日本第二の都市・大阪の地下街の広がりは首都東京をも凌ぐとも言われている。
初めて梅田や難波の地下街を歩くと、そこは誰もが行き場を見失うほどの、まるで迷宮のような空間であろう。
クモの巣を張り巡らしたかの如く広がり続ける日本一の地下街は商都大阪の都市の繁栄を映す鏡である。
…ところが、そんな大阪の地下街の中でも、一等地にありながら凄まじい赤字を出してわずか7年で破綻してしまった大阪市の第三セクター運営の地下街が存在することをご存知だろうか。
1997年、総事業費827億円(うち大阪市の出資分担金=つまり税金395億円 →参考)という途方もない巨額な費用を注ぎ込み、長堀通の地下、地下鉄心斎橋駅と長堀橋駅の間の730メートル、総面積8万1765平方メートルという面積日本最大の地下街を築き上げた。
地下2階から4階まで広がる駐車場には1030台もの自動車が収容できるが、駐車場はガラガラ。一等地にも関わらず、心斎橋筋商店街からの人の流れはここまで届かず、開業1年で3割ものテナントが撤退してしまうという散々な結果を迎えた。
初期投資の大きさで膨らんだ借金の返済と、天下り幹部などへの人件費の高さが功を奏し、借金は雪だるま式に膨らんでいった、というわけだ。
現在、地下街、地下駐車場の運営ともに民間業者に委託されて、クリスタ長堀の運営自体は無事に続いている。
しかし本来、経営破綻の責任を取るべきはずの旧クリスタ社の経営陣である大阪市の天下りOBは、何食わぬ顔で退職金を全額受け取った上で、経営から身を引いている。その名前すら出てくることもないし、責任を問い質されることもないのだ。
クリスタ社は2004年11月、同じく大阪市の第三セクターで全く同じ問題を抱えていた「大阪ドーム」や「OCAT」など旧湊町駅周辺の再開発を行った「MDC(湊町開発センター)」と仲良く「破産宣告」。
さて、大阪市の第三セクターに地下街の建設・経営を任せるとどんなことになるのか。クリスタ長堀を探検してきました。
その、あまりに豪華すぎる地下街の全貌をご覧に入れよう。
長堀橋駅の改札を降り、地下街を東から西に歩いていくことにした。
目の前にクリスタ長堀のだだっ広い吹き抜けの空間が現れる。
天井はガラス張りになっていて青空が見え、地下街ながら開放的なイメージを醸し出している。
地下街の総合案内板があったので早速確認をするが、南港ATCのように別にテナントが歯抜けになっていたりすることもなく普通にある。これでも一等地なので、テナントの需要はあるのだろう。
やけに豪華な作りの地下街であることを除けば表面上の危機感はあまり感じられないようにも見受けられる。
私が見にきたとき、クリスタ長堀の一つの特徴である天井の流水や噴水の演出はストップしたままだった。三セク運営会社が破綻してしまったのもあるし、光熱費に贅沢できる余裕もないということだろうか。
長堀橋側の地下街の壁に掛かる巨大な石のレリーフには「長堀石濱」と大きく書かれている。浪華百景の一つで、この界隈は石屋が密集していた事を意味する。それはいいが、この地下街、ありとあらゆる所に意味の分からないオブジェや変なカラクリが並んでいる。
意味わかりますでしょうか(笑)
このオブジェの中でも、確認したところ電気仕掛けのものは全て動作していなかった。やはり光熱費は無駄にはできない。