【尼崎市】ダウンタウン浜田&松本の原風景、JR尼崎駅最寄り「下坂部市場」と廃れ商店街

尼崎市

JR尼崎駅北側の潮江、下坂部といった地域、ここは言うまでもなく知られる日本のお笑い芸人界のトップスター「ダウンタウン」の浜田雅功と松本人志、そして二人の旧友で放送作家の高須光聖が生まれ育った下町風景が広がっている。

JR尼崎駅北口の再開発地域「アミング潮江」からさらに北側、潮江素盞鳴神社から塚口方面に伸びる路地に入る。この地域にある古くからの鎮守様でもあり、境内はリニューアルされ綺麗な佇まいになっている。

日本を代表するコメディアンとしてのし上がった浜田と松本、その二人の原風景である、潮江の住宅地は二人が子供の頃と大して変わりもしていないであろう。狭い路地に沢山の木造家屋がひしめき合う、どこからどう見ても「下町」としか言いようがない街並み。こんな住環境ならば、それこそ日常生活そのものがコントのようであった事だろう。

しかしそんな街も少しずつ人口が減り続けているのかあちこち歯が欠けたように空き地がぽつぽつと目立っている。そんな場所は軒並み野良猫の休憩所と化しているのであった。再開発の波もここまでは届かない。笑いのセンスを磨く人材…いや、土着の下町住民も高齢化社会の中で消えつつあるかのようだ。

塚口方面に抜ける生活道路沿いを歩くと「緑温泉」という一軒のレトロな銭湯が。JR尼崎駅周辺地域に残る銭湯はここともう一軒の「昭和温泉」くらいしかない。周囲に風呂なしアパートも多いのか、自転車で乗り付けてやってきたお客が頻繁に出入りしている。


何の飾り気もない銭湯の玄関口。再開発エリアに建つ真新しいマンションの住民がここまで足を伸ばしてひとっ風呂浴びに来る事は、そうそう滅多にはないのだろう。

「下坂部市場」という昭和の残骸を求めてやってきましたが…

潮江の先にある下坂部という地域に、尼崎市内には数多くある昭和の佇まいを残した“市場“の一つがあるという事を聞いていたので少し足を伸ばして見にやってきた。先に触れた緑温泉の少し先の一帯である。

この界隈は駅から離れた一画ではあるが古びた商店街がダラダラと繋がっていて、その多くの店がシャッターを下ろしてしまい商売を辞めてしまっているのだ。チャリンコで颯爽と行き来する原住民にとっては、もはや素通りするだけしかない場所だ。

この店構えで「洋食」の二文字を掲げて商売していた「大衆食堂味楽」はいつまで現役だったのだろう。どこを見回してもこんな佇まいの廃墟店舗ばかりなので陰鬱な空気すら漂っている。日が暮れるとゴーストタウンさながらのロケーションとなりはしないか。

古びた商店の建物、その横っ面の錆びたトタンの壁も良い具合に煤けた佇まいを見せており、そこにはピースボートと幸福実現党のポスターがベタベタ貼られる始末…

非常に味わい深い佇まいの、古びた商店の成れの果てとなった建物達。この商店街だったと思しき一帯も既にもう役目を終えた事は確かだが、浜田と松本が子供の頃はたいそう栄えていたのであろう。

下坂部はJR尼崎駅とJR塚口駅の中間地点になるが、それほど遠くない場所にイオン尼崎店(旧カルフール)やらコストコ、島忠ホームズの大型店舗が勢揃いしていて、ここらの周辺住民は軒並みそちらへ流れている模様。

そんな道すがらに「下坂部市場」の建物が辛うじて残っていた。手前の「中華料理 龍園」が、一応ながらこの市場では残り少ない現役店舗となっているようだ。この手の小汚い店構えの中華料理屋は大抵間違いがない。尼崎のソウルフード「あんかけチャンポン」も喰えるらしいが、不運にも定休日で入店しそびれた。

しかし市場の建物を目にすると中華料理屋一軒以外は軒並み全滅という厳しい状況。タラレバで申し訳ないが、もう5年早く来れていたらもう少しちゃんとした姿のものが見られたのかも知れないが、こればかりはどうにもならんよね。

しかし市場の建物の裏側に回ると…“時既に遅し”であった。半分だけ解体済みの状態でボロボロに朽ち果てた姿を晒したまま、終焉の時を待つかのように佇むのみ。建物の造りからしても、やっぱりここも半世紀オーバー物件でしたかね。

下坂部市場は建物東側の半分が既に失われていた。ショートケーキのごとく無残にすっぱり切り取られた市場の断面をご覧下さい。もしかしたらこの市場の“最期の姿”となるかも知れません。


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