【尼崎市】阪神工業地帯に生きるアマの下町住民の台所「三和本通商店街」(1)

工業都市・尼崎の中心市街地となる阪神尼崎駅前から連なる「尼崎中央商店街」をずんずん歩き進めていくと、650メートル程行ったところで南北に交差する別のアーケード商店街にぶつかる。

阪神タイガースを応援する垂れ幕がずらりと連なる、実に尼崎らしさ全開の「三和本通商店街」である。かつてはこの三和本通と三和市場、新三和商店街(サンロード)をひっくるめた一画が戦後の闇市の時代から勃興した尼崎の台所とも呼べる一画で、今でもその賑わいが続いている。「三和」の名前の由来がよく分かりませんが、そのくらい古い商店街という事である。

アマの庶民の台所「三和」に行けば何でも揃う

三和本通のアーケード街は国道2号難波交差点から阪神本線の高架近くの南北約400メートルに渡って伸びている。終始地元民の生活に根ざしたあらゆる業種の店舗がひしめいている。昔から「三和に行けば何でも揃う」というのが古くからの尼崎市民にとっての合言葉、というほどである。

また、三和本通まで来ると阪神尼崎駅まで850メートルもあって遠くなってしまうので、隣の出屋敷駅の方がもっぱら近い。昔は出屋敷駅前から「出屋敷中通り商店街」のアーケードがあって、道なりに歩くとそのまま三和本通に繋がっていたが、今では出屋敷駅周辺が寂れすぎた感がある。

しかし尼崎駅前の中央一番街のようなパチンコ屋だらけの下町仕様全開ぶりはこの三和本通でも健在。「キコーナ尼崎中央店」のどでかい建物が商店街沿いに鎮座する。ここは元々ニチイ尼崎店として建てられ「尼崎サティ」として営業していたが撤退、その居抜きでパチ屋になってしまったもの。

中央商店街の西端部から伸びる「三和西町商店会」のアーケードの出口付近にももう一軒パチンコ屋が。尼崎市内には腐るほどあるパチンコ店、そして尼崎競艇場、園田競馬場といった公営競技場も揃う。まさにギャンブラー親父の街。ここのアーケードを出てすぐ左に折れたら、皆様御存知のアマの裏名所「かんなみ新地」がございます。

滅法庶民的な店ばかりかと思っていたら礼服・婦人服専門のフォーマルでレトロな服屋もあったりして懐の深さを見せつける三和本通商店街。残念ながら角田美代子が着てたような悪趣味なものや「トラのおばちゃん」が着るようなド派手な衣装もないようです。

アマのおばちゃんのフォーマルファッション最先端はこちらです。買い物客の濡れた傘が行き交う、雨粒滴り落ちる商店街の道端にン万円するような衣装がずらり。それでも気にしないのが尼崎スタイル。

三和本通には兵庫県発祥の貧民御用達激安食料品店「業務スーパー」の店舗もバッチリございまして、店の前には買い物客のチャリンコが殺到しております。業務用食材はここでまとめ買いすれば貧乏暮らしも捗ること請け合い。中国産とか気にしません。

どの店も徹底して「激安」をウリにして客の争奪戦を行っているため、とにかく競争原理が半端ない。てんこ盛りの人参ひとパック79円で「勝負」する土着八百屋。ポップに書かれた文言もわざわざ熱い。野菜を売るのに人生賭けてます。

みかん、柿といった秋の味覚も普通のスーパーなら一袋398円、498円はザラだが、三和本通に来れば199円で投げ売りしておられます。このくらいやらないとアマの台所は務まりません。

外食部門もツワモノ揃いの三和本通商店街

三和本通は飲食部門もいちいちアクの強さを感じさせる。どえらい年季の入った佇まいの「大手橋食堂」がその存在感を示している。右から左に書かれた暖簾の電話番号「電話八十四番」…戦前からそのまま続いている超老舗店なんでしょうか。

オムライスやカツカレー、ポークチャップといった洋食系からカツ丼、鍋焼きうどん等に加えて、尼崎市がご当地グルメとしてアピールしている「あんかけチャンポン」なんかも提供する街の食堂、よく見りゃ「店内禁煙」である。喫煙者ばかりの尼崎というお土地柄で店内禁煙は覚悟の要る行為である。

三和西町商店会に店を構える「純喫茶みら」もその佇まいの渋さに萌える。いかにも向かいのパチンコ屋や「かんなみ新地」で一戦交える前の客が休憩がてら溜まってそうな店構えですが、こう見えて店主はツイッターもやっていて、先代マスターはタイガースファンだったらしいですよ。モーニング300円って、安いなあ。

ただの喫茶店かと思いきや店の表にベタベタと食い物系メニューが書かれた貼り紙がやたらめったら目につく件。うどん定食500円で炭水化物×炭水化物にキメても良し、プラスメニューで150円出してトマトのサラダも食べられます。ツメたくてヘルシー、だそうです。

記事が長くなりそうなので続きは次回に持ち越しだ。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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