大津市長等三丁目にある柴屋町遊郭跡は江戸時代から延々と続く色里として、そして戦災を免れた街並みに残る妓楼や路地が今も艶めかしさを留めている。
先程の長屋の路地のすぐ北側にもまたまたスナックが立ち並ぶ怪しげな路地が奥へ伸びている。やはり小料理屋やスナックの店舗が非常に多いが、空きテナントとなっている店舗も目立つ。
さらにこの路地も奥が繋がっている。さっき目にした水路を跨いだ先の家屋の下を通る細い抜け道があるのだ。本当に迷路だよな…で、そこにもスナックの看板が見える。
長屋の下の通路へ入る。随分ややこしい所にスナックが一軒。人がすれ違うにも道幅が狭すぎて、これじゃ肩がぶつかって酔っぱらい同士が喧嘩する事もないだろう。
通路を抜けた先は一本西側の通り。ここは普通に豆腐屋があったりする。恐らくここはかつての遊郭跡の一歩外側にあたると思われる。途端に怪しい建物が無くなるから分かりやすい。
今度は元のメインストリートから東側に伸びる路地に入っていく。ここもさっきと同様の細い路地にびっしり艶かしげな長屋が連なっている。こっちにも普通に人が住んでますね。
まさかこんな場所にないだろう…と思うような場所にスナック街があるのだからたまらない。路地は突き当たりになっていて左に曲がっている。
ただこのスナック店舗は空きテナントのままになっているようである。売り物件のプレートも掛かってるけど殆ど廃墟同然だし…
突き当たりを曲がった先にもまだまだスナック店舗がひしめいている。昼間でも陰鬱な空気が沈み込んでいるこの路地、夜になると一体どんな感じになるのだろう…
長屋の路地は北向きで見ると逆Eの字型に西側の通りに面して連なっているがその中央部分。モルタル壁が青く塗られていてなおかつ細格子。これは怪しさ満点。
また一軒、廃業したスナック店舗の残骸が路地の奥に佇んでいた。夜はネオンサインに彩られる事もなさそう。南無。
最後にもう一本北側の路地へ入る曲がり角を眺める。こんな狭い路地だけどいかにもな妓楼がここぞとばかりに並んでいるのが凄い。
2階部分を拡大。ガラス窓に妓楼ならではの装飾が施されているのが見える。
さらに1階部分のモルタル壁にはやはり釣鐘型の切り抜きが。中の窓は竹格子が組まれていた。いやこれもビンゴでしょう。
だがこの路地に入ってすぐ異変に気がついたのだ。やけに生活感が濃ゆい…他の場所は正直言って廃墟探索モードだったが、ここはまるで人の家の庭をお邪魔しているような感覚だ。目の前には洗濯機が三台…そして路地には洗濯物がいくつも干され、開かれたままの扉の中を見ると…なんと食堂まである。
遅まきながら気がついたがこの場所は…飯場だ。どうやら建設会社が妓楼を買い取って日雇い労働者のドヤにしているらしい。さすがに西成とかでこんなドヤは見かける事はなかったぞ。大津って奥深いのね。
ドヤと化した妓楼に住み着く労働者達の自転車と洗濯物の多さが人口密度の高さを物語っている。西成に出てる求人に申し込めば、運が良ければこの遊郭跡に住めるかも知れませんな。人生何があるかわかりません。
路地を辿って表通りに出るまでの間もびっしり自転車やバイクが並んでいる訳だが、ここも民家の下が通路になっている。こういう建物の造りは京都でもよく見かけるけど、やっぱり大津って京都の延長領土みたいなもんだからな。
そんな通路の中に吊るされた「栄の喜」と書かれた看板は一体…かつての妓楼の屋号か何かだったんでしょうかね。
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