に昇格したこともあって、密かにこのへんの物件を狙っているサラリーマンとか居そうですが、こことか非常にお手頃じゃないでしょうか。近所にはライフ東淡路店などもあって買い物も捗るぞ。ちなみに「エバーグリーン淀川」の中古物件はファミリー向きの3LDKでも2千万円を切り、賃貸でも85,000円(+管理費1万)前後。安いのう。ただ、目の前が結構な交通量のある車道ばかりなので、場所によっては排ガス騒音に要注意。

巨大マンションと一体化したショッピングセンター「エバーレ」

だが、このマンションの中にも実はショッピングセンターがちゃっかり存在していて、長年マンション住民の日常生活上の便宜を図ってきたわけだ。その名も「ショッピングタウンエバーレ」…見るからに昭和感漂う古ぼけた佇まいとなっておりますが、それもまた“味わい”というもの。

しかしマンション完成から45年近くが経とうとしている中、その時代に産声を上げたショッピングセンターがどうなっているのかというと…やけに「テナント募集中」の看板を掲げたお店が目立つのである。まあ、案の定な感じですね。

地下一階部分にしつらえられたショッピングセンターの中身は、食品スーパー「ニッコー淡路店」が核テナント的に営業している以外は、もはや“風前の灯火”とも言えそうな盛り下がりっぷりを見せていた。あとはしょぼくれた個人経営の喫茶店とかクリーニング屋くらいか?

そのままどっかの地下鉄駅にでも直結してそうな前時代的近代感すら漂う地下商店街。建設当時はかなりのインパクトがあったのではなかろうか。しかしどこを見回してもろくに食い物屋の一つも見当たらないというのは寂しすぎる。居酒屋の一つくらいあってもバチは当たらないだろうに…昔はどんな感じだったんですかね。

そんな寂れた空間に意味もなく賑やかしのように置いてあるミニゲームセンター的なUFOキャッチャーやガチャガチャ等の電動筐体の数々がより一層「寂れたモール」感を増している。こんな古いマンションの商店街なんぞ決まって高齢者ばかりになりがちですが、こう見えて割と子供多いんでしょうか。

一方で潰れたテナントに穴埋め的に入っている「お年寄りの溜まり場」的スペースが目に留まる。「ちょっと あんた いつも元氣やね! 見かけだけ 中身ガタガタ (うちといっしょ) 大事やで 元氣出しや」と大阪弁丸出しででかく筆書きで描かれたメッセージに哀愁を感じる。「氣」が旧字体なのがポイントだ。

歯抜けになったテナントの締め切られた空間に「ここで のんびり ほっこり まったり はんなり ゆっくり としていってや」と大阪弁丸出しで言われましても、何をせえとおっしゃいますのやら。こうした風景を眺めつつ適度に脱力してしまおう。

以前はここに家電量販店の「エディオン東淡路エバーレ店」が入居していたらしいのだが、最近になって近所に駐車場付きの新店舗を建ててそっちに引っ越してしまったようだ。やはり駅から離れた、マンション住民しかアテのないショッピングセンターは先行きが厳しいようで。それでも買い物客向けの駐車場もあるんですけどね…

やっと見つけた、エバーレ唯一の現存飲食店舗である「喫茶アメリカン」。その店名とは裏腹にさっぱりアメリカンな雰囲気もせず、実に大阪的な街の軽食喫茶店である。本日のランチは「牛丼、カレーライス、焼めし、焼そばセット」が“コーヒ・紅茶”付きで900円というのが店の一押しらしい。

なんとも寂れっぷりが容赦ない「ショッピングタウンエバーレ」だが、めげずにテナント募集のアピールがお盛んである。見ての通り賃料もかなりお安い。よく潰れたコンビニや寂れた商店街に期間限定で登場するような、ジジババ向けの催眠商法に狙われそうな気配がする。

そんな「エバーレ」の吹き抜けになっている中央広場を眺める。なんだか南港ポートタウンのショッピングセンターとか、うえほんまちハイハイタウンみたいなグダグダっとした雰囲気になってますよね。もはや全面リニューアルする体力もないんでしょうか。

マンションの共同エントランスから「エバーレ」に降りる階段の前には「立ち直る 心を育てる 思いやり」とメッセージが記された「社会を明るくする運動」看板がひっそり立てかけられていた。こんな看板をわざわざ置いているくらいなのだから、夜中は地元のDQNの溜まり場とかになっていそうな不穏さを感じてしまう。東淀川区も基本ヤンキー地域ですから、お察し下さい。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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