東淀川区唯一の映画館が消えた…「淡路東宝」とその周りの呑み屋街

阪急京都線淡路駅前「淡路本町商店街」の一角に、今では営業を辞めてしまった一軒の映画館の建物がぽつんと残されている。「淡路東宝」という映画館である。

そこは昭和32(1957)年に開業、2017年5月末に60年の歴史に幕を閉じた東淀川区で唯一の街の映画館。閉館前にその全容を見ることは叶わなかったが、外観だけでもと思い見にやってきた。大阪市内はもとより関西で最古の個人経営映画館だったともいう。

同館を象徴するゴジラ看板は閉館後もそのまま。ここの閉館後、大阪市内の淀川から北側にある映画館はもはや十三の「第七藝術劇場」(普通の映画館ではなくミニシアター)以外に無くなっている。映画を見るなら、梅田のシネコンに出るしかないようです。

淡路東宝の正面玄関から横に回るとそこには系列の喫茶店「トーホー」の店舗もある。ここは映画館の閉館後も営業を続けているというが、たまたま訪れた日は定休日で営業を行っていなかった。

少し離れたところに淡路東宝の別館「淡路東宝2」の建物もあるが、こちらはさらに一足先に閉館してしまい、貸しホールとして使われている。昭和の時代には「ニュー東宝」という成人映画館として日活ロマンポルノ専門で上映を行っていたそうだ。

映画館の周りにびっしりと寄り添う土着酒場横丁

残念ながら映画の灯が消えてしまった淡路の街だが、相変わらず映画館の周りの路地にはアルコール臭ぷんぷん漂う大人の路地裏横丁がびっしりと連なっている。そんなところに後期高齢者御用達の怪しげな健康器具業者が入り込んでいるところがまたリアルなんですが…

どんどん路地の奥に突っ込んでいくと昭和な佇まいの酒場やら食い物屋がわんさか現れる。日暮れ頃には仕事帰りのサラリーマンが続々吸い込まれ各々の胃袋を満たしているのだろう。

呑み屋ばかりかと思ったら街のレトロな美容室もございまして、マユラー美容室とはこれいかに。よくわかりませんが、アムラーとかシノラーみたいな感じのアレですかね。

角を左に折れるとまだまだ続くよ酔っぱらい街道が。かれこれ60年も続いた淡路随一の映画館に寄り添う呑み屋街は、かつて映画こそが大衆娯楽の殿堂であった時代の香りを今に留めているかのようだ。

キムチ鍋にホルモン鍋、韓国料理をつまみに一杯やれる韓流酒場「ハルエモン」が気になる件。ビールのジョッキにどこかで見たような某猫型ロボット似の顔が描かれている。韓国繋がりだからと言ってもこれはトンチャモンではありません。

呑み屋街をぐるりと半周すると次の角を左に折れたところが先程触れた「淡路東宝2」の前だ。

淡路本町商店街のアーケードを跨いだ反対側にも相変わらずアルコール臭きっつい呑み屋街が続いている。

向かいにある古本屋なのかリサイクルショップなのかよくわからない佇まいの「アジアサロン」も気になりますけれども、ネットで運営団体を調べると多民族・異文化理解のための図書館建設運動を続けている「市民団体」らしい。んまあ、大阪らしいですけどね。

映画館の建物と同居するレトロな「宝来市場」

ちなみにこの映画館「淡路東宝」の建物には大阪市公認「宝来市場」も併設されている。映画館と公認市場がセットになっているなんて昭和過ぎてたまりませんね。

宝来市場の中はご覧の通り、肉屋に乾物屋って感じですけれども常連客がどんどん減り続けて、ここ数年はバタバタと店を畳むところも増えている模様。最終的には市場の半分ほどの区画が閉鎖されてしまっていた。

宝来市場オリジナルポイントカード「宝来カード」というのもあったらしいですが2017年をもってカードは廃止。

ポイントカードって貧乏人ホイホイとしてすっかり定着した感があるが、運営側も客のポイント管理の手間が掛かるし、財布からゴソゴソとカードを探し出す他の客にいらついたりと、貧乏人の財布の中身が無駄に膨れるばかりで誰も得しない制度だと思うんですが、どうなんすかね…

今回紹介した「淡路東宝」「淡路東宝2」の建物は実のところ閉館後の2018年中に解体されており現存しない。跡地は8階建てのフツーのマンションに生まれ変わるらしい。こうしてまた一つ昭和の街並みは姿を消すのである。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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