【神戸市】神戸の下町歓楽街・新開地の古臭くて怪しい地下街「メトロこうべ」を歩く(2012年)

関西三都のオシャレ担当らしい港町神戸のイメージとはおおよそかけ離れた市内随一の歓楽街「新開地」。兵庫県で唯一特殊なお風呂屋さんが立ち並ぶ元遊郭「福原」を抱え、パチンコ屋やら酒場や映画館やらあれこれ下町オヤジの欲求を満たす娯楽に溢れている。

この街へ電車で向かうと避けて通れない「神戸高速鉄道」なる謎の鉄道路線。阪神・阪急・山陽・神鉄の私鉄4社の接続を当初の目的に設立された神戸市の第三セクター会社で、神戸高速線内ならともかく他所からやってくると150円余分に取られて損した気分にさせてくれる。その神戸高速鉄道の新開地駅と隣の高速神戸駅との間に「メトロこうべ」という怪しい地下街が存在する。

このメトロこうべ、新開地駅と高速神戸駅との駅間500メートルに連なる結構な規模の地下街だが、すっかり神戸の街の中心が三宮あたりになった事で脇役に追いやられた新開地エリアで昭和43(1968)年開業当初の古臭い地下街がさほどリニューアルもされず今に残っているのだ。

私鉄四社が乗り入れする新開地駅とJR神戸駅に近い高速神戸駅とどちらもターミナル駅である地の利を活かして地下街として整備された訳だが交通事情の変わった現在では人通りも少なく微妙な風情を漂わせている。シャッターが降りたままの店もあったりして。

地下街は両駅に近い側からそれぞれ「新開地タウン」「神戸タウン」の2つに区切られている。新開地タウンの方から入ってみると案の定くたびれた飲食店ばかりが並び昭和の面影をプンプン匂わせていた。

ベタなオバ服屋も地下街で現役営業中。年齢層高そうですが買い物客自体あんまり居なさそう。オシャレの街神戸と言いますが客層はしゃれこうべみたいなオバハンばかりなのでしょう。

だがしばらく歩くと店舗も何もなくひたすらガラーンとした通路が続くだけの殺風景な景色に変わる。500メートルまるまる店があると言う訳ではないようだ。

殺風景な壁を埋めるかの如く沢山の壁画が描かれていた。地元の芸術大学の学生とやらの作品らしい。まあなんというか…ただの埋め合わせですね。

ただでさえ不気味な地下空間を盛りたてるかの如く掲げられているメンヘルの国のアリス。

初めて来た時、本当にこの先進んでも大丈夫ですか?と思うテンションなのだが、確かにこの先は隣の高速神戸駅に続いているらしい。それはいいが「星の広場」「プレイランド」「卓球場・古書街」などと色々書かれていて気になるぞ。

何もない地下通路を進むとその先には不釣合いな電子音が聞こえてくる。どうやらプレイランドというのはこのゲームセンターの事だったようだ。ちょっと意外だった。こんな場末臭漂う地下街の通路にいきなりゲーセンだもの。

しかも通路側からは金網で区切られているだけで、ゲームセンターの中に置かれた数あるアーケード筐体から諸々流れる電子音が筒抜けになっているのである。しかも90~00年代の古いゲームばかり…むしろ不良の溜まり場にすらならず客の姿は皆無。どないなっとるねん。

どうにも行き遅れ感漂うゲーセンだがプレイ料金は「オール¥50」となんとも良心的価格なのである。今の30~40代半ばくらいのちょっとレトロなアーケードゲームがお好きな人にはたまらないかも知れないがパチンコ競艇ギャンブル大好き新開地の客層からすると需要がまるで無いのだろう。

ビデオゲーム、メダルゲーム、ビーマニシリーズ…これまた微妙に懐かしいビーマニですか(笑)恐らく手書きの貼り紙が哀愁漂う。メダルゲームは1000円分買うと30枚お得らしいが遊んでる人居ないよ。

さらにこのゲームセンターには卓球場が併設されている。その名も「メトロ卓球場」とベタなネーミングです。地下街の中に卓球場…ある意味新鮮な組み合わせである。むしろ日本国内ではこの組み合わせをメトロこうべ以外で見かける事など無いのではなかろうか。

同じく殺風景な壁には親切丁寧に正しいラケットの持ち方が絵で説明されているのである。しかし所詮この新開地では卓球の福原愛選手を目指す若者など現れず福原のソープランドを目指すエロオヤジばかりだ。

そしてこの卓球場も同様に、がらーん…もう気の毒にすら思えてくる。管理人もさぞかし暇でしょうがない事だろう。第三セクター経営だからこんな状態になるのだろうか、ただの埋め合わせと割り切ってるのか知らんが、もうちょっと有効活用しようよ。

ただこの寂しいゲーセンと卓球場の真向かいにある古書街はなかなか個性的な佇まいで素晴らしい。時折立ち止まり古本を眺める通行人の姿あり。

しかしもっぱら客が多いのは、何やrら如何わしい本やDVDばかり売ってる店の前ですが(笑)所詮新開地だもの。みんな福原に行く前にイメージトレーニングに励まなければなりません。あとこの地下街、夜になると街娼が出没するらしい。場所柄というやつですね。

そんな酷い地下街を潜り抜けると高速神戸駅側の「神戸タウン」へ辿り着く。貧民大歓迎な850円カットの庶民派散髪屋が営業中。

地下街開業当初から営業を続けている老舗の床屋「メトロ理容」の店先にはお客様への感謝の意を表す店主からのメッセージが。

散髪屋を過ぎたら目の前が高速神戸駅の改札になります。神戸高速鉄道線内相互乗り入れである私鉄各社の中でも昔はこの高速神戸駅で阪神・阪急が、新開地駅では山陽電車がたいてい終点になっていて直通便が少なく、わざと不便なダイヤを組んで「地下街を歩いて行った方が早い」状況を作っていたという。

その時代の事は知りようもないがどのみち客本位でなく作られた地下街はエアポケット化して胡散臭さに磨きをかける理由にもなっていたという事だ。こんな変な地下街は他の街ではあまり見かける事もなかろうよ。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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