【アパッチ族】戦後の残滓・毛馬桜之宮公園沿いの不法占拠バラック村「古鉄街」在りし日の姿

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土手に沿って立ち並ぶバラック建築群の間に緑色のフェンスで区切られた空き地が虫食いのように存在している。元々の不法占拠の地主が立ち退いた後にこうなったと思われるが、空き地の向こうから大川の対岸に広がるOAP(大阪アメニティパーク)のOAPタワーをはじめとする高層ビル群が見られる。

OAPは高層オフィスビルや高級タワーマンション、帝国ホテル大阪といった豪華物件が揃ったバブリーな再開発エリア。東京で言う六本木ヒルズ(笑)のようなものだが、その対岸に都会の華やかさとは真逆のバラック村があるという構図だ。まさに都市の光と影が川を挟んで隣り合っている。

そんなハイソなOAPタワーをバックにスクラップ屋のバラックがそびえる桜ノ宮のアンダーグラウンドっぷりにしびれる。古鉄・銅・アルミ高価買入と書かれた看板の廃品回収業者。金沢商店。戦後を生き抜いたアパッチ族の生き残りだろうか。

今でも現役の廃品回収業者が数軒この場所で細々と商売を営んでいる。傍らには回収したアルミ缶がプレスされたブロックが積まれている。龍王宮の高田商店と同業種。

少し離れた所にあるもう一軒のスクラップ屋も負けず劣らず凄まじいボロ家具合である。やはり「古銅鉄」の看板を掲げているので同じく鉄屑を捌く商売をしているのだろう。重光商店。こっちはちゃっかり自販機まで置いている。

玄関先は土手の下に沈み込んだ場所にぽっかり開いている。住居としても現役のようだ。玄関左側は立ち退いた跡である緑色のフェンスで囲われていた。

なかなかのジャングル具合を見せる玄関先のアプローチ。ワイルドなコンクリート舗装もポイントが高い。この辺の業者もオーナーが高齢化しまくっているため、いずれ龍王宮のように無くなる運命にある。

さらに土手の道路を挟んでホテル街側へ続く階段を降りていく。普段から人通りもまばらな薄気味悪い場所だが、それは桜ノ宮という土地の因縁がもたらしているのだろうか。

土手の階段下に出てきた。見上げると土手の上と下では3メートルくらいの高低差があるようだ。また環境局のトラックが目の前の土手上の道を爆走していった。

階段の前には「あき巣狙い忍び込みにご用心」と書かれた警察署の古い看板がある。いつ頃設置されたかわからん位に古臭過ぎて字がかすれている。鉄屑を掻っ攫うアパッチ族が暗躍していた戦後の時代ならともかく今でも地域の防犯意識は高いようです。

階段の途中にある倉庫の脇にはまるで見捨てられたかのような、か細い墓碑が残されていた。かすれて読みづらくなっているが「無縁仏の碑」と記されていた。
終戦前日、大阪砲兵工廠があった隣の京橋や大阪城などに1トン爆弾が大量に落とされて大勢の死人が出たのは有名な話。この土地でもひっそり弔われた人々の存在があったのかも知れない。
そんな因縁深い桜ノ宮の土地は今ではもしもしピエロ始め数十軒のホテルが立ち並ぶ、非常にいかがわしい街でもある。

当記事は2011年に書かれた古いもので、現在この記事で触れられている不法占拠バラック建築群は撤去され残っておりません。「古鉄街」という名称で呼ばれていた場所なので本記事でもそう書く事にします。


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DEEP案内シリーズ管理人。大阪ベイエリアの貧民窟育ち。独自のひん曲がった視点で街歩きを続けております。2008年より上京。関西に留まらず全国、海外に取材対象を薄く広く伸ばして来ました。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。
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