世の中、“事実は小説よりも奇なり”などとも申しますけれども、“土地トラブル”にまつわる様々な出来事もそんな言葉がよく当てはまる。当方は金目になる不動産を持つ機会など一切ないので地主の経験や苦労なんて知ったものではないわけだが、東京・五反田のズタボロ旅館の土地を舞台にした「地面師詐欺事件」なら記憶によく残っている。不動産業界では超有名な企業であるはずの積水ハウスが地主になりすました偽者と土地売買契約して代金63億円を持ってあっさりトンズラされたというアレだが、事件があまりに衝撃的過ぎてNetflixで再現ドラマ化されるほどの出来事となった。

Netflixのドラマ「地面師たち」で出てくるのは五反田の旅館ではなく高輪にある寺(架空のもの)が舞台になっているのだが、地面師詐欺の手口は劇中で緻密に再現されていて非常に見応えのあるものだった。最近のゴミみたいな民放テレビ局には決して作れない、骨のあるドラマである。資産価値の高い、都心にある広大な土地を持つ寺社にありとあらゆる魑魅魍魎が手を伸ばすという、人間の欲望の底知れぬ深さ…そんなドラマを見たばかりで脳内感覚が“土地(トチ)狂ってる”ということもあるのだが、そう言えば大阪にも心当たりのある土地があった。

大阪・天下茶屋に、千年の歴史を誇ると言われている古刹「聖天山 正圓寺」がある。ここはドラマに出てくるような地面師詐欺の舞台ではないのだが、とある“土地トラブル”に見舞われてしまい、住職が姿を消し、そして境内は放置され荒れるに任せるといった無惨極まりない状況に陥っているのだ。なぜそのようになったのか、気になってしょうがなかったので現地の様子を見に行った。
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