ふれあい港館 ワインミュージアム

大阪南港は三セク赤字施設の墓場と化しているわけだが、WTCコスモタワーATC(O’s・ITM棟)やなにわの海の時空館といった巨大施設が目立つ一方で、この「ふれあい港館」も忘れてはならない。

ふれあい港館

1995年オープン、総事業費59億円で大阪市の外郭団体である「社団法人大阪港振興協会」が運営してきたわけだが、開業以来赤字垂れ流し。オープンから9年目にして大阪市三セクへの批判が高まり、事業の見直しを迫られた大阪市は、この施設の運営を民間に任せることに決めた。

ふれあい港館

ふれあい港館は、2005年春に伊藤忠アーバンコミュニティ株式会社の手により新しく生まれ変わろうと一歩を踏み出した訳だが、実際のところ現状はどうなっているのか。10月、現地に赴いてみた。

「ふれあい港館」は、ATCやWTC、コスモスクエア駅のある場所から少々離れた場所にポツンと建っている。

ピラミッド?

そばにはライブハウスとして使われる「Zepp Osaka」もあるが、基本的には人通りも車通りもほとんどない閑散とした場所である。傍目から見ると、謎のピラミッドである。入口から玄関に至る通路の両側の斜面には様々なぶどうの木が植えられていて、ここがワインの博物館だということを主張している。

入口


1階

大阪市関連団体から民間移譲され、リニューアルオープンするために2004年秋から一時期閉鎖されていたが、改装後も目立った違いもなく、1階にあった喫茶店が閉鎖されていた程度だった。

喫茶は閉鎖

他にも結婚式場、レストランも備えているが、普段はこの通りひっそりと静まり返っている。

レストラン

レストランは完全予約制営業に変わっていた。

姉妹港企画展示室

姉妹港企画展示室

姉妹港企画展示室

とりあえず、ミュージアムの本体は下の階にあるようなので、すぐそこに見えるエスカレーターで下へ行く。
地下1階には「姉妹港企画展示室」と題して大阪港と姉妹提携している世界各地の都市の紹介が。

さらにエスカレーターで地下2階に下りると、そこに「ワインミュージアム」が。

ワインミュージアム

さすがにここから先は有料ゾーンで、入場改札くらいあって、店員が暇そうに待ち受けているのだろうかと考えていたが…結局誰もいませんでした。館内全域フリーパスなのだ。ワインにまつわる展示品があれこれ。

ここも今は伊藤忠の管理になっているが、出来たばかりの頃は大阪市の外郭団体の施設で、税金を使ってこれだけのぜいたく品をかき集めたのかと思うと、力が抜けてくる。

ワインミュージアム

ワインミュージアム

ワインミュージアム

ワインミュージアム

ここに訪れる一般客も見ることすらままならないが、館内にはワイン貯蔵庫があり数多くの超高級ヴィンテージワインが誰の目にも止まることなく眠り続けている。

朝日新聞:行き場失う超高級ワイン 大阪市ワインミュージアム休館

シャトー・レオビル・ラス・カズ(1868)
シャトー・マルゴー(1900)
シャトー・オー・ブリオン(1937)
シャトー・ムートン・ロートシルト(1945)
シャトー・ペトリュス(1949)
シャトー・ラトゥール(1982)
シャトー・トロタノワ(1986)
ロマネ・コンティ(1989)
ラ・ターシュ(1989)
グラン・エシェゾー(1989)

ワインミュージアム

ワインミュージアム

この「ワインミュージアム」、民間委託に変えた今でも入場者数は伸びず放置状態のまま。2008年3月いっぱいで閉鎖されることとなった。

そもそも南港コスモスクエア自体が深刻な赤字遺産。ATCとWTCも空き部屋だらけで仕方なく大阪市の関連部署が入居しているが、赤字を穴埋めするために、なんと正規の2倍以上もの賃料を払っているというのだから呆れる。

このまま半永久的に大阪市民の血税は無駄なハコモノを維持させるためだけに注ぎ込まれ続けるのだ。ご愁傷様です。潔く、さっさと財政再建団体になりましょう。

ぶどう


※注意:「ふれあい港館」は2008年3月末をもって閉館してしまいました。今はもう入れません。今でも血税500万円以上を投じて購入された超高級ヴィンテージワインは地下に眠ったままなんだそうです。

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