【尼崎市】アマの超絶昭和空間、シャッター街と化す「三和市場&ナイス市場」を見物する

阪神尼崎駅と隣の出屋敷駅の間の一帯に広がる尼崎市中心部のアーケード商店街。中央商店街と三和本通商店街以外にも、昭和の生活空間が色濃く残る市場も生き残っている。

その一つが三和本通商店街の南東側にある「三和市場」という場所。網の目のように広がるアーケード街の中にあって、さらに商店街の構造を複雑なものにしている、アマの庶民の台所の、まさしく奥座敷的スポット。

戦前からの歴史を歩む尼崎最古参の市場「三和市場」

この三和市場はこのあたり一帯の商店街では戦前から公設市場として成立したもので、最も歴史が古いものらしい。戦後、この三和市場の周辺に大規模な闇市が出現し、阪神間において最も物資の集まる拠点として勃興した。その名残りが三和本通や新三和商店街などのアーケード街である。

しかしそんな歴史のある三和市場も今となっては尼崎の中心部にある商店街の中でも脇役中の脇役に甘んじている気がしなくもない。一歩足を踏み入れるとそこには「シャッター街をこじ開けろ!!」などと書かれた「三和市場まつり」の横断幕が。シャッター街って自覚してるんかいな。

シャッター街をこじ開けて営業されているのは現代の三和市場を盛り上げているイベントスペース兼カフェ&バー「とらのあな」なる店舗。ちょっと味園ビルに似たようなサブカル臭漂ってますけども、ええ。

三和市場では「ガサキング」なる大怪獣が暴れ回っているらしい。市場の怪獣マニアの商店主が特撮怪獣映画の製作を企画しているらしく、ジャスティン・ビーバーとコラボレーションしたり、イベントにはあの千葉麗子が登場したりと色々本格的で香ばしげである。

ちょっとこのへんとか、東京で言う中央線的な、高円寺の中通りあたりのゆるーい空気が漂ってこなくもないんですけども、ちょっと洒落た感じのリサイクルショップとかイベントスペースとかね…

大怪獣で町おこしを企む一部の店舗を除けば、この通りの寂しい佇まいが続くのみ。市場の建物自体の老朽化も気掛かりなレベルである。怪獣ガサキングはこの市場の破壊者となるのか、それとも創造主となるのか、知りませんけれども。

三和市場は1995年に発生した阪神淡路大震災以降、54店舗あったものが急速に廃れていって、12店舗まで減少したという事らしい。あの震災では家屋倒壊などの被害が顕著だったのが武庫川の先の西宮市以西だったが、ここ尼崎も含めて阪神間の経済に深刻な打撃を及ぼしたのは言うまでもない。

昭和の時代には沢山の個人経営の生鮮食品店がひしめき合い、それぞれに商売を繰り広げていたであろう空間。もう完全に役目を終えてしまっている。

人通りの消えた市場の路地裏は昼間でも陰鬱な空気に満ちている。これぞ「生ける廃墟」か…鶴橋商店街みたいに駅前一等地にあればまだまだ盛り返せたのだろうが、ここは阪神尼崎駅からも遠い一画である。

しかしこの煤けた風情漂う昭和の市場の建物は、尼崎どころか関西一円探してもなかなか見当たらないクオリティの高さである。そりゃ太古の怪獣も目を覚ましたくもなるものかも知れませんが、築83年の築地市場の如く、ここもいざ解体となったらネズミやGがゾロゾロと這い出てくるかもですよ。

三和市場で営業している数少ない店舗の一つがこちらの乾物屋だった件。鰹節と昆布がメインの店のようです。

尼崎市公設地方卸売市場のシンボルマークは「食物連鎖」をイメージした共食いキャラクターとなっております。よろしくね。

レトロな佇まいがナイスですね「ナイス市場」もありましたが…

三和市場の北側、「シャンティかんだ」という公設市場的施設を挟んだ北隣にも「公認ナイス市場」と称する昭和の古めかしい市場の残骸が残っていた。しかし尼崎中央商店街に面した市場の南側は2015年頃に解体され、この部分は現存していない。

間口の狭い市場の通路に入ればそこにも絶え間なく広がる昭和の生活空間が。こちらはガサキングのような怪獣が暴れ回る事もなく、ただ高齢化した商店主が粛々と商売に勤しんでいるだけだった。

ナイス市場の通路を抜けるとパチンコ屋「キコーナ尼崎中央店」の前に出る。村西とおる監督に「ナイスですね」と言ってもらいたいナイスな市場も今では南側が解体されきっちり「半分こ」にされてしまってます。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。

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